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2000/06/06
民主党の「15の挑戦と110の提案」解説版
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民主党



1.道州制を導入し、国のかたちを分権連邦型国家に変えます。

(道州制の導入)
■中央集権の弊害が目立っています。とりわけ、小選挙区制度の導入と並行して本来進めるべき分権化が進展しないため、その弊害はいよいよ顕著なものとなっています。中央集権システムを変革し、「地域のことは地域で決定」し、「地域が自己責任をとる」仕組みを確立する必要があります。このため、介護や義務教育・福祉などの対人サービスを中心に基礎自治体たる市町村へ事務権限の移譲をすすめます。従来国が行ってきた事務であっても、域内に限定される社会資本の整備などは広域行政の枠の中で処理し、適正な広域行政制度を確立します。

■民主党は、(1)現行の都道府県連合制度を活用しつつ、段階的に「道州制への移行」を開始し、現行地方自治制度の改革に着手します。(2)その場合の「州」制度は憲法上の地方公共団体とし、民選の知事と議会による運営を基本とします。また、(3)当面衆議院選挙ブロック11程度を単位として想定するものの、その数及び範域については今後の協議に委ねます。これにより、地域主権が基本となった分権連邦型国家の実現をめざします。

(基礎自治体の確立について)
■地域主権の基本はあくまでも基礎自治体たる市町村にあります。その市町村がどれだけ自己決定・自己責任を担うことができるかが自治の基盤を決する重要な要件です。この観点に立ち、(4)基礎自治体たる市町村については、その自主的な合併活動の促進を進めて、自治の単位としての合理性を追求します。(5)基礎自治体は全国1000程度を一つの目安としますが、これは強制されるべきものではなく、自治体間の競争原理を作用させる中から自ずと解決をはかっていくべきものと考えます。また、自治の土台たる自主財源の拡充を進めます。

(国と地方の新しい関係)
■新しい国・地方関係の実現をめざして、(6)地方自治体の権限と財源などについて明記した「地方自治基本法」を制定します。同時に、(7)基礎自治体間の紛争や、国と地方自治体、広域自治体と基礎自治体との紛争を調停したりする独立行政委員会(「国・地方紛争処理委員会」)を設置します。



2.中央集権=政官業癒着による膨大な無駄をなくし、財政を健全化します。

(財政健全化プランを策定する)
■景気回復と財政健全化の「二兎を追うものは一兎も得ず」という自民党の経済・財政政策は、二重の意味で誤りです。第一に、公共事業の波及効果は年々低下していることは明らかであり、従来型公共事業を中心とするバラマキ景気対策では、財政赤字を拡大させるだけで本格的な景気回復に繋がりません。自民党の景気対策は、その処方箋自体が間違っています。第二に、財政赤字の巨大化は国民の将来不安を増幅し、GDPの6割を占める消費を抑制しています。赤字を拡大させるほど本格的な景気回復を遅らせるという悪循環に陥っているのです。
 民主党は、国民の将来不安を解消するため、直ちに財政健全化の道筋(=「財政健全化10カ年プラン」)を示し、経済再生と財政健全化を両立させます。

(財政の透明化・情報公開を徹底する)
■財政投融資や第三セクターなどを含めた公的部門の財政状況を公表するとともに、バランスシートの作成・公表など財政の透明化を進めます。行政に対する国民監視を強める情報公開の徹底と国会の行政監視機能の強化が、行政のムダ・不正・非効率をなくす第一歩です。

(ムダな公共事業を削り、社会保障へ資源を再配分する)
■わが国の歳出はムダや非効率が多い一方で、本当に必要な分野に予算が配分されておらず、資源を有効に活用しているとは言えません。ムダな公共事業を削り、その一定部分を今後増加する社会保障財源に配分します。限られた財政資源を最大限有効に活用するようその配分を見直すことで、「健全な財政」を実現することができます。

(分権連邦型国家に転換し、政官業癒着のムダを省く)
■中央政府の役割を大幅に限定し、中央主権型国家から、地方に自主性と税財源を付与する分権連邦型国家へと大転換します。これにより、無駄の多い行政コストを削減するとともに、負担と給付の関係が接近して、「住民が選択したサービス水準に応じた税負担を行う」という健全な財政の姿を確立することになります。また、道州制を導入し、自治体を財政的に自立可能な行政単位に再編・合理化をはかります。

(基礎年金を全額税方式へ転換する)
■自民党政権があまりに財政収支を悪化させてしまったため、基礎年金を全額税方式とするための財源を見出すことは不可能となってしまいました。そのための財源は、将来的に、国民に負担をお願いしなければなりません。しかし、その税率をいかに抑制するかは、今後の財政健全化如何にかかっています。


【財政健全化のための具体例】
◆民主党は、「財政健全化10カ年プラン」のための具体策を準備しています。

1.国際的に見て過大でムダの多い公共事業を、民主党が提案している「公共事業コントロール法」を活用し、10年で少なくとも3割削減する。

2.財政の透明化と情報公開の徹底で、人件費を含めた行政経費を10年で3割程度削減する。

3.規制改革とIT革命で経済の潜在成長力を高め、自然増収を確保する。

4.老後の不安を払拭するため、公共事業削減で浮いた財源の一定部分は、 現行制度を前提とした高齢化に伴う社会保障の増加に充てる。

5.経済の潜在成長力を高めるため、公共投資の中身を変えて、ITや介護などの成長分野への投資を拡大する。

 ※我々の試算では、結果として、10年程度で財政赤字が累増しない財政構造にすることは可能である。ただし、自民党政権のバラマキ政策によって債務残高が膨らみすぎ、直ちに大幅削減にまで切り込むには限度がある。


