前原誠司代表は25日午前、静岡県静岡市を訪問し、党静岡県総支部連合会定期大会で講演を行った。
この中で前原代表は、闘う集団としての民主党再生に向け、対案・提案路線を貫いていくことの必要性を改めて強調しつつ、今国会で問題となっている、いわゆる4点セットの問題について言及した。前原代表は、それぞれの問題に共通する背景として、公が担うべきことまで民間に任せたことの歪みを指摘。ライブドアに関わるいわゆるメールの問題に関しても、この間の事情を紹介しつつ、メールの真偽というものについて、100%本当にこれが正しいものであるという証明ができていないことに責任を感じ、永田議員が野田国対委員長に進退伺いを出したことを説明した。
そして、永田議員の入院に関しても、「まともな判断能力が回復した段階で、しっかり話をする」とし、「うやむやにする、或いは病院に隠れるなどということでは全くない」と強調し、出席者の理解を求めた。そして、メール問題については、「100%、その信憑性について確認できるような立証責任が果たせていないことについては、党員の皆さま方を含めて国民の皆さま方に、これは率直に認めなければならない」としつつ、「巨大な闇が広がっているという印象は、全く微動だにしていない」と述べ、更に調査を進めて情報を検証し、「しっかりと説明責任を果たしていく、真相究明をさせていただく、そのことについては、改めて代表としてお誓いをさせていただきたい」と語った。
内政問題について、特に政権をめざす上での民主党の立ち位置についても前原代表は触れ、莫大な借金を抱える財政の問題についての危機感をにじませるとともに、解決策への展望と、ムダづかいを徹底的に削る具体策について詳しく説明を展開した。同時に前原代表は、小泉政権による小さな政府路線について、改めて疑義を呈し、本来、公が担うべきところまで民間に任せ、「全てを競争原理に委ねて、この社会の調和というものはとれるのか」と述べた。そして、その具体例として医療制度改革を挙げた前原代表は、診療報酬の引き下げが自己目的化している小泉政権による改革を批判。患者の視点に立った医療を実現することが改革の目的ではないのかとして、急性期医療や小児科などにも手厚く配慮する改革の必要性を、実例を挙げて強調した。そして、社会のセーフティネットを築くための、安心・安全のための予算については、ムダは排しながらもむしろ手厚くしていく考えを前原代表は示し、「効率的だが人に温かい政治を求めていくという基本的な考え方を改めて示し、小さな政府、冷たい政治の自民党との違いを明確に語り、内政ビジョン策定への意欲をあらためてにじませた。
外交問題についても前原代表は、イラク戦争のみならず、イランの核開発問題、ハマスの選挙での勝利など、複雑かつ危機敵状況にある中東情勢について特に言及。PLOへの平和の配当としてのODA実施などの過去の事例を挙げ、わが国は、米国の現在の中東政策とは一線を画すべきだと強調した。
そして、「内政も外交も、今の小泉路線では早晩、行き詰まるのは火を見るよりも明らかだ」と前原代表は指摘。「内政でも外交でも、大きく今の日本の方向性を間違えそうな今の自民党しか、国民の選択肢がなかった場合に、日本という国がどうなっていくのか」と語った。その上で前原代表は、民主党が今こそ踏ん張って政権交代に向けて力をたくわえ、その役割を果たしていくと理解を求めて講演を締めくくり、出席者から大きな拍手を浴びた。
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