23日午前、衆院予算委員会において加藤公一衆院議員(党広報戦略本部事務総長)が質問に立ち、年齢差別のない社会の実現、障害者雇用の拡大、固定資産の公平課税実現という国民生活に密着した問題について政府の問題意識を質し、施策の前進を強く求めた。
加藤議員はまず、小泉首相も「年齢に関わりなく働き続けられる社会を目指す」と述べていることを引きつつ、雇用対策法の改正によって民間企業に対しては募集・採用における年齢による差別の禁止を努力義務としているのに対して、公務員に関してはこの義務規定がないことを問題とした。これに対して安倍官房長官は、国家公務員法および地方公務員法においては合理的な理由のない差別を排除しているので官民格差はないとの抽象的な答弁を行った。加藤議員は、都職員募集の例を示して、経験職については明らかに年齢制限をかけていることを指摘し、重ねて雇用対策法の公務員への適用除外をなくすべきだと迫ったが、官房長官は同様の答弁を繰り返した。
ここで加藤議員は、公務員の募集・採用についての「合理的な理由」を誰が判断するのかが問題だとしつつ、国家公務員一種の募集についても事実上中途採用に該当するものまで含めながら年齢制限を課しているのはおかしいと指摘したが、川崎厚労相は国家公務員の方が新卒については年齢幅が広く、地方公務員については総務省と相談したいと答弁した。
加藤議員は、雇用対策法の改正による募集・採用にかかる年齢制限禁止の努力義務規定導入の効果を質問し、厚労相より当初目標を達成しているとの答弁を得た上で、法改正の効果が50パーセントを超えれば努力義務規定を義務規定にして良いのではないかと提案した。また、厚労省のガイドラインにある年齢制限を認めている10項目についての見直しを要請した。
加藤議員は、障害者雇用促進法において300人以下の労働者を雇用する事業主については納付金の納付義務が課されない現状を改めるとともに、これらの中小企業が障害者を雇用した場合の報奨金を手厚くして障害者雇用を進めることを提案し、厚労相から検討していきたいとの答弁を得た。
加藤議員はさらに、同法の納付金の対象から特殊法人が外れており、独立行政法人も一つだけが対象となっていることを取り上げ、これは官民格差ではないかと指摘した。これに対して厚労相は、税で運営されているところから納付金を徴収するのはなじまないことであり、特殊法人や独立行政法人は国の代理機関であるので同様だと答弁しつつも、公的機関についても障害者雇用率の公表は行っていくと答弁した。加藤議員は、国の機関においては障害者の雇用率が高いことを評価しつつも、厚生省所管の独立行政法人において雇用率が低い例を上げ、厚労相に対して「まず隗より始めよ」との戒めを述べた。
加藤議員は、納付金の積み立てが納付金総額のおよそ2年分になることを指摘し、引き当て金としては1年分があれば十分であるとして、その有効活用を迫った。さらに、雇用率の未達成企業の公表に5年を要している現状を取り上げ、時間のかけすぎではないかと質した。厚労相は、民間に対しては時間をかけさせて欲しいと答弁した。
ここで加藤議員は、先回に引き続いて固定資産税の課税が地籍調査が終わった地域もまだの地域も従前のままである点を取り上げ、それを容認する大臣告示のある間は不公平は拡大し続けると指摘して、実際の面積で納税している納税者を基準にすべきだと主張した。これに対して竹中総務相は、大臣告示は従前のままという取り扱いが出来るとしているだけであって、どのようにするかは各自治体の首長の判断であると、問題そのものへの答弁を回避した。この答弁に対して加藤議員は、納得できないとして、再度質問すると述べた。
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