【財政赤字は限界にきている】
◆国と地方の長期債務残高:645兆円(2000年度末見込み)

◇日本の財政赤字は、こんなに大きい。

・日本のGDPの約1.3倍に相当

・EU15カ国の債務残高の合計額に相当

・イギリス、フランス、ドイツのGDPの合計額に匹敵

・国民一人あたりおよそ500万円、4人家族で2000万円


◇このままでは赤字はもっとひどくなる。

・7、8年後には債務残高が1000兆円を上回る。

・その規模は、国民一人当たり1000万円、4人家族で4000万円。


◆人口減少と高齢化に備える、社会保障の充実のための「大事な10カ年」。

◇労働力人口は既にピークに達していて、今後減少に転じる。
◇総人口も、2005年前後にはピークを迎え、2050年には現在に比べ2割程度も減少する。
◇2025年には、4人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢社会を迎える。
*無駄な公共事業を削減し、社会保障制度の充実にいまから取り組むことが必要である。




3.長期連続休暇制度の導入などにより、豊かな生活時間を創り出すサービス経済を拡大します。

(サービス消費の時代を迎えて)
■今日の長期不況の背景の一つに個人消費の低迷があります。国内総生産(GDP)のおよそ6割を占める個人消費の伸び悩みは、景気の低迷を招き、需要喚起を目的に動員された公共投資の景気効果をいわば帳消しにする要因ともなっています。
 そして、その個人消費のさらに6割がサービス消費です。衣食住などの基礎的ニーズが満たされた今日、国民の消費活動の中心は、「モノ」から「サービス」へと大きくシフトしています。実際、「余暇活動」や「レジャー」などの充実を求める人々が増加しています。しかし、これらのサービスが大きく伸張していくためには、十分な所得の保障とともに、豊かな「自由時間」の確保が不可欠です。健康サロンやテニス倶楽部で2時間、国内レジャーでは3泊4日、海外旅行なら10日間、本格的なバカンスなら1ヶ月といった具合に、まず「時間消費」が可能な休暇制度の確立を必要としています。

(「可処分時間」=「自由時間」の確保と経済の再活性化)
■サービス消費のさらなる拡充のためには、いわゆる時間短縮や長期休暇制度の整備を欠くことができないのです。これからの日本は、消費者が自由に使うことのできる「可処分所得」の増加策から「可処分時間」の増加策へと大きく転換していくことが求められています。可処分時間を増加させることによって、情報化とサービス経済化がもたらす「第三の波」に対応した、個人のゆとりある生活を確保するとともに、豊かな消費生活の実現を通じて、日本経済の再活性化、すなわち「人間の顔をした市場経済」の実現が可能となるのです。

(長期連続休暇制度の導入・整備)
■日本の有給休暇制度は制度上の不備がある上に、既存の制度すら有効に利用されていないという二重の問題を抱えています。しかも、政府が手をこまねいている間に、経済の停滞で日本の有給休暇制度をめぐる環境は悪化しているというのが実状です。仕事に従事している人は業務に忙殺されて、ますます休暇を愉しむ余裕がなくなっています。このような状態では、仮に減税を実施したところで、その資金を利用してバカンスを愉しむことも不可能です。


■民主党は、現行の有給休暇制度を拡充し、その取得を被雇用者の権利としてのみならず、雇用者の付与義務にまで発展させて、実効性ある長期連続休暇の制度化に取り組みます。その具体的内容は、連続2週間の有給休暇取得の実現、病気休暇や子育て・介護休暇など有給休暇以外の休暇制度の充実、有給休暇日数の引き上げなどです。

【政策提言の概要】

(1)労働基準法の改正(第39条改正)

・有給休暇を労働者の取得権から使用者の付与義務へ

・有給休暇日数の引き上げ

・2週間程度の連続休暇規定の導入


(2)休暇制度の再整理

・病気休暇の制度化、子育て・介護休暇制度の充実など


(3)バカンス旅行を促進する制度

・休暇取得へのインセンティブとしての「休暇手当」「バカンス小切手」制度の検討


【日本における有給休暇の取得率】

          1990 1995 1996 1997 1998
平均付与日数  15.5 17.2 17.4 17.4 17.5
平均取得日数  8.2 9.5 9.4 9.4 9.1
消化率(%)     52.9 55.2 54.1 53.8 51.8


【長期連続休暇制度の経済効果】
◆(財)余暇開発センターの試算(「希望する次期に2週間の長期夏期休暇が取得できた場合の経済効果」1995)では、長期休暇の取得によって国内旅行による消費額が2倍以上になり、その波及効果は4.6兆円にも及ぶという。



4.インターネット料金を水道料金並に引き下げ、IT革命を加速します。

(「水道料金並の料金」とは)
■ネットワーク社会において、情報通信網は不可欠な社会的インフラです。民主党がIT(Information Technology:情報通信技術)のインフラに関してとくに力を入れたいと考えているのが、インターネット利用料金の定額化と低廉化です。時間帯・使用時間に関係なく(常時接続)、一定の料金でいつでもインターネットが利用でき、しかもその料金を現在より大幅に低く設定する、ということです。「水道料金並」というのは、私たちが日々の生活で水道を自由に使うことができ、家計の中にも必要な支出として組み込まれているのと同じように、インターネットを利用するにあたっても、自由に、高い負担のないよう、誰もが使うことのできる社会環境を整えていくことをイメージして述べたものです(注1)。

