前原誠司代表は11日午後、大分県を訪れ、民主党大分県総支部連合会の定期大会に出席し、講演を行った。前原代表はこの中で、通常国会で追及が続いている、いわゆる4点セットとその背景に触れ、構造的問題から生じているこうした問題を正していくことこそが民主党の役割だと指摘。構造的に行き詰まっている自民党政権を倒し、政権交代実現に向けた決意を力強く語った。
前原代表はまず、先の総選挙で、小選挙区において民主党が得た票が2480万あったことに言及し、これに対して自民党は、民主党の1.3倍の得票で2.6倍の議席を得たと指摘。「負けは負けとして認め、再生のスタートを切る」が、「議席ほど大きくは負けていない」として、政権交代へ向けて更に前進していくことこそが、民主党に投票していただいた「2480万人の方々への責務だ」と語った。
国会での議論に関しても前原代表は、先の総選挙から5ヶ月経って、「国会の雰囲気は様変わりした」と指摘。いわゆる4点セットの問題が生じ、「小泉政権の求心力が急速に落ちてきたことを肌で感じる」と述べて、「小泉政治の構造的な問題が、様々な事象として一気に噴き出てきた」ことが、この耐震強度偽装問題、米国産牛肉問題、ライブドア問題、官製談合問題が起こった背景にあり、決して一過性の事件ではないとの見方を示した。
そして、小泉政権の「この5年間は、いったい何だったのか」と語りかけ、自らも小泉政権の「光」と「影」を指摘してきたが、「光はあったのだろうかと思い始めている」との思いを述べて、「良い面があったのかどうかすらも、検証していかなければならない状況だ」と述べた。前原代表は更に、「反面教師として、民主党がどういう政治を求めていくべきか」について、特に、様々な格差の問題について言及した。
前原代表は、地方と中核都市との格差などがどんどん拡がっている事実を挙げ、そのことは有効求人倍率にも如実に表れていると指摘。就学援助を受けなければならない子どもが増えており、東京都では、その割合が高い区ほど学力が低いという統計が出ていることも紹介し、子どもの機会平等が奪われ、格差の再生産が発生し、希望の格差も生まれ拡大している現状に、強い危機感を表した。
教育にかける予算の対GDP比が低く、「人に投資せず、箱モノに過重に投資しすぎている」わが国の現状にも、前原代表は強い懸念を示し、税金の使い方が間違っており、「小さな政府、単純な官から民、安易な規制緩和」という小泉政権の姿勢に批判を加えた。そして、いわゆる4点セットの問題が、決して一過性の問題ではなく、「日本の抱える構造的な問題から出てきている」として、「これを正すことが、二大政党制の中で民主党に課せられた大きな役割だ」と繰り返して指摘した。
小泉政権による医療制度改革の間違いや、コミュニティー・スクールの重要性などにも言及した前原代表は、外交・安全保障政策にも触れ、米国との同盟関係は重視しつつ、過度には依存しないとの考えを改めて示し、戦争放棄など、これまでわが国が築き上げてきた原則を変えようという気は全くない、などと述べた。その上で、日本の安全に直接関わる事態に限定して、自衛権を再定義すべきではないかとの考えも披露した前原代表は、「平和主義を根本から変えるつもりは全くない」としつつ、外交・安全保障政策に関する考えもまとめていくとし、党内で徹底的に議論していく意向を示した。
そして、次の総選挙での政権交代実現に向けて、「構造的に行き詰まった自民党政権を倒すために一致団結を」と前原代表は呼びかけ、「歴史的にも民主党の役割はきわめて重い」と指摘。「本気で次の政権交代をめざす」ために、その同志として徹底的な議論を、と詰めかけた参加者に呼びかけて講演を締めくくった。
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