トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2006/02/14
【衆院予算委】長島議員、上海総領事館員自殺事件に関して質す
記事を印刷する



平成18年度予算に関する一般的質疑が行われた衆議院予算委員会で14日、民主党・無所属クラブの長島昭久議員が岡田克也議員、馬淵澄夫議員に続いて質問に立ち、上海総領事館員自殺事件に関して、麻生外務大臣、安倍官房長官らの見解を質した。

 長島議員はこの事件に関して、8日に行われた同委員会質疑で高山智司議員の質問に対して安倍官房長長官が「インテリジェンスに係る問題」として十分に答弁しなかったことに言及。問題の本質として答弁を差し控える姿勢は理解できるとの認識を示したうえで長島議員は、場合によっては秘密会の開催も可能かを質した。安倍長官は「秘密会を開くかどうかは院で議論を」と述べつつも、明確な答弁が可能かについては明言を避けた。

 こうした認識を質したうえで長島議員は、事件の事実経過を確認。当該館員の自殺の理由として、「現地の中国側公安当局関係者による(領事官の保護などを定めた)ウィーン条約国の義務に反するとみられる遺憾な行為があった」とされている点に関して質問した。

 ここで言うところの「中国側公安当局関係者」とはどういう立場の人間かを確認したのに対して官房長は、「インテリジェンスの問題」との認識で答弁を回避したが、ウィーン条約国の義務に反する遺憾な行為によって自殺に追い込まれたことは明確に肯定。「脅迫・恫喝それに類する行為であったと判断する。それによって自殺に追いやられた」と述べた。自殺の原因についてどの段階で条約違反、遺憾な行為が行われたと認識したかについては、官房長は「(2004年)5月6日の自殺以降、5月12日に中国側に対して最初の抗議を行うまでの間」などと答弁した。

 5月6日に事件が発生して6日後の同12日、北京の在中国大使館公使が中国外務省アジア局副局長に対して最初の抗議を行ったこと、全容・真相解明のため、観察・査察担当参事官が5月16日から20日にかけて現地に派遣されたこと、同5月中旬には上海総領事から上海市当局の関係者にも同様の抗議を行ったこと、義務違反があったと判断した最大の根拠は遺書であったこと等が質疑から明らかになったが、国家主権・国民の命に対する重大な侵害が行われたにかかわらず、日本政府・外務省の対応は極めて不十分であったことも質疑から浮き彫りになった。

「対応は抗議だけか」との長島議員の指摘にも安倍長官は「主に抗議を行うということ。抗議については縷々にわたって中国側に抗議している」などとするだけだった。

 5月12日の最初の抗議と、その後の上海市で行った抗議も含め、「まともな抗議がなされてこなかったのが実態」との認識を長島議員は重ねて示し、さらには中国側に調査を求めながらその後の結果について何ら再確認などを行っていなかったことも質疑から明らかにした。

 長島議員は「いまだに(報告を)待っているのか」と語気を強めて政府の対応姿勢を批判し、同時に、事務方レベルの抗議だけで十分としてその後の国家としての対応を怠った政府の姿勢を問題視し、「抗議のしっぱなし、その後1年7カ月も何もしないで待っている。この姿勢をどう見るか」として、麻生外務相に認識を質した。
 
 麻生外務相は「1年7カ月何もしなかったわけではない。弁明の機会を与えていただきたい」などと述べたが、アジア大洋州局長からは明確な答弁はなく、重ねての問いに麻生外務相は「前任者の大臣の判断もあり、最初の事件が起こったときの判断もあったが、今(同様の)事件が起こったときは官邸に報告する」と答弁。この問題をめぐって「官邸への報告を怠った」として外務省の対応の不備を指摘する声がある点をについて、その認識を認めたともとれる発言を行った。
 
 長島議員はさらに、この問題に関する外務省内の事務引継ぎの不十分さにも言及。麻生外務相の前任者である町村外務相には何ら情報が伝わっていなかったことを取り上げ、「正常とは思えない」と指摘。未来志向の日中関係の構築に向けても重要な局面では政治家主導で日本政府としての明確な姿勢を示していくことが不可欠との認識を改めて提示した。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.