■具体的には、電話料金とプロバイダ料金を合わせて、まずは少なくとも5000円以下の水準にもっていき、誰もが自由にインターネットを利用できる環境をつくることです。日本のインターネット利用料金が米国などと比較しても高額であることは明らかですが(注2)、このままでは日米間の情報格差がさらに広がり(注3)、国民生活や産業の効率化の面に与えるマイナスは、無視できないほど大きなものになりかねません。

(IT革命を加速する)
■民主党は、民間による情報通信分野での投資活動を促進支援することを基本スタンスに、基礎技術の開発や予算の大幅な拡充に取り組んでいきます。国家戦略としての情報化推進に取り組み、情報関連分野予算を現在の1000億円から1兆円に引き上げるなどの思い切った措置を推進します。また、規制改革を実施し、競争圧力による低廉化の実現を促進します(注4)。行政情報は電子化して、100%開かれた電子政府を確立させます。インターネット確定申告や電子投票・インターネット投票の実施も検討します。

(情報格差への対応)
■インターネット料金の定額化と低廉化は、社会に様々な変化をもたらすことでしょう。国内における情報格差の問題も深刻化しかねません。小中学校に一人一台のパソコンを配置し、若い世代の情報教育に力を入れていくと同時に、中高年齢層や障害者の方々に対しても手厚い配慮が必要であることを忘れてはなりません。情報通信技術の進化が、年齢や障害、また遠隔地といった様々なハンディキャップを克服していくためにも有益であることに注目すべきです。身障者対応のパソコンを揃えるといったハード面の政策とともに、情報教育に力を入れるため、人材育成といったソフト面の政策も押し進めます。こうして、誰もが情報社会の主人公となれるよう、情報リテラシー100%(=誰もが基礎的な情報機器操作力をもてる状態)を民主党は実現させます。

【注1】
◆今年3月分の総務庁統計局の家計調査では、1世帯当たり1ヶ月の上下水道料は全世帯平均で4810円(ただし、地域による格差が大きい)。

【注2】
◆米国では大都市などで市内通信が月15ドル程度の定額制。プロバイダに支払う接続料と併せても総支払い額は月35ドル(約3850円)程度だが、各州・都市により格差がある。
◆現在の日本において電話回線を通じて定額で常時接続しようとすると(都内 など地域限定のサービスが存在)、ISDN回線の契約をした上で、月当たり以 下のような例が挙げられる(@Niftyの常時接続で月額2000円のサービス は7月から)。

(例)
  ISDN基本料金(INS64・ライト、住宅用) 3,470円
  IP接続サービス通信料金(定額)     4,500円
プロバイダ接続料(OCN、@Niftyなど) 2,000円
--------------------------------------------
合計 9,970円

【注3】
◆1999年現在、日本の家庭におけるインターネット普及率は13.5%、アメリカの家庭における普及率は44%である。

【注4】
◆経済活性化にも有効な電子商取引は、2003年には71兆円市場と97年の7倍にもなるとされており、現在の公共事業の7倍の水準を一気に実現します。



5.再就職支援ビジネスの自由化と採用募集などにおける年齢差別禁止法を実現します。

(従来型の雇用政策は限界)
■これまでわが国は、景気循環による不況期に企業から雇用が流出することを防ぐことを柱とする雇用政策を展開してきました。しかし、わが国経済・産業の構造変化により、終身雇用・年功序列賃金などかつて「日本的経営」の象徴と礼賛された雇用システムは、大きな変化の波に晒されています。実際、失業の要因として、需要不足よりもミスマッチによるものの方がはるかに大きく、全体の7割が「構造的失業」だとの報告があります。つまり、情報化・サービス経済化に伴う産業構造の変換に労働市場のあり方が対応していないという、いわゆるミスマッチを生じているのです。こうしたなかでは、従来型の雇用政策で雇用を維持することは困難であり、今後は、より生産性の高い産業への労働力移動を促進することに主眼を移す必要があります。

(能力開発バウチャーの導入、ハローワークの民間開放)
■これまでの公共職業訓練機関では、IT分野など最新のニーズに即した専門性の高いサービス行うことは困難であり、非効率でもあります。そこで、民主党は、民間の活力を最大限活用するかたちで個人の能力を高めることができるよう、「能力開発バウチャー制」の導入を提案しています。
 また、職業紹介の民間開放が徐々に進んでいるものの、職安を通じた就職が各種助成金の受給要件となっており、かつ雇用保険受給手続きと職業紹介業務が一体的に行われていることなどから、職業紹介にかかる職安の独占的色彩が色濃く残っています。このため、流動化する労働市場に十分対応することができず、構造的失業の解消がなかなか進まない要因ともなっています。民主党は、労働力の需給調整能力を高める「職業紹介の民間開放」をより一層進めていきます。

(年齢差別禁止法の制定)
■民主党はまた、年齢差別禁止法の実現をめざしています。年齢に関係なく雇用される社会を実現するために、中高年や若年者の雇用機会を確保し、一度失業した人が再起を期して挑戦できる「セカンドチャンスのある社会」を実現する突破口として、採用募集などにおいて年齢を理由にした差別を禁止する法制度を整備します。



