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1999/06/01
盗聴法が衆院可決/不当採決に「議場退席」で抗議
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 捜査機関に電話などの通信傍受(盗聴)を認める通信傍受法案など組織犯罪対策3法案が、1日、衆院本会議で採決され、自民・自由・公明改革などの賛成多数で可決された。民主党は、「人権に関わる法案はあくまでも慎重審議を行わなければならず、この日の採決は認められない」(鹿野道彦国対委員長)との立場から、法案採決に先立って全議員が議場を退席し、抗議の姿勢を明らかにした。

 民主党は、本会議に先立つ議院運営委員会で、3法案の繰り延べ動議を提出。松沢成文同委理事らが「不当・不適切な法案採決を急ぐべきではない」と主張したが、与党の反対多数で否決。この日の本会議で3法案の採決が行われることになった。

 午後1時からの衆院本会議では、最初に民主党が社民党と共同提出した杉浦正健法務委員長(自民)の解任決議案が議題となり、民主党から決議案の趣旨説明を坂上富男・法務委筆頭理事が、解任への賛成討論を佐々木秀典・同委理事がそれぞれ行った。


■「言語道断、許し難い杉浦委員長の暴挙」坂上議員

 坂上富男議員はまず、「通信傍受法案は憲法の『通信の秘密』や『令状主義』を侵害する危険性があり、国民の理解を得るためには特段の慎重な審議が求められる」と述べた。さらに、共産党の緒方参議院議員の自宅盗聴事件での判決が確定したにもかかわらず、その事実を認めない警察に通信傍受といった手段を与えることの危険性を指摘した。

 そして、与野党で合意された「委員一人あたり4時間の質疑時間の確保」をほごにし、「中央、地方公聴会の開催や、警察のこれまでの違法な盗聴の事実立証のための証人、参考人質疑や資料提出要求」などの野党の要求を一方的に退けて、委員会開会や採決を強行した杉浦委員長の暴挙を「職責違背で言語道断、断じて許し難い行為」と糾弾した。


■「法務委員会は無法委員会になった」佐々木議員

 賛成討論に立った佐々木秀典議員は、「法とルールに従って民主的運営のもとに審議が行われるべき国会において、しかも最もそのことに厳格であるべき法務委員会でそれが無視され、法務委員会はもはや『無法委員会』となった」と怒りをあらわに。公明党の修正案作成には敬意を表したものの、「対象犯罪を限定しても、予備的傍受や別件傍受、犯罪準備での傍受などを認め、常時立ち会いも立会人が通信内容を聴けない上、切断権限もない以上、捜査当局の乱用防止の歯止めとはなり得ない」と指摘。その上で、「真に国民の不安を解消し得る修正を党利党略を離れて追求し、それが出来なければ改めて作り直す決断こそが今国会に求められている」と主張した。
 

■「この戦いを衆院選への突破口に」菅代表

 解任決議案は記名投票の結果、賛成少数で否決された。民主党の議員は、この後、3法案に対する委員長報告が始まると同時に一斉に席を立ち議場から退席、国会内の控室に再度集結した。

 集まった議員を前に、菅直人代表があいさつにたち、「国会の役割は国民の権利を守ることだ。官僚組織に新たに国民のプライバシーを侵害する手段を与える場合は、よほどの理由がなければならない。国民の合意が何よりも必要だ」と指摘。「まさに『正体見たり(大政)翼賛会』になってしまった。この自自公体制に全力を上げて立ち向かっていく。衆議院での戦いを参議院に引き継ぎ、全国各地で、人権や民主主義に対する抑圧に対抗して行動していくことが何よりも重要」と述べ、「結束を固め、この戦いを衆院選への突破口にしていこう」と訴えた。

 羽田幹事長は同日、談話を発表し、与党側の強硬姿勢を「国会の存在を自己否定するもの」と非難。参議院での良識の府としての徹底審議を求めた。

関連URL
  組織的犯罪対策3法案の強行可決について(談話)
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=10742
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