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2006/02/23
【衆院予算委】古川議員、年金資金運用や海外所得把握体制質す
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 衆議院予算委員会で23日午前、一般質疑が行われ、民主党・無所属クラブの古川元久議員が質問に立ち、年金積立金運用と国債管理政策、海外所得・資産の把握体制、電気用品安全法等の問題について、谷垣財務大臣、川崎厚生労働大臣らの見解を質した。
 
 古川議員は、90年代半ばに大量発行された国債の償還時期がきて、今後また国債発行が行われることを谷垣財務相に改めて確認したうえで、06年度に積立金運用に特化した独立行政法人に移行する方針が決まっている特殊法人「年金資金運用基金」の年金積立金運用の問題を取り上げた。
 
 基金は将来の年金給付に備えたものとの認識に立って古川議員は、現在保有している国債の運用を満期まで持ちきるという方針を決めた点について疑念を呈した。問題となる国債は残存期間が短く、利回りの低いものが多数を占めることを明らかにしたうえで古川議員は、「これから国債がどんどん発行されてくると、その金利は(「年金資金運用基金」が保有している国債の金利)より高くなる。そういう状況のなか、わざわざ金利の低い、利回りの低い国債を満期までもっていて、買い換えないのは疑問だ」と言及。国債の持ちきりを決めてしまえば、収益・利回りを上げることを放棄してしまうことに繋がり、将来の年金給付に影響を及ぼしかねないとの見方を示した。
 
 「持ち続けるのもひとつの選択ではあろう。古川議員の指摘も勘案しながら、最終結論を出したい」などとする川崎厚労相の答弁を受けて古川議員は「今の段階で持ちきりを決めるのは、資金を有効に、かつ安全に運用していくという視点でいかがなものか」と指摘し、組織の切り替え時に便乗しての持ちきり決定は問題だと語った。「どういうことが国民の年金給付にとって好ましいかとの視点で方針を決めてもらわなければならない」とも川崎厚労相に重ねて求め、同時に持ちきりとなると簿価評価となることも明らかにしたうえで、現在の時価評価重視の流れのなかで簿価評価とするのは時代錯誤だとも指摘した。

 古川議員はまた、「これから国債が大量発行されるこの段階で、年金資金運用基金が国債を持ちきりしないで途中で売られると相場が暴落して財務省にとっては困る。そのため年金資金運用基金にはとにかく持ちきってもらおうということになったのではないか」と述べ、財務省の思惑も透けて見えるとの考えを示した。少なくとも決定は独立行政法人移行後の4月以降で十分対応できたはずとの認識を重ねて示した。

 続いて、国債所有者の海外保有比率の問題を取り上げ、米国やドイツが50%、イギリスやフランスも2割から3割近くとなっているのに対し、日本の4・7%という保有比率は少なすぎるとの認識を示し、「外国の人に買ってもらうための努力が足りないのではないか」と問題提起し、国債の安定化につなげるためにも海外保有比率を上げていくよう谷垣財務相に注文をつけた。

 続いて、ライブドア事件の粉飾決算に見られるように意図的に過大申告した場合の還付制度のあり方に関して谷垣財務相に質問。過大申告によって徴収し過ぎた法人税は基本的に返還されるとの答弁を得て、「過少申告のときにはペナルティをかけて加算分を徴収するのに、過大申告は単に返還されるだけというのはおかしい」として、税法上の観点からしても、粉飾を行った企業にはきびしい措置がとられてもしかるべきだと問題提起した。

 さらに古川議員は海外所得・資産の把握体制に関して、税の徴収という観点からも体制整備が重要だと指摘。しかし、現実には実態調査を行う国際税務専門官は若干は増えているものの、全国で303人しかおらず、国税庁の定員も減り続け、調査件数も軒並み減っている現状である。こうした状況を踏まえて古川議員は、「これでは調査体制は不十分だ」と述べ、体制整備の必要性を強調した。

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