民主党耐震強度偽装問題対策本部・国土交通部門合同会議が14日午前、国会内で開かれ、指定確認検査機関の日本ERI株式会社、横浜市、全国銀行協会から耐震強度偽装問題に関連してヒアリングを行い、問題解決に向けた対策と再発防止策等について議論した。
対策本部事務局長代理の三日月大造衆議院議員の司会のもと、挨拶に立った同本部長代理の松本剛明政調会長は「関係の方からお話を伺いながら、私どもの考えを整理していきたい」と表明。同時に、耐震強度偽装の問題は自民党が作ってきた社会が何だったのか、本質が問われる問題のひとつであるとの認識を示し、「小泉政権は自民党を変えたといっているがよくよく見てみると、ヤミの部分は何も変わらず、作為・不作為、場合によってはヤミの部分を助長しているのではないか。そのことが大きく噴出したのがこの問題ではないか」と述べ、国民の立場にたって対策と今後の制度づくりを行っていく考えを示した。
続いて挨拶した同事務局長の長妻昭『次の内閣』ネクスト国土交通大臣は、「いよいよ対案をつくって国会で論戦をする時期が迫ってきた」として、この問題解決に向けて、民主党は対案路線で挑んでいく考えを改めて提示。建築確認を民間委託したことに関しては否定するものではないとする見解を示したうえで、「責任そのものを民営化してしまったことが問題」と指摘し、その点を焦点に議論を展開していきたいとの意向を明らかにした。
ヒアリングでは、指定確認検査機関のこれまでの業務状況が報告されるとともに、日本ERI株式会社の鈴木社長からは「指定確認検査機関のあり方(改善案)」が示された。
鈴木社長は、機関の資格要件の厳格化、責任範囲の厳密化、行政による指導監督の厳格化など、「全体として厳しい方向で改善してほしい」とのコメントがあった。
責任範囲の厳密化に関しては特に、指定確認検査機関の審査検査はどこまでやればよいのか、結果の責任範囲はどこまでかを明確にするとともに、不測の事態に備えて保険加入を義務づけるべきといった改善案が提示された。
横浜市まちづくり調整局建築調整課の平野課長は特定行政庁(建築主事のいる自治体)の代表として、市内にある問題物件の調査状況と対応等をめぐって報告。姉歯元建築士による物件9件中5件に耐震計算書に偽装があり、耐震診断結果にも問題が見られたことを報告。残る4件中2件は偽装はあるものの耐震診断結果に問題なしとの結果が得られたこと等を明らかにした。
当面のつなぎ融資として、仮住居への移転費や仮住居の家賃等の支援を行っていることを説明した平野課長は、「公費の支出の根拠は明確でないが、国と市の喧嘩のつけを住民に負わせるわけはいかない」として特別法の制定等法的根拠が明確になり助成が実施できるまでの間、支出せざるを得ない支援であるとの認識を示した。
最高裁判決等で特定行政庁の責任が求められているなか、国が支援スキームを定めたことだけでうやむやに終わらせることなく、国と自治体と指定確認検査機関それぞれの責任を明確化した抜本的な法改正の必要性を、横浜市は強く提示された。
全国銀行協会は、構造計算書偽装マンションに係る住宅ローンに対し、負担軽減措置、抵当権の抹消への協力、再建後マンション購入にかかわるローンの弾力的な対応等を実施することを協会として申し合わせたことを明らかにした。
合同会議には副本部長の直嶋正行参議院議員、事務局次長の古賀一成、小宮山泰子両衆議院議員、田名部匡省、前田武志、佐藤雄平、加藤敏幸参議院議員、参議院国土交通委員会委員長の羽田雄一郎参議院議員、福田昭夫衆議院議員が参加した。
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