海野徹参議院議員は、13日の参議院法務委員会の組織犯罪対策3法案の審議で通信傍受(盗聴)法案がE−コマース(電子商取引)や暗号技術に及ぼす影響について、法務省、警察庁だけでなく郵政省や通産省の関係者も呼んで質問した。
海野議員が、「暗号がかけられた電子メールの解読の技術的可能性が低ければ、傍受しても解読できないとなると、法案そのものが欠陥だらけではないか」と尋ねたのに対し、法務省の松尾刑事局長は「捜査機関としてはその解読に努める。そのための技術や装備、機材、専門家の援助、鑑定等の捜査手法を用いて対抗する。法案の13条2項はそういったことを想定して書いている」と答えた。さらに、海野議員が「立法過程でインターネットでの暗号化通信は想定しないのでは」と迫ると、松尾局長は「リヨングループという国際的なハイテク犯罪のための上級専門家グループがあり、ここで暗号化の問題についても議論されている。暗号も想定して法案を作成している」と反論した。
また海野議員が「無差別にインターネット通信が傍受された場合、電子商取引など情報通信関連の産業全体の阻害要因になるのでは」と質問。通産省の広瀬機械情報産業局長は「国際的にも大きな問題だ。暗号の自由な利用と、国の政策としての必要性を共に満たしていくような努力が必要」、郵政省の天野電気通信局長は「電子商取引の安全、信頼性確保の観点から、関係省庁と協力しながら、電子文書における電子署名、電子認証に関する制度整備に取り組む」など、当たり障りのない答弁に終始した。さらに暗号技術への規制について海野議員が確認したのに対し、松尾局長は「考えていない」と答えた。
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