トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2001/06/06
鳩山由紀夫代表VS小泉純一郎首相/党首討論第1回
記事を印刷する

(国家基本政策委員会合同審査会)
鳩山由紀夫代表VS小泉純一郎首相/党首討論第1回



○会長(堀之内久男君)
これより国家基本政策委員会合同審査会を開きます。本日は、私が会長を務めさせていただきます。国家の基本政策に関する件について調査を進めます。これより討議を行います。討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及ぴ総理は、配分時間を厳守し、相互の発言時間を考慮しつつ、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。発言の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。



○鳩山由紀夫君
 改めて、小泉総理、御就任まことにおめでとうございます。国民の一人一人として、民主党の代表の前に国民の一人一人として、国民の皆さんに期待される総理が誕生するということはすばらしいことだと思っています。正直にそう申し上げます。

 まず、総理がハンセン病の原告団に対して、大変、控訴せずという英断をされたことを、私ども民主党としても心から感謝を申し上げたいと思っています。私は、民主党の代表ではありますが、総理が国民の皆さんに向かって正しい判断でこの国を導いていかれようとする、構造改革を断行されようと、そそんなお気持ちで努力されることを、私は評価をしたいと思っているのです。

 ただ、多分、多くの国民の皆さん方の期待感の中で、なぜ小泉総理が誕生したか。小泉総理が総裁選のときに、自民党を変える、そうおっしゃった。自民党を小泉さんのもとで壊してくれるんじゃないかという期待感で、多くの国民の皆さん方が応援をされているんじゃないか、そんなふうに思います。

 私は、民主党として、外から自民党を壊していきたいと思います。どうぞ、.小泉総理には、自民党のこの古い体質を中からどんどん壊して、新しい政治の流れというものをつくり出していただきたいな、そんなふうに思っています。

 そこで、きょうは私は、三つの構造改革、総理が努力をされておられる三つの構造改革についてお尋ねをしたい。一つが政治の構造改革、二つ目が経済の構造改革、三つ目が財政の構造改革です。

 一つ目の政治の構造改革について申し上げますが、民主主義の原点は、やはり一票の格差をできるだけなくすということだと思います。私たち民主党は、もう既に、一票の格差を基本的になくすその法案を、この衆議院の選挙制度でありますが、提出をしています。総理は、伺いますと、その考え方に基本的に同調されているというふうに伺っていますが、それで本意でしょうか。よろしいんですか。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 一票の格差是正ということに対しては、今までいろいろな議論が交わされてまいりました。

 私は、基本的に、衆議院の現在の制度も、中選挙区の制度の時代からも、二倍以内におさめるのがいいのではないかと述べてまいりました。現在でも、その考えに変わりはありません。



○鳩山由紀夫君
 一票の格差を二倍以内にするということを、現実にどうなっているかと申し上げると、九十五の選挙区で一票の格差が二倍を超えています。となると、その九十五の選挙区、動かさなければならなくなります。相当な覚悟がやはり必要ですが、私たち民主党は、既にそのことは了承を党内でいたしています。ぜひ自民党としても早急に、参議院の選挙が間近なんですから、参議院の選挙の公約として、一票の格差をなくす、選挙制度を根本的に見直す、その方向で党内をおまとめいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 選挙制度を根本的に見直すというんだったらば、私は首相公選制がいいと言っているんです。それと、今の小選挙区比例代表制度にも私は欠陥がいろいろあると思うんです。その中の一つが、一票の格差の問題も含まれると思いますが、この点につきましては、現行法においては、たしか都道府県に'議席与える、そしてその他の問題について二倍以内におさめるということで、今、選挙区画定審議会で議論しているところだと思います。

 この問題については、参議院選挙制度と違いますから、衆議院選挙は。参議院選挙が終わってからいろいろな議論が出てくると思いますが、最初に述べたとおり、私の基本的な考え方は、二倍以内が妥当だなと思っている点は変わりないわけですから、議論の推移を見ながら、いつの時点でこういう議論がまた各党から持ち上がってくるか、状況を見ながら、選挙区画定審議会の意見もよく踏まえながら、判断をしていきたいと思っております。



