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1998/12/09
参院予算委の論戦始まる/江田五月、平田健二議員が質疑
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 衆議院を通過した平成10年度第3次補正予算案の審議が参議院予算委員会に移り、9日の総括質疑では民主党・新緑風会の江田五月、平田健二両議員が質問に立った。

■江田五月議員/自自連立は政略なのか

 江田議員は「政府は景気を明るく判断しようとしているようだが実態は厳しい。今回の補正予算では不十分であり、本格的恒久減税を今国会で実現すべき」と述べるとともに、銀行の貸し渋り問題に言及。「中小企業の資金調達のために作った信用保証協会の保証制度を銀行が悪用し、これまでの借金返済に充てさせているのではないか」「庶民が困っている時に『千載一遇の機会』と債権を回収するとは、とんでもないこと」と政府の対応をただした。小渕総理は「中小企業が困難な状況を乗り切るための制度が銀行救済になるとは、もってのほか」とし、与謝野通産相は「旧債振替をしたら、信用保証協会は代位弁済を行わないよう厳しく通達する」と答えた。

 次に江田議員は「衆議院で首班指名された小渕チームと、参議院で指名された菅チームのどちらが国民の信頼を獲得するか競争している」として、「小渕チームは自自連立合意をしたが、新たな理念・政策を打ち出して新たな政治をやろうとしているのか、それとも自由党を呑み込んで消化する政略としてやっているのか」と疑問を提示。宮沢蔵相が派閥人事に関連して、野中官房長官が自由党との連立に絡んで、辞任を示唆していることを取り上げ、「ふたりの重要閣僚が信義の問題と言っているが、何の信義か、なぜ信義にもとるのか」と質問した。

 宮沢蔵相は「私の気持ちと公のこととを整理しなければならない」と、野中官房長官は「私は自分の言葉と行動に責任を持つ」と、いずれも抽象的な答弁にとどまったため、江田議員は「分からない。だから国民に『政治家は分からない』と言われる」と嘆いた。

 最後に江田議員は「自自政策合意の中の副大臣制創設には基本的に賛成する。小渕内閣は官僚に答弁をふらないか。昨日、民主党が提出した副大臣・政務官制度創設と政府委員制度廃止法案に賛成するか」と迫った。小渕総理は民主党案については「昨日提出したから賛成しろというのは早急すぎるが、十分検討したい」と述べたが、官僚答弁をなくすことについては「真剣に考えていかなければならない」と答えるにとどまった。


■平田健二議員/保証制度悪用、政府の対応の甘さ、責任転嫁を批判

 平田議員は中小企業金融安定化特別保証制度について、「私は9月に信用保証法改正が提案された際、銀行に悪用されるおそれがあると提起したが、今日この事態を惹起している」と政府の対応の甘さを批判した。

 さらに日野金融監督庁長官が江田議員の質問に答え、「都市銀行の10月の中小企業向け貸出状況を調査したところ、19億円の旧債振替が見られた」と答弁したことを受け、「19億円は中小企業側が(旧債振替を)承諾した額。銀行側が悪用した額をしっかり調査すべき」と追及した。信用保証協会と銀行との約定書で、協会が保証する銀行から中小企業への融資が、中小企業に有利な場合は旧債に振り替えても良いとする例外規定があることから、立場の弱い中小企業側が旧債振替を承諾させられている実態を指摘したもの。

 また、平田議員は特別公的管理下に入った長銀の問題について、「政府は今年3月、長銀が債務超過ではないと言って公的資金1766億円を注入した。このお金は返ってくるのか」と質問した。柳沢金融再生担当大臣は「最終的にどうなるかは資産を精査しないと言えないが、債務超過ということなので返済は考えにくい」と答弁した。 平田議員は「誰が責任をとるのか」と迫ったが、宮沢蔵相は「公的資金投入を決めた佐々波委員会(金融危機管理審査委員会)の判断は3月の時点では間違っていなかった。その後の風説のアタックで長銀は沈んでいき、住信との救済合併を考えたが、国民の負担になるとの批判を受け、合併も困難になった」との認識を示し、「公的資金の投入を決定した政府に責任がある」としながらも具体的な誤りは認めなかった。

 平田議員は「佐々波委員会は『大蔵省や日銀の資料に基づいて審査した』と言っている。大蔵大臣は風説、合併を困難にした国民の批判が悪いと言う。責任のなすりつけだ」と批判し、「少なくとも佐々波委員会の議事録は公開してもらわなければならない」と要求したが、明確な答弁はなかった。

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