民主党起業家支援シンポジウムが10日午後、国会近くのホテルで催された。3月に党が発表した「デモクラット起業家倍増プラン99」の法案化へのネットワークづくりをめざした集まりで、主催者の予想の倍近い約600人のベンチャー企業経営者や市民、学生などが詰めかけ、会場は開演前から熱気に包まれた。
まず主催の国民運動委員会から樽床伸二委員長が「国民の皆さんの空気を変えることで、議員立法を通していきたい」とあいさつ。
つづいて菅直人代表が、「政治そのものがベンチャー化しなければならない。今の仕組みを壊す政治力が必要だ」と基調講演。後半にはベンチャー経営者として有名な南部靖之・パソナグループ代表と沢田秀雄・HIS社長が加わり、「アメリカのような起業や投資のしやすい税制が日本にも必要」などの意見が交わされた。
次に松沢成文・雇用・新産業育成プロジェクトチーム座長が、民主党の起業家支援策と法案の骨子を、コンピュータグラフィックを使いながら説明した。
後半は、「ベンチャービジネスと起業家支援」と題したパネルディスカッション。パネラーに千本倖生・慶大教授、岩尾啓一・ニュービジネス協議会国際委員長、出縄良人・ディー・ブレイン社長、真弓敦子・米国起業家研修者、奥谷禮子・ザ・アール社長の各氏を迎え、松沢議員とコーディネーター役として島聡衆議院議員が加わり、「日本に起業家経済を作るには何が必要か、何が足りないか」などを議論した。
民主党の提言への評価もあった一方で、「仕組みやルールだけではだめ。強烈な個性、変わり者が世の中から尊敬される世の中にならないと」「エレクトリック・コマースが進めばもっと失業率は上がる。その時が起業のチャンスだ」(千本氏)、「若年層の起業家が減少し、50代が増えている。若者の安定志向を変えていく教育が必要」(岩尾氏)、「経営者になるのは、要は自分がやりたいかどうかだ。誰かに支援してもらわなければできないのではだめ。もっと自立してほしい」(奥谷さん)など、日本社会全体や起業家マインドにふれた辛口の提言も多くきかれた。
最後は、国民運動委員会の樽床伸二、田中甲、近藤昭一の3議員が「この会をベンチャーネットワークのスタートとしたい」と呼びかけ、会を閉じた。
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