衆議院予算委員会は15日、米国産輸入牛肉について集中審議を開催。篠原孝議員は、民主党・無所属クラブのトップバッターとして関係大臣の認識を質すとともに、食の安全を確保する施策について提言を行った。
篠原議員は、冒頭、問題のある牛肉を出荷した米国の輸出業者の施設について、日本側の調査団を派遣するなどの行動が必要との見解を表明。米国政府からの原因究明や再発防止策を待たず、期限を切って要求を行うなど、「こちらからアクションを起こさなければだめだ」と主張したが、川崎厚生労働大臣・中川農林水産大臣は、報告を受けて対応を考えたいとの姿勢を変えなかった。
篠原議員は、日本側の求める輸入再開条件が守られなかった背景には「食肉業界の抱える構造的な問題」があると述べ、「米国こそ構造改革が必要だ」と厳しく指摘した。その上で、衛生要件を満たさないとして、平成7年、EUに輸入禁止措置を取られた、日本産ホタテガイの事案に言及。EUの現地査察などを踏まえて平成14年に輸入再開となったプロセスを説明し、米国産牛肉の問題について、今後、認可された施設へ少なくとも年1回は視察に行くのかと質した。川崎大臣は、米国の返事を待っている状態であるが、38施設を全て見るつもりであったと答弁し、査察を行う可能性を示した。
篠原議員はまた、「20ヶ月齢の生産記録を備えたものでなければ輸入しないと要求していくべきだ」と主張。月齢判別について、耳標などによる生産記録の徹底を求めれば、米国の業者が基準に合わせようと務め、米国民の食の安全にも繋がるとの見解を示した。中川大臣は答弁で「今やらないから問題だというのとは別の次元だ」と述べ、早急な導入を検討する姿勢は見せなかった。
篠原議員はまた、日本向けの処理加工施設を特別に整備するか、レーンを分けるなどすれば、日本の消費者も安心して米国産牛肉を食べられるようになると主張すべきだとしたが、川崎大臣は、12月に合意した内容を再度議論に加えるかは米国の対応によるとして、受身の答弁しか行わなかった。さらに篠原議員は、食品安全委員会が輸入再開に当たって積極的に報告を出すべきではないかと追及したが、松田食品安全担当大臣は、今の段階では必要はないとした。篠原議員は「食品安全に関わる日本の行政組織が実態に合わない」と見解を示し、食品安全庁のようなかたちで一元的な機関をつくるべきだとした。この提言に対しても、中馬行政改革担当大臣が、機能を十分に発揮するよう見直しは必要だとする慎重な意見を述べるのみであった。
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