参議院の行政改革に関する特別委員会が、首相出席で18日午後開かれ、大塚耕平議員が行政改革の本質は財政再建にあるとして、制度、法律を作っただけでは目的を達することができないと指摘して、役人、官僚の順法精神、国民全体の奉仕者としての精神こそが大切であると主張した。小泉首相も、「法律だけではいけない」として、与野党問わず、国会の質疑でいい点があれば取り入れるよう担当大臣に指示していると答えた。
大塚議員は冒頭、「財政再建のない行政改革はクリープのないコーヒー」だと行政改革の目的を明確にした上で、無駄遣いの象徴として、ふるさと農道など、農道だけでも4種類も存在しており、しかもその建設費が1メートル当たり500万円以上もすることを挙げ、見直しを求めた。中川農林水産相は「平成19年度から見直し」と答弁した。
さらに、公務員の人件費削減、減員の数合わせだけでは、行政改革にならず、むしろ本来、官が担うべき仕事を独立行政法人などに移し、かえって高額の相談料を取るなどして、民の資金を官に吸い上げる結果になっている例として総合機構を挙げた。総合機構の医薬品の治験相談などで287万円もしているものもあると具体的に指摘。その上で大塚議員は「これからの治験の手続きを聞くだけでお金がかかる。これによるコストアップで開発が断念されるケースもある。国に仕事を戻すべき」とした。首相は「ご指摘のように不断に見直さなければならない」と前向きに答えた。
次に大塚議員は、行政改革は「行政府と立法府の戦いでもある。この法案がザル法、バケツの穴にならないように」として、官僚が面従腹背によってそうならないように、国会での不誠実、虚偽答弁の例を挙げて追及した。首相は「法律以前の問題。間違っていたらそう答弁しないと。国民への説明が良くない」としながらも、「質問者もはっきり言わないと」と野党にも責任があるかのように開き直った。
また、防衛施設庁の官製談合事件で、部長が証拠隠滅指示したことを認めているとの報道を取り上げ、現状を質した。防衛施設庁長官は「答弁を差し控える」と内部調査中、捜査中を理由に答弁を拒否した。大塚議員はこうした答弁が「公務員全体の信用なくしている」として、公務員の不祥事は「百罰百戎にしなければこの法案の意味もなさない」と迫った。首相は「この国をいかに発展させるかが役割」と抽象論に逃げ込んだ。
最後に大塚議員は不正請求防止法、アメリカでは政府に損害を与えた場合、訴訟を起こし認められれば、訴訟を起こした個人も利益を得る制度を紹介、検討を要請した。
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