衆議院予算委員会は2日、特別公的管理されている日本長期信用銀行(長銀)や日本債券信用銀行(日債銀)の経営破たんや粉飾決算事件についての集中審議を行った。民主党など野党の強い要求で実現したもので、民主党からは横路孝弘総務会長、上田清司衆議院議員が質問に立ち、焦点の決算粉飾事件で旧経営陣が逮捕された日債銀をめぐる大蔵省の行政責任などを追及した。
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日債銀の粉飾疑惑については、日債銀が民間金融機関に検査結果を通知し、増資を要請した97年5月19日以前に、大蔵省銀行局が、同行が事実上債務超過であることを知りながら、甘めに見積もった同行の自己査定結果を検査結果として伝えるのを黙認していたことが明らかになっている。
さらに、日債銀が98年春に公的資金600億円の投入を受ける際にも、金融危機管理審査委員会の審査の過程で、当時の松永光蔵相が「債務超過ではない」とお墨付きを与えた。いずれも97年春の大蔵省検査が、日債銀再建の根拠となっていた。
横路議員が、「大蔵省は日債銀の粉飾決算を黙認していたのではないか」と批判したのに対し、宮沢蔵相は「甘いところはあった。日債銀の言うことを信頼してよいのかとも言えるが、大蔵省として債務超過と考える理由はなかった」などと否定。しかし、横路議員は、「債務超過は経営内容の一つの指標でしかない。経営全体の健全性が考慮されたのか」と大蔵省の認識に疑問を呈し、「山口元銀行局長が検査の結果を97年9月の示達まで知らなかったということはあり得ない」として、日債銀に積極的に関与したとされる同氏の参考人招致を重ねて要求した。
また横路議員は「逮捕された窪田元会長は大蔵省、東郷前社長は日銀出身。大蔵、日銀が一体となって再建策などをバックアップした」と両者と日債銀の癒着ぶりを指摘しながら、「民間人だけが刑事責任を追及されるのに、大蔵当局の責任が問われないのはおかしい」と批判。「問題の98年3月期の決算の前に、大蔵省から日債銀をつぶさないように決算を作るよう指示を受けたとの東郷前社長の証言がある。大蔵省の教唆、ほう助による粉飾決算だ」として、十分な捜査を求めた。
続いて質問に立った上田清司議員は、幸福銀行の例を挙げ、「たとえ金融検査が正しく行われても、それを銀行局がねじ曲げているのでは」と批判し、NHKが報道した日債銀をめぐる大蔵省内部の金融検査部と銀行局の対立を紹介。「きわめて奇怪な動きがあったことは事実。これで『最善を尽くした』といわれ、誰が納得するのか」と、これまでの答弁の矛盾を改めて指摘し、当時の事情を知る大蔵省の山口・元銀行局長と中井・元審議官の参考人招致を重ねて要求した。
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