事業規模で約5400億円の緊急雇用対策などを盛り込んだ平成11年度の一般会計、特別会計補正予算案は、19日の参院予算委員会における採決を受けて、21日の参議院本会議に上程された。江田五月議員が反対討論に立ち、政府案の欠陥を厳しく指摘したが、採決の結果、自自公3党の賛成多数によって可決、成立した。
江田議員は補正予算案に対する反対討論で、(1)本予算執行から3ヶ月、同じこの通常国会会期に補正予算を提出したのは、政府自ら“欠陥予算”と認めるもの(2)雇用政策の名に値せず、単なる思いつきにすぎない。15分野の雇用創出の試みも全く効果なく、緊急地域雇用特別交付金も悪名高い“ふるさと創生”の二の舞になりかねない(3)新事業やベンチャー企業育成のための施策が欠けている(4)少子化対策に理念も哲学もなく、雇用対策としても的外れ。2000億円の交付金はハード面を優先し、保育士の増員・育成などソフト面はおざなり――と、補正予算の問題点を数え上げた。
さらに江田議員は、閣僚席の野中官房長官も見やりながら、石井一・民主党副代表との衆院予算委での論戦を取り上げ、「お上(政府与党)が民(野党)の弱みを探し出し、民の追及を押え込む。その上、盗聴法で民にプライバシーの公開を強要するのか。それはもはや民主主義でない」「権力政治の冷酷な本質が透けて見える」と一刀両断にし、小渕政権の「権力政治」の本質を痛烈に批判した。 補正予算案は、その後、自民・公明・自由3党などの賛成多数で可決、成立した。
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