衆議院予算委員会は14日から補正予算に対する総括質疑に入り、民主党から石井一副代表と川端達夫・党雇用対策小委員長の両議員が質問に立った。
石井副代表は、まず今回の補正予算の性格についてただしたあと、「平成11年度末の国・地方の長期債務残高は600兆円。国民1人あたり500万円の借金でサラ金地獄の状況だ。歳出削減も行革も構造改革も何もない」と後手後手の対応を批判したが、小渕首相は「財政再建には、まず経済のプラス成長が必要。そのために引き続き最善の努力をする」と、いつもの官僚答弁で言い逃れた。
続けて石井副代表は、選挙での公約と異なる自民・自由・公明3党連立の動きを批判し、国民の信を問うよう求め、さらに「自自合意」による衆議院定数50名削減の今国会成立を明言するよう迫った。
小渕首相は「自自2党間の約束に、他党がご了解いただけるのか」などと責任転嫁。石井副代表は「党首会談でやると決めたら不退転の決意でやる、と自民党執行部・議会関係者に指示すべき」と強く迫ったが、小渕首相は「他の党から指図は受けない」と高圧的な態度で開き直った。
さらに石井副代表は、「反・小沢」(一郎自由党党首)の急先鋒だった言動から一変した野中官房長官の政治行動に触れ、「政治は信義である」「保保連合を組むなら離党する」などの著書やインタビュー記事の具体的発言を引用し、「政治家の発言は一番重いはずだ」「他党の党首を悪魔・売国奴とまで言ったが、あなたはどうなのか」と弁明を求めた。
これに対し、野中長官は「もし望むなら、あなたについて申し上げることがたくさんある。あなたからそのようなことを言われる筋合いはない」と顔を引きつらせながらにらみ返した。石井副代表は「今の答弁はまるで脅迫だ。自民党政権は恐怖政治か。質問者に対してそういう言い方をする内閣か」とあきれ果てたような口調で反論。不誠実な答弁へのヤジも乱れ飛び、最後まで緊迫したやりとりが続いた。
二番手で質問に立った川端達夫・党雇用対策小委員長は、まずコンピュータ西暦2000年問題(Y2K)への政府の対応をただした。
小渕首相は「安心して2000年を迎えられる態勢は整っているが、さらに点検に点検を重ね、万全の対策をつくす」と胸を張ったが、川端議員は「起こらないようにするのは当然だが、何か起こったときにどうするのか。世界はむしろその方向にシフトしている。技術問題ではなく危機管理の問題」と指摘。アメリカの事例などを上げ、「政府は国民に対して、万一に備えてのメッセージを出すべき」「市民生活を守り混乱が起きないようにするための対策組織と政治家のリーダーシップを取りうる責任者の設置を」と主張した。
しかし野中官房長官らは政府側の取り組みを強調するばかりで、川端議員の提案には答えなかった。
また川端議員が「暮らしに絶望して死んでいく自殺者が3割も増えているのに、国民の不安解消へ内閣総理大臣として安心できるメッセージが見えない」と迫ったが、小渕首相は「どういう原因があるかできるだけ早く精査したい」などと答えるだけだった。
さらに川端議員は、「度重なる企業のリストラは、従業員のモラル低下をもたらし、不安は増大し、日本の国の勤労システムの崩壊がおきている。補ウ予算には、その解決への政府の死にものぐるいの態度と決意は示されていない」と失望感を表明。
具体例として、約2000億円で30万人の雇用創出をめざした政府の「緊急地域就業機会創出特別対策事業」にふれ、「内容は地域まかせ、申請主義で、事業は2年間で終わらなければならない。これではいい人材は来ない。ある自治体では『臨時職員の給料に回す』と言っている」と追及。甘利労相は「あくまでも常用雇用に就くまでの臨時的措置として公的セクター中心に雇用を生み出すもの」「できることは何でもやるという小渕内閣の決意表明だ」と強調したが、川端議員は「思いつきを並べただけ」とそのビジョンの欠如ぶりを指摘した。
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