6.課税最低限を引き下げ、児童手当の拡充や住宅ローン利子を所得控除します。

(誰もが「納税者になる」ことを大切にする)
■税制の基本原則は、「公平」「中立」「簡素」にあります。しかし、現実には、政策上のさまざまな複雑かつ不公平な取り扱いがあり、大きく歪んだ税制となっています。例えば、現在、5350万人の給与所得者のうち、755万人(約15%)が所得税を払っていません。税は国家の基本であり、可能な限り広く国民が分かち合うことが望ましいですし、それがタックスペイヤー(納税者)意識の向上、ひいては国民の政治参加意識の向上にもつながることとなります。

(課税のすそ野を広げる)
■課税最低限引き下げの目的の第一は、課税のすそ野を拡げることです。国民の一人として、所得のある人は例え少額であっても税を負担し、広く薄く負担を分かち合う社会をつくる必要があります。同時に、納税を通じて国民の政治参加意識を高めることで、納税者である国民が税金の使い方を厳しく監視するという、民主主義の機能を高めていかなければなりません。

(税制の歪みを正す)
■目的の第二は、税制の歪みを正すことです。そもそも、扶養控除や配偶者控除などの人的控除は、社会保障制度が整備されていない時代に、社会政策的な役割を税制に求めたことから設けられたものです。税制と社会保障の役割を区別し、税は広く国民が負担し、本当に困っている人には社会保障で手当する方向に転換すべきです。
 また、そもそも所得控除は、適用される税率が高い高額所得者ほど控除される税額が大きくなるしくみであり、高額所得者ほどその恩恵が大きく、逆進性が高いものとっなっています。これを、例えば、子どもにかかる扶養控除を、歳出のかたちで一律の児童手当に振り替えることで、幅広く国民が負担を分かち合いながら、本当に困っている人へ給付を手厚くすることが可能となります。

(人的控除を見直す)
■課税最低限とは、所得控除の合計額です。その所得控除は、扶養親族、配偶者などにかかる人的控除と、給与所得控除や社会保険料控除で構成されますが、そのうちの人的控除を見直すことで、課税最低限を引き下げる予定です。
 人的控除のうち、年少扶養控除と特定扶養控除を全廃し、児童手当に振り替えます。また、配偶者にかかる控除についても、従前より女性の社会進出を阻害しているなどの問題が指摘されています。男女共同参画社会をめざすという視点から、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しも求められています。その他、高齢者扶養控除の社会保障への振り替えなどについても検討すべき点です。

【モデルケース】

◆年少扶養控除と特定扶養控除を全廃し、その増収分を財源として児童手当を拡充する。

◆試算

○夫婦子2人(うち1人が特定扶養親族、配偶者は無収入)の「標準世帯」を想定。

○年少扶養控除(16歳未満の児童1人あたり38万円)と特定扶養親族控除(高校生、大学生1人あたり63万円)を全廃すると、人的控除額は101万円縮減し、課税最低限は約368万円から約210万円(現行の夫婦のみ世帯と同額)まで下がる。(※給与所得控除等も減少するため、課税最低限の引き下げ幅の方が大きくなる。)それで生じる増収分を財源とし、児童手当を拡充する。

○年少扶養控除と特定扶養控除の全廃によって、およそ1.4兆円程度の増収になると見込まれる。


◆児童手当の拡充

○児童手当の支給金額及び対象者を、年少扶養親族1人あたり1月6500円、特定扶養親族1人あたり1月8500円、年収制限800万円以下と仮定した場合、それに要する財源は、年少扶養控除と特定扶養控除の全廃で生じる財源(およそ1.4兆円)と、現行制度の財源(およそ0.4兆円)でほぼ賄うことが可能であると見込まれる。


◆負担構造の変化

○以上の結果、年収800万円以下で23歳以下の扶養親族がいる場合、児童手当の拡充による受取額の増加が、年少扶養控除と特定扶養控除の廃止による負担増額を上回り、差引負担減となる。一方、年収800万円超で23歳以下の扶養親族がいる場合、逆に負担増となる。

 ※23歳未満の扶養親族がいない場合、もともと扶養控除が適用されていないため、負担に変化はない。




7.あなたの年金は減らしません。社会保障制度を再構築します。

(政府の年金改正強行で、将来不安が増大)
■先の国会で、厚生年金の報酬比例部分の給付額5%削減、支給開始年齢の65歳への引き上げ、賃金スライドの凍結などを段階的に実施する年金制度改革法が強行採決され、成立しました。この度の改正によって、現在40歳以下の世代は年金給付額は夫婦で1000万円以上削減されることになります。当然ながら国民の将来不安は増大し、とくに若い世代の年金制度に対する信頼を著しく低下させることとなり、年金不信が強まっています。また、国民年金は、未納・未加入など保険料を納付していない人が全体の3分の1に及ぶなど、制度の空洞化が深刻になっています。

(基礎年金部分を全額国庫負担とする)
■他の先進国に例を見ない急激な少子高齢化に伴い、今後、社会保障給付費が急増することは避けられません。しかし、破綻状態の財政にその財源を見出すことは容易ではなく、将来的には、負担の分かち合いと制度の効率化の観点から、介護保険制度のように、高齢者にも一定の自己負担を求める必要があります。その前提は、老後の経済基盤である年金給付を確実に保障することです。
 年金制度に対する国民の信頼を回復し、すべての個人が自分自身の年金権を持てるようにするため、全国民に一律定額の年金額を給付する「国民基本年金」制度へと再編し、その全額を国庫負担で賄う全額税方式への転換をすすめます。

