一般的質疑が行われた衆議院予算委員会で13日、民主党・無所属クラブの原口一博議員が質問に立ち、耐震強度偽装事件、ライブドア問題等について質した。
耐震強度偽装事件に関して原口議員は、姉歯元1級建築士以外の建築士による偽装が福岡市で判明したこと等を踏まえ、「非姉歯物件」の事実の確認と調査状況等を確認。北側国交相は木村建設、ヒューザー、平成設計、総合経営研究所の物件で姉歯元建築士が関与していないものが非姉歯物件であることを明らかにした上で、607件中395件の調査が終了し、サムシング株式会社の関与物件で3件の賃貸住宅の偽装が判明し、さらに他1件で偽装の有無は確認できないものの基準に満たないものがあったことを説明。北側国交相は非姉歯物件の残り212件の調査を迅速に進めると同時に、国交省に設置した緊急建築確認事務点検本部が入手した国指定の民間検査機関の構造計算書103物件やサンプル500件等の調査も行っていく考えを示した。
こうした答弁を受けて原口議員は、国民の不安解消に向けても迅速に調査するよう改めて強く求め、同時に「この案件だけを処罰して終わりというのではなく、構造そのものを変えていかなければいけない」とも語った。
原口議員はさらに入手した情報を元に、姉歯元建築士によって構造計算書の改ざんが行われた物件はすべて元請がヒューザー社であったことを取り上げ、国土交通省の山本住宅局長の答弁を得てその事実を確認。同時に秋葉設計に姉歯元建築士が名義貸しを行っていたとの情報もあるとして事実を質したのに対しても、山本住宅局長は同様の認識を示した。
また、原口議員は、構造計算書を改ざんした動機について姉歯元建築士が関係者に対し「ヒューザー(の分譲マンション)の坪単価が40万から45万と低く設定されていることが原因で、元請けから下請けに大きな負担が来ていた」と説明している点を指摘。これに対し、答弁した国土交通省の山本住宅局長は「同様の認識を持っている」と事実関係を認め、安すぎる単価設定が偽装の背景にあることが質疑から明らかにされた。
原口議員は「姉歯建築士だけの問題ではなく、ここに関わる大きなストラクチャー上の問題。それが今回の偽装に繋がっている」と述べ、1998年の建築基準法改正の前年に、日弁連会長が建設大臣に提出した申し入れを提示した。申し入れ書では(1)営利を目的とする株式会社が公正・中立な立場を保持できるとは到底考えられない(2)手抜き工事等の欠陥住宅を生み出す建築業界の実態体質業者に依存せざるを得ない(3)建築士の現状等を踏まえれば、民間検査によりどれほどの効果が期待できるかは甚だ疑問である――の3点を指摘していた。原口議員は「まさに今回の姉歯元建築士の置かれた立場を日弁連会長は指摘している」と述べるとともに、「せっかく中間検査を導入しても、建築主事による検査のほかに民間の検査機関による検査を認めることによると、中間検査制度はその実効性を十分発揮できなくなるとも指摘している」と述べ、事件の全容解明だけでなく、制度の見直しも必要とする認識を改めて示した。
続いて原口議員は、この問題に関して伊藤公介元国土庁長官がヒューザーの小嶋社長の依頼を受けて国土交通省に対して口利きをしたとされる問題をめぐって質問。「伊藤議員はもっぱら聞く側にまわっていたとされているが事実か」と質したのに対し、小川建築指導課長は「伊藤議員はやりとりを聞く側に回っていた」と繰り返し答弁した。この問題をめぐる公的資金援助に関して具体的な金額の提示がなされたかを原口議員が質したのに対しても小川建築指導課長は「具体的な金額の提示は記憶にない」とするだけだった。
「この問題を政争の具にすることはあってはならない」としながらも、原口議員は国の責任が追及されるという実態の前には真相究明に向け、伊藤議員の証人喚問を強く求めていく考えを改めて強調した。また、公的資金導入の判断基準があいまいである点も問題視し、今後の質疑を通じてこの問題を明らかにしていくと表明した。
続いてライブドア事件を取り上げた原口議員は、ライブドアによる市場に対する背信行為の背景には無線ランの野放図な規制緩和に拠るところも大きいとの認識を示し、忠実で平等であるべきところが政治とITは絡み合うことによって粉飾決算等を生み出す環境を作りえたのではないかと問題提起した。
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