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2006/07/20
【参院農水委】郡司議員、米国産牛肉再々開を前に問題点を指摘
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参議院農林水産委員会で20日、今月下旬にも米国産牛肉輸入再々開となるのを受けて閉会中審査が行われ、民主党・新緑風会の郡司彰議員が質問。川辺川ダムに関する農水省の見解、米国の牛肉処理施設のBSE対策調査結果、牛肉等に関わる関税、WTO交渉等について、中川農水相らの認識を質した。

 輸入再々開で米国と合意した日本政府は、米国の牛肉処理施設におけるBSE対策を確認するため6月下旬から調査を行っており、問題のない施設に限り今月下旬にも輸入を認める方針を示している。

 冒頭、郡司議員は、テーマが限定されている閉会中審査の趣旨からは外れるがと前置きしたうえで、ダムに頼らず熊本・川辺川流域の発電用の水を農業用水に活用するとする農水省から示された新案に言及。民主党が常々主張してきた「ダム事業は4つの目的があると言われてきたが、ダムがなくても4つの事業はでき得るということを主張してきた」と表明して、現時点での農水省の見解を確認した。中川農林水産大臣は、「知事等の要請に応じて既設の同水路活用案を提案した。これはダムに依存しないものだ」などとして経緯を説明。まだ関係市町村の合意には至っていないことも明らかにし、「国としては県・市町村と協力して、努力していきたい」とした。こうした答弁を受けて郡司議員は、ダム事業等では地元に諍いだけを残すということが多々あると指摘したうえで、関係者に対しては国として十分配慮していくよう注文をつけた。

 続いて米国産牛肉の輸入再々開問題に関しては、政府による米国内の牛肉処理施設のBSE対策調査に関しては、報告さえすれば終了という意味合いのものではないと釘を刺し、23日の調査団帰国時にはどういう形で詳細が示されることになるのかを確認。政府側は「調査終了後、日本政府としては米国側の検査体制なり、対日プログラムの有効性を検証したうえで、調査報告書についてはできるだけ情報を盛り込んだ形で公表したい」とする答弁を引き出した。郡司議員は同時に、14日に米国産のローストビーフ1箱が日本に輸出される七面鳥の冷凍胸肉と冷凍ハムを収容したコンテナに混入したことについても指摘。「米国は非常に大きな国なのでこの程度の混入は問題にならないのかもしれないが、すべからくこういうことが、ひとつひとつの積み重ねのなかで、(特定危険部位の混入した)前回のような形になるのではないかと危惧している」と述べ、日本政府として細心の形で米国からの報告を受けるなど厳格に対処するよう求めた。
 
 郡司議員はまた「米国産牛肉の輸入再開を望んでいるのは米国だけではなく農水省も同じ。その理由は関税収納が落ち込んでいて、それによって行うべき事業が行えないでいる。さらにはその事業を行う機関は官僚の天下り先となっている」との論調があることも取り上げた。質疑からは年間1000億円で推移してきた牛肉の関税収入の多くは特定財源として、子牛の価格低落時の生産者への補助事業、牛肉生産体質強化振興事業など、様々な畜産関係事業に使われていることが明らかになった。郡司議員は「肉用子牛の補給金というのは生産者から見れば肝心な事業」と指摘するとともに、質疑を通じて平成3年から約1兆3000億円の税関収入を国産牛肉の安定強化事業につぎ込んできたことを確認。そのうえで、安定して牛肉が輸入され、国産牛肉対策費が潤うだろうという前提があること自体、見方によってはおかしな構造であることを問題視し、「このシステムでいくと、米国産牛肉の再々開によって波乱含みになってくる」と指摘。再考の必要性を指摘した。

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