(将来的な消費税率の引き上げはやむを得ない)
■現行制度(基礎年金国庫負担率1/3)を前提とした、高齢化に伴う社会保障給付の増加分については、財政健全化の努力によりその財源を捻出することが可能です。しかし、破綻状態にある財政に鑑みると、基礎年金を全額税方式とするために必要な財源までを見出すことは不可能です。したがって、将来的には国民の皆さんに負担をお願いせざるを得ないと考えています。
 このまま従来型公共事業を大盤振る舞いする財政を続けていたのでは、国庫負担率を引き上げなくとも、大幅な消費税率の引き上げは避けられなくなることは明らかです。民主党は、財政の健全化に一刻も早く取りかかることで、国庫負担率を引き上げた上、将来の税率の引き上げ幅を最小限に抑えることができると考えているのです。

【参考】政府の年金制度改正による年代別の年金給付削減額(夫婦子二人)

70歳 300万円 
60歳 500万円
50歳 500万円
40歳 1000万円
30歳 1100万円
20歳 1200万円



8.ゼロ歳児保育・24時間保育の確立で、仕事と家庭の両立を支援し、男女共同参画を促進します。

(子育ての3つの柱)
■子育ては、母親のみの責任で行うものではなく、父親やその他の家族の責任で行い、地域と社会が支援すべきものです。子どもたちがどのように育ち、社会の担い手に成長するかは「社会の再生」の最も重要な課題であり、政府がその社会的・経済的支援を飛躍的に充実させていくことが必要です。民主党は、こうした考えに立ち、(1)多様なニーズに対応する保育サービスの充実、(2)子育てに伴う経済負担の軽減、(3)育児支援制度の拡充整備の3つを柱に、子育て支援を全面的に展開していきます。
 
(ゼロ歳児保育・24時間保育の実現)
■子どもを生み育てたいという意欲を持つ人が、安心して子どもを生むことができるために、また、働く意欲を持つ人が多様な働き方ができるためには、仕事と育児の両立を支援する、多様な保育サービスを確保することがとくに重要です。認可保育所の運営の弾力化により、駅前保育、駅保育など利用者の利便性に配慮した保育サービスを実現します。また、多様な条件にも対応できるよう、ゼロ歳児保育・24時間保育をはじめ、一時保育や療児保育の確立につとめます。

(児童手当=子育て支援手当制度の充実)
■高額所得者に有利な現行の所得税の扶養控除を廃止することを前提に、児童手当=子育て支援手当の拡充を実現します。現行670万円の所得制限を800万円程度まで引き上げ、かつ児童の支給対象年齢を引き上げます。これにより、子育て支援をより強く必要としているところに手当が充実することになります。

(育児休業制度の拡充)
■出産・子育てに携わる勤労者の育児休業をしっかり支援します。このため、休業中の所得給付率を60%に高めるとともに、事業主に対して、「子どもが病気の時の休暇」や「父親の育児休暇取得」「企業内・事業所内の託児施設の設置」など育児支援制度の拡充を奨励します。
 


9.学校に実践体験学習期間を導入し、社会性を培う教育を確立します。

(地域の教育力の回復へ)
■次代の人材を育てる教育がいま大きな困難を抱えています。その大きな要因に、急速な社会変化が子どもたちの世界を様変わりさせてきたことに加え、メディアの氾濫の中で、旧態依然たる画一主義的で中央統制的な教育制度を続けてきたこれまでの教育行政があります。また、子どもたちを教育する社会的な力が失われています。何よりもまず、地域の教育力の回復につとめて、子どもを中心に、父母、教師、地域のリーダーらが学校教育を共同で支える仕組みを探求していくことが求められています。

(教育の分権化と学校改革の推進)
■いま再び地域の責任と創意によって教育の姿を模索すべき時を迎えています。学校経営や学校教育をコミュニティに取り戻し、地域の自主性と自己責任で時代に応える教育が実現できるようにします。こうした改革の方向の下で、「30人学級の早期実現」や「複数担任制の導入」「小学校の専科制導入」などに取り組みます。また、時代の変化に対応できるたくましい子どもたちを育むため、初等教育の段階から起業の基礎知識を身につけるなどの改善にも取り組みます。
 大学教育に民営化や公立化などを促して競争原理を採り入れ、その活力の中からより創造的な人材が生まれる仕組みへと移行します。

(実践体験学習期間の義務づけ)
■次世代を担う子どもたちが、「自立」をしながら他人や自然と「共生」していく力を育むために、義務教育段階の学校教育に一定期間の実践体験学習を義務づけることとし、福祉、環境、農業など様々な分野から研修先を選択して、社会人とともに実践的な学習をすることができるようにします。また、これによって、子どもたちにいわゆる知育とは異なる「社会性」を培うとともに、社会における参画意識や与えられた仕事に対する責任意識を育むことができるようになります。