○鳩山由紀夫君
 総理の首相公選論というものは、私も大変に興味を持っておりますから、いずれしっかりと党首討論で議論をしてまいりたいと思います。私は、今申し上げたのは、その一票の格差をできるだけなくすという方向で総理も努力をされるということでありますから、大いにそのことは期待をしたいというふうに思っています。

 参議院選挙であれ、衆議院選挙であれ、同じ日本の国民が有権者ですから、選挙の前に、どのように自民党は考えているか、民主党は考えているか、そのことを述べ合いながら、そして審判を受けるのが当然だと思いますから、ぜひ自民党をおまとめいただけるように、そういうところにぜひ小泉総理のリーダーシップを発揮していただきたい、心からそのことをお願いします。

 さて、二番目の議論に移ります。それは経済の構構造改革でございます。

 総理も多分これは基本認識は同じだと思いますが、日本の経済がまだこんな状態、かなり地方は厳しいですよ。この原因、やはり不良債権の処理、十分に行ってこなかったこの不良債権の問題が最大の課題であるという基本認識は総理も同じでよろしいんですよね。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 私の所信表明にありましたとおり、当面、緊急の課題として、二、三年以内に不良債権の最終処理を目指すということをはっきり打ち出しております。この問題について、現下の最重要課題の一つだと思って取り組んでいきたいと思います。



○鳩山由紀夫君
 その認識であるならば、お伺いしたいんですが、今日まで、銀行が自分たちの資産を査定をして、そしてそれに対して引き当てを行っている、それは適切に処理をされているというふうに認識をされておられますか。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 いろいろ金融問題については各行それぞれの対処があると思いますが、私は、今までのいろいろなやり方の反省も踏まえて、適切に処理が行われなければならない。そのために、金融担当大臣も大変御苦労されております。今後、こういう問題について、不良債権処理を目指して、適切な処理が行われるよう、我々も努力していかなければならないと思っております。



○鳩山由紀夫君
 今お尋ねしたのは、今日まできちちんとした資産査定がなされて、そして、それに対して引き当てが十分に、適切に行われているかという質問でございまして、行われるように努力をしなければならないということは当然でありますが、そうではなくて、現実にそうなっていますかと、現実の話を伺っておきたいと思います。もう一度、御答弁願います。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 適切に処理されている面もあるでしょうし、あるいは甘いと思われる点もあるでしょう。それは今後、御指摘いただきまして、直していけばいいのではないかと思っております。(発言する者あり)



○会長(堀之内久男君)
静粛に願います。



○鳩山由紀夫君
 柳澤大臣は、適切にすべて行われているというふうに判断をし、答弁をされていますが、それでは、その認識は違いますか。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 適切に処理されているということで担当大臣は答弁をされておりますが、いろいろな議論を個別に伺っていくと、中には甘いという点もあるのではないかということを今まで審議で言われてきました。その点は謙虚に、そういう意見も踏まえてやっていけばいいのではないかと私は思っております。



○鳩山由紀夫君
ということは、柳澤大臣の認識とかなり違うということが明らかになったわけでありますから、ぜひ政府内で統一をしていただかなければ困るなというふうに思います。

 そこで、私は例を挙げたいと思いますが、優良銀行として誉れの高い三菱東京ファイナンシャルグループが、かつては、かつてといってもつい最近までですが、二兆八千億円、不良債権があるというふうに報告をしていましたが、この決算において、四兆五千億円、五五%、五割以上、実は膨れ上がってきていたという報告がなされたのです。これは自身で、要するに銀行自体が、どうも今までの査定はいいかげんだったと彼らが自分で言っているんです。こういう面がやはり今日の不良債権の処理をおくらせてきたというふうに御認識されるわけですね、今までの総理の答弁を拝見すると、やはり必ずしも十分ではない部分があったと。

 今、三菱東京ファイナンシャルグループのことを申し上げたけれども、そのようなことが実態としてあったから、だから不良債権の処理がうまくいっていなかった、そんなふうに理解してよろしいんですか。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 不良債権の定義というところから、まず入らなければいけない。この定義の問題で、いろいろあると思いますが、建前だけ議論してもしようがないでしょう。私は、建前として議論をして、実態は違って、あなた方の定義と金融庁の定義が違うんだったら、意見を闘わせながら、どっちがいいか妥当な判断をすればいいのであって、私はそういう問題、もっと詳しい、こういう具体的な、専門的な議論があるんだったらば、予算委員会もありますから、担当大臣臣を呼んでやればいいんですよ。〈発言する者あり)



