参院・行革税制等特別委員会の2日の質疑で、民主党・新緑風会から高嶋良充、輿石東、寺崎昭久の3議員が質疑に立った。
●同じ問題で、なぜ別の係争処理機関?
高嶋良光参議院議員
高嶋良充議員はまず、組織再編による身分切り替えに伴い、地方事務官に対して、激変緩和などの経過措置をとるよう要請した。
続いて、法定受託事務に関する「都道府県の市町村に対する関与」(改正法245条の7第2項)規定について、u自治省は、明文化されていないが法的義務が伴うと説明している。これは権力的な関与だ。国の間接的指示に等しい」と指摘し、紛争処理は「国地方係争処理委員会」で扱うべきだと主張した。野田自治大臣は「国の直接指示・関与ではないので、あくまで都道府県と市町村の間の係争処理で扱う」と答弁。
これに納得できない高嶋議員は「同じ問題でも、都道府県を通じた場合と、直接関与の場合で、なぜ別の係争処理機関になるのか。自治省内に事務局を設けることも、地方の不信感を招きかねない」と反論した。
●教育の分権に用語や処理基準の整理必要
輿石東参議院議員
教員の経験を持つ輿石東議員は、昨年9月に出された、第16期中央教育審議会の答申に基づく、今回の地方教育制度改正の基本的考えについて質問した。
有馬文相は「1.国の役割を明確化し、2.文部省や都道府県教育委員会の指導、助言、援助などの規定を改め、3.教育委員の数の弾力化、教育長任命制度の廃止など教育委員会制度の改善、などを盛り込んだ」と答弁。
それを受けて輿石議員は、機関委任事務として行われてきた教育上の「通達行政」について「廃止後、国の関与が残らないよう、用語や処理基準などの交通整理が必要だ」とさらに政府をただした。
野田自治相は「義務を伴う通達は廃止され、義務を伴った国の包括的指導はなくなる。また処理基準は必要最小限の関与にとどめる」と説明した。
●地方財政危機は国の景気対策が一因
寺崎昭久参議院議員
寺崎昭久議員は、地方自治体の財政危機問題を中心に追及。
まず東京都発行のパンフレットで「平成4年以降、税収が落ち込む中、都債を活用し、国の景気対策に呼応して景気対策。右肩上がりの成長に期待した財政運営をしたため赤字がひどくなった」と認識している点を紹介。そして「国の景気対策の肩代わりをされてきた」「長期展望のないまま、不要不急のハコ物がたくさんできた」と政府の責任を追及した。
これに対して野田自治相は「かなりの部分は都が独自の計画で行ったもの」と弁明したが、一方で「緊急経済対策として公共投資を要請する際、財源手当として起債の充当率を高め、元利償還でも便宜を与えてきたことは事実」と述べ、「結果として、多くの負担を生じた」と、国の景気対策が間接・直接的に、地方自治体の財政赤字に影響を与えたことを認めた。
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