10.環境税を導入し、「水素」や「風」「太陽」など新エネルギー利用を促進します。

(直面する地球規模の3つ課題とエネルギー政策転換)
■21世紀、人類は食料、環境、エネルギーの3つの難題に直面します。この難題に対し、政治は真正面から取り組まなければなりません。
 大量生産・大量消費・大量廃棄の経済社会システム、モータリゼーションや家庭用電化製品の普及は、国民生活に利便や豊かさをもたらした反面、化石燃料をはじめとする天然資源の浪費、地球温暖化、廃棄物の増加などの環境負荷を地球規模で増加させています。かけがえのない地球環境、自然環境を次世代に引き継ぐためには、経済社会システムのあり方を省エネルギー・資源循環型に転換していくことが不可欠であり、このために有効とされる税制などの経済的手法の具体化が課題となっています。最近、世界的に注目を集めている考え方は、環境に悪影響を及ぼす物質に対し直接・間接に税負担を求め、そのような物質の排出・消費を抑制しようとするものです。

(環境税の導入)
■民主党は、油種別にさまざまな政策的配慮から設けられている現行の燃料課税等を抜本的に見直し、燃料の含有炭素量を基本とし、省エネ等の観点も加味した環境税に組み替える、「環境税」の導入を提案しています。環境税は一般財源とするものの、国・地方における省エネルギー・新エネルギー導入促進支援等の環境対策に重点的に充てることとし、その税収の一部は地方譲与税として地方団体に移転します。
 同時に、複雑・多岐にわたり自動車ユーザーに過重な負担をもたらしている自動車関係諸税については、環境税導入にあわせて抜本的に見直します。

(原子力発電のゼロベースでの見直しと新エネルギー利用の加速的推進)
■21世紀のエネルギー政策は、循環型経済社会をめざした省エネルギー国家の構築を目標としなければなりません。原発は地球温暖化防止のうえで有効なエネルギー供給源の一つですが、その廃棄物は資源循環型にはほど遠いものがあります。原発の推進を十分に見定めながら、中長期的にはこれまで以上に環境負荷の少ない新エネルギーの開発利用を集中的に促進していくことが重要です。そのために、「水素」や「風」「太陽」などの環境に優しい新エネルギーの利用を促す支援制度を飛躍的に整備していきます。とりわけ、燃料電池の実用化・普及が期待される水素エネルギーの開発促進を国家プロジェクトして位置づけ、太陽熱・太陽光の利用、風力発電の推進とともに、一次エネルギー供給に占める新エネルギーの供給比率を2010年に5%以上とすることを目標に取り組みます。


【各国の環境関連税制】
       法人税 間接税 その他
日本      ○   ○   ○
アメリカ    ○   ○
イギリス        ○
ドイツ     ○   ○
フランス    ○   ○   ○
オランダ
スウェーデン      ○
フィンランド      ○
ノルウェー       ○

       
 ○印は、何らかの環境関連措置があるもの。


【燃料電池プロジェクト】
◆燃料電池は、21世紀初頭の安定した、環境に比較的優しいエネルギーとして有望視されており、その技術開発や普及を促進すべく、民主党内にも、水素エネルギーの研究、燃料電池についての研究と開発普及を目的としたプロジェクトチームを発足させている。同燃料電池プロジェクトチームは、その研究活動の成果として、「燃料電池の研究開発・普及促進法案」の策定に取りかかることとしている。その概要は、(1)政府における燃料電池の供給目標の設置、(2)燃料電池設置者に対する補助制度の制度化、(3)国及び地方公共団体に対する燃料電池普及の義務づけ、(4)既存の電力会社に対する燃料電池発電によって生じた余剰電力の購入努力義務化などである。



11.吉野川可動堰、川辺川ダム、中海・諫早干拓については、中止を含めて見直します。

(公共事業の効率化と削減)
■日本の社会資本整備はまだ十分とは言えず、公共投資は今後の財政支出の重要な柱です。しかし、GDP(国内総生産)に占める公共投資の割合は6%を上回っており、その比率は欧米諸国の2〜3倍に達しています。その上、必要性に疑問のある事業が数多く行われていること、将来へ引き継ぐべき貴重な自然環境を破壊していること、談合などでコストが非常に高くなっていること、などムダや問題が多いことも指摘されています。

■そこで民主党は、入札制度の改革やPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)の活用を進めるとともに、国民生活に大きな影響を与える公共事業について国会で十分に審議することができるよう「公共事業コントロール法」を制定し、公共事業を抜本的に改革することを提案しています。
 それらの結果として、少なくとも今後5年で2割、10年で3割の公共事業費の削減をめざします。

【公共事業コントロール法の概要】

1.「最小限の費用で、最大限の評価」「地方分権」「財政・環境への最大限の配慮」など公共事業の理念を定めている。

2.役所の縦割りを越え、公共事業全体を議論する。そして国民のニーズが高い事業に、重点的に税金をつぎ込む。

3.規模の大きな事業に関しては、国会の承認を必要とする。国民がある事業を不要だと考えたときには、国会議員を通じてその意思を反映することができる。

4.「時のアセスメント」を国にも導入する。アセスの結果、事業を継続する場合には、再度国会の承認を必要とする。

5.「事後評価」を義務づけ、公共事業の費用対効果や環境への影響を明らかにする。

6.都道府県や政令都市にも「公共事業コントロール条例」の策定を義務づける。その結果、ほとんどの大規模公共事業は議会での承認が必要となる。




12.天下りを禁止し、議員に対するあっせん利得収賄罪を法制化します。

(天下りの禁止)
■民主党は、不正・不祥事と無駄の温床ともなっている公務員の天下りを原則禁止します。
 省庁の外郭団体が国の事業を独占して甘い汁を吸ったり、防衛庁調達実施本部や道路公団、農水省構造改善局のように相次ぐ不祥事が発覚しても責任を明確にせずにお茶を濁したりするなどの事件は、いずれも公務員の天下りと補助金が結びついて生じたものばかりです。それらは税金の不正使用と無駄を大量に生み出しています。
 民主党は、国民の税金の無駄をなくしてスリムな行財政の実現をめざしています。役人と一部の業界とが結びついた不正・不公正な税金の使い方を抜本的に是正しなくてはなりません。不正と無駄の温床となっている公務員の天下りを規制・禁止し、透明性の高い、開かれた税金の使い方を確保します。