○鳩山由紀夫君
 いや、わかっています。私は別に民主党の定義で申し上げたのじやないんです。金融庁の定義に従って、査定を、今までずさんに行っていたのを、本気でやったらこれだけの額がふえてしまったという話なんです。別に、定義で変わったということじゃないんです。

 いま一つ申し上げれば、実は今まで不良債権の総額、八十一兆だというような報告がありました。ただ、我々、金融庁に再三、これも本当にそうなのかと、いろいろと調べてもらいました。最終的に百五十兆、問題債権があるという話になった。その問題債権が百五十兆あるということをどのように認識されますか。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 さっきも言ったように、定義で金融庁と鳩山さんと違う点がある。不良債権と問題債権と金融担当大臣は違うと言っている。そういう点は、予算委員会の場がたくさんあって議論したじゃないですか。まだ、きょうの党首討論で、お互い政治家としてあるべき姿を議論しようと言っているんですよ。これでもし問題が片づかないとか聞き足りないことがあったら、予算委員会もたくさんあるんですから、私よりも柳澤金融大臣たちが答弁した方がはるかにわかるわけですよ。党首同士でもっとわかりやすい議論がたくさんあるじゃないですか。そういう意味において、不良債権と問題債権の違違いというもの、もっと詳細に聞きたかったら、私は、予算委員会の場でも担当大臣からよく聞いていただければいい士いうことを言っているわけであります。



○鳩山由紀夫君
 私は、別に定義がどうのこうのと言っているんじゃありません。問題債権と言っております。問題債権の中にも担保で保証されているものもあるんです。そのことは十分に知って申し上げているんです。でも、その中に不良債権になる可能性のあるものがたくさん含まれているということも実態なんです。それだからこそ、この百五十兆円、問題債権があるということで、アメリカが日本に対して、この国、まさに不良債権国家じゃないか、要注意国家だというふうに、アルゼンチン、トルコ、そして日本が挙げられてしまっているという事実があるわけじゃありませんか。私たちは、いいですよ、総理がその定義ですぐに不良債権の処理が二年、三年で終わると言うんなら、それならばいいかもしれない。しかし、現実にはそういうふうに推移していない。いつも大昔の査定のもとで引き当てが行われているから、不良債権が何年たっても、いつまでたってもふえ続けているだけじやないですか。この原因をどうして認めようとされないのか、もう一度お答えを願いたい。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 不良債権をゼロにするというのは、まず不可能だと言ってもいいと思いますよ。しかし、今まで言われたような問題がありますから、これを何とか、不良債権の問題を後ろ向きな対応から前向きな対応ができるように、二、三年以内に処理をしようということを言っているんであって、それは、今後、不良債権とか問題債権、いろいろ定義の仕方はあります。この点の問題につきましては、今後いろいろな議論を踏まえて、外国からも批判を浴びないような対応を日本もとっていきたい。



○鳩山由紀夫君
 今まで、小泉総理は必ずしもすべてのことをこの不良債権問題に関して理解されていないんだと思う。先ほどから柳澤大臣に聞いた方が正確だという話をされるということは、私は、日本にとって、いや世界にとって日本の不良債権の問題というのが最大の課題になっているときに、総理が、自分は裸の王様で、全部柳澤大臣に任せているから安心だという話じゃないと思う。もっと正確に理解をしていただかなければ困る、私はそう思います。ですから、この問題に関して、私は、もっともっと、総理が今までの歴代の総理のように、真実を、終わった後で、知らされてなかった、大蔵省にだまされていた、そんな発言ばかりされては困るので、だから今、総理がしっかりとした認識をこの不良債権の問題に持っていただくように心からお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、時間の問題で、あと、三番目のテーマに入ります。財政の構造改革でございます。財財政の構造改革、私は、総理が道路特定財源の一般財源化、その方向に向けて努力をしたいというふうに話されていることは、勇気ある発言だと本当に思っているんです。

 今まで道路は、確かに、過去において重要な議論でありました。私たちも、私も田舎に住んでおりますから、田舎において道路というものが重要であることは十分に認識をしています。でも、必ずしも、いいですか、車が十分に通っていないところに道路整備ができてしまっている。一方で、社会保障、福祉とか医療、お金が十分にない。環境、教育、お金が不足している。だから、道路の特定財源を一般財源化するという方向は、それは非常に勇気ある発言だと思う。私どもも、党内で議論はあったんです。正直申し上げると、さまざまな反対議論もあった。でも、私どもは、道路特定財源を一般財源化する、そして参議院の選挙の公約にそのことを入れることをうたったんです。ぜひ総理も、参議院の選挙がもうわずかであるんですから、それまでの間に、道路特定財源の問題に対しできちんとした方向を出していただきたい。お願いします。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 今までの私の答弁でもはっきりしておりますように、参議院選挙前に道路特定財源は見直すということをはっきりうたうと言っております。どのように見直すかというのは、参議院選挙後にいろいろな議論を聞いて見直せばいいわけですから。見直すことははっっきりしております。



○鳩山由紀夫君
 今の総理の発言には極めて落胆をいたしました。見直すというのは、あるいは検討するというのは、政治用語ではやらないことを意味します。

 道路特定財源、確かに自民党のある意味での利権の牙城でしょう。だから、そこにメスを入れるということは大変なことだと思う。しかし、参議院の選挙の前でしっかりと一般財源化をうたわないと、総理、むしろその選挙の後、いわゆる道路族、橋本派、そういう方々がどんどん誕生して、結果として、総理が見直そうという方向と逆方向に行ってしまう可能性があるじゃないですか。だから、総理、参議院の選挙前にこれはうたわないと、絵にかいたもちになる、そう申し上げている。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 今まで何と言ったんですか。見直さないと言ったのを見直すだけでも大変なものだと言ったじゃないか、鳩山さん。見直しちゃいかぬと今まで言ったのを、私ははっきり、見直しますと、参議院選挙の公約に掲げますと言っているんですよ。しかし、私は独断専行は避けたい。見直すという議論は多種多様であります。国会の議論もある、地方の議論もある。いろいろ聞いて、どう見直したらいいかというのは、私人でやるべきものでもない。いろいろな方々の意見を聞いてやっていくのが、これまさに民主主義ではないか、そう思って、具体的な中身は参議院選挙後にいろいろな方々の意見を聞いて、あるべき姿を見出していきたいと思っております。



○鳩山由紀夫君
 参議院の選挙、大変重要な選挙です。選挙において、ただ単に見直す。確かに、今まで見直す勇気もお持ちでなかった。それは、すべて聖域と言われていたかもしれない。その聖域の中に手を突っ込まれようとしている小泉総理の勇気には、むしろ私ども、背中を押してあげたいと思っているんです。だから、今も申し上げたように、参議院の選挙の前に結論を出さないといけないのだというふうに申し上げたい。(発言する者あり)いいですか、総理。今、あのようにやじが飛んでいますでしょう。あのやじを飛ばしている方々は、あなたの、小泉総理の改革路線に足を引っ張っている抵抗勢力なんですよ。私たちが、小泉さんがなさろうとしていることをプッシュして、背中を押してさしあげようとしている。だから、こういう党首討論でもっと前向きの答弁を総理から期待をしているんです。私たちは改革勢力、小泉さんのまさに後ろを振り向けば、ずっと抵抗勢力がそろっておられるということを私は非常に心配をしています。



○会長(堀之内久男君)
 時間が参りました。



○鳩山由紀夫君
 だから、私たちは、小泉総理、勇気を持っていただきたい。勇気を持って行動していただきたい。もし、小泉総理が勇気を持って改革に邁進をして、志半ばで倒れたら、私たちが、民民主党があなたの骨を拾ってあげますから。ただ、このように途中でひるまれてしまったら、多くの声を聞いたら何もできなくなるから、そのようなときには、私たちはあなたの首をとらなきゃならない、その覚悟で臨んでいただきたいと思います。以上です。



○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
こんなはっきり前向きなのはないでしょう。はっきり見直すと言っているんだから、これ以上の前向き、何があるんですか。



○会長(堀之内久男君)
これで鳩山由紀夫君の発言は終了いたしました。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.