■このため、(1)特殊法人及び認可法人への役人の天下りを原則禁止とし、(2)民間法人はもとより、その他の公益法人についても天下りを規制します。また、(3)天下りを受け入れている企業・民間法人に対しては、「国からの委託・発注」を禁止します。(4)これらを厳格に守るため、違反に対する罰則規定を盛り込んだ国家公務員法改正を行います。

(特殊法人の整理縮小)
■無駄のないスリムな政府の実現をめざして、(5)特殊法人及び認可法人の情報公開を義務づけします。また、(6)天下り先となってきた特殊法人・認可法人の整理縮小を進めます。さらに、(7)特殊法人や認可法人その他の公益法人の政治献金を禁止します。

(議員の「あっせん利得収賄罪処罰法」)
■国民の政府に対する信頼を損ない、政治不信を増大させていることの大きな要因として、政治家の口利き政治の現実があります。民主党は、(8)役所に口利きをして報酬を得るなどの不正行為を厳しく罰する「あっせん利得収賄罪処罰法」を制定して、政治家が自らを厳格に律する仕組みを確立します。



13.国家公安委員会の独立性を高め、監視機能を整備するなど警察法の改正を行います。

(警察制度・警察組織の改革)
■国民生活の安心と安全は、不幸な事件やその恐れから国民を守る警察活動のあり方に大きく依存しています。ところが、警察が国民のニーズに応えないどころか、自ら次々と不祥事を起こし、虚偽の報告をし、仲間内でかばい合うと事態が続発しました、これでは、国民は救われません。

■民主党は、(1)警察官の不祥事については厳罰をもって対処し、(2)警備・公安中心の組織を刑事・交通・市民生活安全を最優先する組織へと改革して国民が安心できる警察活動の実現をはかります。また、(3)オウム真理教などのカルト宗教や暴力団、国際犯罪組織などに対処するため「犯罪組織の取り締まりに関する法律」を制定し、警察の取り締まり活動を強めます。

(国家公安委員会の独立性確保)
■新潟県警の信じられない不祥事が発覚したとき、国家公安委員会が独立機関としての機能を全く発揮していないことが判明しました。それどころか、国民感覚からは不当とも思える報酬を国家公安委員が受けてきたこと、国家公安委員長が責任を一切とらずに大臣の席に居座り続けたことなどから、国民の間に一気に公安委員会のあり方を問う声が高まってきました。

■民主党は、こうした状況を一時も早く解消すべく、(4)警察組織から独立した事務局の設置整備など、国家公安委員会の第三者機関としての機能を高める、(5)国家公安委員会に国会への業務報告を義務づける、(6)公安委員会が警察活動を監察することができるようにするなどの改革案を提案しています。また、(7)都道府県公安委員会に苦情処理組織を設けて、国民の不安にきめ細やかに応えられる組織体制を確立します。

(犯罪の迅速かつ厳格に対応する司法制度)
■(8)少年法の改正や終身刑の導入等刑法改正を行い、犯罪に対して厳しく対応できる法整備を進めます。また、(9)犯罪被害者基本法を成立させて被害者の権利を保障する仕組みを確立するとともに、(10)裁判の迅速化をはかり、「国民に身近で、国民の権利を守る司法」に改革します。



14.議院内閣制における首相権限の強化とあわせ、首相公選制の導入を検討します。

(議院内閣制における首相権限の強化)
■政治が行政をコントロールし、その政治を国民が選挙を通じてコントロールすることによって初めて、「国民主権に基礎を置く政府」が実現します。しかし、現状は、政治がリーダーシップを発揮しようと思っても、それをサポートするスタッフ機能が十分でなく、結局は官僚に依存せざるを得ません。時代はいま、必要な改革を「思い切って迅速に」実施する強い政治のリーダーシップを求めています。民主党は、内閣制度を改革し、首相が国内外の問題について、より確かで迅速なリーダーシップを発揮できるよう、チャレンジしていきます。

■先ず、(1)内閣法を改正し、内閣の首長たる内閣総理大臣(首相)の統括権や指揮監督権などを明確にします。また、(2)内閣総理大臣の下に、補佐室・政策室・報道室などからなる「首相府」を設置して、首相の補佐機能を飛躍的に拡充します。(3)副大臣や政務官の配置を実現し、大臣の政治的補佐機能も強化します。(4)省庁縦割りの弊害を解消するため、次官・局長以上の幹部職員は特別職とし、民間人の登用を含めて人材の流動化を図ります。以上の改革に加えて、(5)国会による監視機能を強める「行政監視院」の設置、(6)「知る権利」の明記など情報公開法をさらに整備して、「開かれた政府」の実現をめざします。

(首相公選制の検討)
■国民の多くはいま、国のリーダーを自分たちの手によって直接選ぶことができないことに不満を抱いています。それは、密室政治によって一国の総理を内定してしまう自民党政治に対する不信であることは言うまでもありませんが、同時に、国民の選択が生きる制度的工夫も求められています。その一つが、「首相公選制の検討」です。現行の議院内閣制を大きく見直し、国民が直接首相を決定できる仕組みも検討する必要があります。これにより、国民により身近な政府の実現と、より強いリーダーシップの発揮という二つの課題を同時に満たすことも可能となります。民主党はそうした新しい道も模索しています。

(国民の政治参加の促進)
■国民投票制度の導入、選挙権年齢の18歳への引き下げ、永住外国人の地方参政権付与と地域に於ける住民投票の制度化など、国民の政治参加の機会を拡大します。



15.歴史の争いや過ちを克服し、「和解と共生」の積極外交を進めて、平和な国際社会を創ります。

(民主党の基本姿勢)
■現在の国際社会は、冷戦構造下における一種の秩序が崩れ、地域紛争や、貧困、人権侵害、環境破壊、国際テロ、麻薬、エイズ、難民、地雷など新たな脅威が顕在化しています。新たな国際秩序と平和のあり方が求められている現在、わが国は「平和を享受する国」から「平和を創る国」へと転換し、主体性ある外交を推進するべく積極的に貢献していく時だと、民主党は考えます。

(戦後処理問題への対応)
■何よりもまず、わが国はアジアの発展に対して最大限の責任を果たさなければなりません。中国に対しては、歴史の共同研究を10年程度の計画でおこない、それを通じて従軍慰安婦問題など残された戦後処理・歴史問題に決着をつける一方で、民主化の進展を日本独自の方法で促していきます。世界の国々に尊敬され、アジアにおけるリーダーシップを発揮できる日本となるためには、こうした問題に誠実に取り組み、理解を得ていくことこそが重要です。

(日米安全保障体制と基地問題)
■日米同盟関係は今後とも重要であり、評価されるべきものです。ただ、重要な意思決定を米国に委ねるのではなく、イコールパートナーとして主体性をもって米国に対して建設的な意見を述べ、質の高い政策協議を積み重ねる姿勢こそが重要と考えます。在日米軍のあり方については不断に見直しを行い、中長期的な視点に立って検討をおこないます。沖縄に集中している米軍基地問題についても、国内外への移設も含めて、整理・縮小に積極的に取り組みます。日米地位協定の運用改善・見直しを併せて推進し、交渉をおこないます。思いやり予算については検証を行い、必要なものは残し不必要なものは削減していく姿勢が、真の意味での同盟関係だと考えます。

(東アジア地域の安全保障対話)
■このように、アジア太平洋地域において、経済的に圧倒的な存在である日米両国が外交・安全保障の両面で緊密な協力体制を築いていることが、この地域の安定要因となっています。日米安保体制の実効性を高め、地域の安定と平和のための重要な基盤とすると同時に、東アジア地域における対話外交も積極的に行います。APECやARFは、東アジア地域の信頼醸成を高め、対話を進めるために重要です。わが国としては、ARFなどが十分に機能するようリーダーシップを発揮していきます。

(ODAの見直し)
■次にわが国がもつ外交手段についてですが、ODAとPKOは、わが国外交の重要な柱はです。ODAについては、年間1兆円以上の資金を投入して援助をおこなう以上、情報公開や事業評価を徹底させ、透明性・効率性を確保します。これまでのODAはダム建設などハード面が中心でしたが、これからは途上国における人材育成、技術支援といったソフト面を柱に据え、NGOとの連携をさらに強化し、現地NGOに対する「草の根無償援助」を大幅に増額します。

(PKO政策、国連改革)
■国連がおこなっている様々な国際紛争の解決に向けての交渉、仲介やPKOの展開は、重要な役割を果たしており、日本もより積極的に協力していく姿勢を示さなければなりません。現在凍結中の紛争停止や武装解除の監視、緩衝地帯における駐留・巡回などのいわゆるPKF活動についても、その凍結解除に向けて国会での審議を開始したいと考えています。
また、国連改革も必要です。安全保障理事会の拡大改組をおこない、拒否権行使の方法も見直すよう提案します。わが国としても、国内の世論と加盟国の支持を前提として、常任理事国入りを目指します。経済社会理事会についても、審議権限を強化し総合的な調整機能を高めていきます。

(核軍縮・不拡散問題)
■日本が主体的な外交を推し進めるにあたって、唯一の被爆国である日本は、核軍縮・不拡散や核兵器等の廃絶という問題に大きな説得力をもっています。START2、3の完全実施、核保有国の軍縮義務の強化などにより、将来的には戦略核を全世界で1000以内にすることを求めます。

(緊急事態における自衛隊の活動ルール)
■わが国に大規模な直接侵略がなされる可能性は低下しましたが、テロリズムなど新たな脅威の可能性も生じています。出動した後の自衛隊の活動ルールについて、あらかじめ緊急事態における法律関係について十分な議論を行い、法制化を進めます。どのような事態においても自衛隊などの活動がシビリアン・コントロールの下にあり、国民に対して必要以上の権利制限とならないよう、特に基本的人権・表現の自由を保障します。

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