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2000/04/20
第5回党首討論
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○会長(小里貞利君)/これより国家基本政策委員会合同審査会を開きます。
 本日は、私が会長を務めますので、よろしくお願い申し上げます。
 議事に入るに先立ち、この際、私から一言申し上げます。
 皆様御承知のとおり、これまで四回にわたりこの党首討論に御協力をいただきました小渕恵三前内閣総理大臣は、病に倒れられ、今もなお病床にあられます。御回復の一日も早からんことを皆様とともに心よりお祈り申し上げます。
 それでは、新たに就任されました森喜朗新内閣総理大臣の御参加のもとに、党首討論を行います。
 国家の基本政策に関する件について調査を進めます。
 これより討議を行います。
 発言の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。

■鳩山由紀夫君/今委員長からお話がありましたように、私は、小渕前総理と、いろいろな試行錯誤の過程ではありましたけれども、切磋琢磨の中で、皆様方と一緒に党首討論を育ててくることができたことを誇りに思っています。その小渕前総理が突然の病に倒れられてしまわれたことを、まさに痛恨のきわみだと存じます。

 皆様方とともに、私どもも、一日も早くよくなられて、そして、精いっぱいまた御活動できるような日が参りますことを心から願い、お見舞いを申し上げたいと思っております。 また、新たに誕生された森総理には、国の未来のことを思いながら、精いっぱい御努力されることを心から期待を申し上げたいと思います。

 まず、森総理には、有珠の噴火の見舞いに早々に行っていただいたことを心から感謝申し上げたいと思っております。これは当然、単なるパフォーマンスとは思っておりません。それぞれの地元の真剣な、深刻な悩みを一つ一つ御理解をいただいたものだとぜひ期待をいたしたいと思っております。

 そこで、どうしても一つだけ、阪神・淡路大震災の経験を踏まえて申し上げたいことがあります。それは、個人に対する補償というものがややもするとおくれがちになってしまうということであります。どうしても、いわゆるハードな面の復旧、そういった災害対策というものは真剣に行っていただくわけでありますが、一人一人の個人の悩みがなかなか解消されていないというのが現実の姿だと思っています。

 どうぞそこを御理解いただいて、個人の生活補償あるいは営業再開に向けてのさまざまな補償とか、一つだけ具体的に申し上げさせていただくならば、避難されている方々は、やはりプライバシーがなくなってしまって非常にお困りです。そういう方々のために、実は、風評被害などで、登別などもゴールデンウイークを間近にしてキャンセルが相次いでいるということでありまして、ホテルがかなりあいております。そういったホテルとか、あるいは倒産したエイペックスなどのホテルを借り上げて、そしてそこに避難されている方々を住まわせてさしあげるような、そういうある意味でのソフトな対策というものをぜひお願い申し上げたいと思います。総理、いかがでしょうか。

▼内閣総理大臣(森喜朗君)/今、鳩山さんからごあいさつございましたように、小渕さんの後を受けまして、急な話でございましたけれども、国家の政治に少しの空白もつくらないということで、私が前総理の後を受けて内閣の責任を負うことになりました。どうぞまた野党の皆様方にも、各般にわたりまして御指導いただきますようにお願い申し上げる次第でございます。

 十五日に有珠山に行ってまいりました。今、鳩山さんからありましたように、今、直接的な被害を受けてこういう形になられたというようなことはないわけでありますから、しかし、住民の皆さんにとっては、大変苦痛を強いられておられるなということは率直にわかりました。これは鳩山委員の選挙区でもありますから、御心配のこともよくわかります。

 特に、私は非常に印象深かったのは、皆さんが、そういう厳しい、苦しい中にも大変明るかったということでした。そして、みんなで助け合っていこうという、そんな行動をされておられました。しかし、考えてみますと、虻田の方々が、伊達や、あるいは特に多かったのは豊浦においでになっている。豊浦の人口よりも虻田から移ってこられた人の人口の方が多いんですね。ですから、町の人口があたかも倍以上になったような感じでありまして、従前の役場の横に、福祉会館か何かだったと思いますが、そこを虻田の臨時的な役場になさっておられて、町長さん初め、議員の皆さんや職員の皆さんがみんなそこに集まって対応しておられました。

 お話を伺ってみると、いつまでどう我慢をしていいのかということがわからないというのがやはり一番つらいというふうに言って、今のところは笑顔を絶やさないで元気でやっていらっしゃいましたけれども、いつまで続くかわからないという面では大変苦痛だろう、そう思いました。

 今御指摘、具体的にありましたようなエイペックスのことも政府部内でもいろいろ検討いたしておりますェ、料金問題とか、そういう点ではなかなかうまくいかないようでございまして、とりあえず今阪神・淡路の例に倣いまして、仮設住宅の着工準備を始めたようでございます。

 いずれにいたしましても、生業の面だとか、おっしゃるとおり、伊達にいらっしゃいました御婦人の方にお尋ねしたら、洞爺でいつも温泉に手伝いに行っておったのができなくなったとか、そういうことでの悩みもあるとおっしゃっていました。今度のその対策というのは大変幅広く、そして従前の、地震があったとか火災があったとか、そういう対策とはまたちょっと違う、そういう国民的な細かなニーズが必要だな、こう思って、今各対策本部を中心にして、それを承りながら、そういう皆さんの希望にこたえられるように全力を挙げて努力してまいりたい、こう思っております。

■鳩山由紀夫君/ありがとうございます。ぜひ具体的にお願いを申し上げたいと思っております。

 さて、総理は所信表明演説の中で、小渕前総理から引き継がれたのは天命であるというふうにお話をされました。天命は天命で結構だと思いますが、どうも私どもからすると、そう簡単に天命なのかなと、むしろ密室の談合でお決めになったのではないかという疑念を捨て切ることができないのであります。これはやはり、国民に向けても、まだ前総理の病状に関して一切正確に伝わっておらないところもあったりしまして、小渕前総裁の病状を、一握りの、すなわち五人の方々がおられたようでありますが、その五人の方々にのみ知らしめて、そこですべてを決していこうとされたというふうに私どもは理解をしています。

 このようなことを、また、もう既に海外にも知れ渡ってしまっておるものですから、海外から日本の民主主義というのは未熟なものだというふうにさまざま非難をされてしまっている。そこで私は、具体的にそうではないということを総理にお示ししていただくために、具体的に少し聞かせていただきたいと思うのです。

 この四月の二日、青木官房長官が総理を訪ねられて、そしてそのときはまだお元気だったという話です。その後病状が悪化をされたというふうに医師から発表があったというお話をいただきました。もしそうであるならば、そのときに当時の森幹事長も含めて、皆さんお集まりになっておられたのに、青木官房長官が訪ねられた直後に、小渕前総理の病状が悪化したという報を受けて、なぜ病院にどなたもお訪ねにならなかったんですか。そこが私にはどうしても見えないところでありまして、五人の方々がおられる中で、どうして正確な情報というものを、あるいはお見舞いに伺うというのが当然の思いではないかというふうに思うだけに、そこのところを聞かせていただきたい。

▼内閣総理大臣(森喜朗君)/幾つかございましたが、まず私の名誉のためにも申し上げておきますが、私は、内閣総理大臣に指名を受けましたのは、衆議院の本会議場と参議院の本会議場であるというふうに申し上げておきます。なおかつ、これまで参議院ではなかなか指名を自由民主党の候補は受けられなかったわけでありまして、前回などはそこにいらっしゃる菅さんが指名を受けられたわけですから、そういう意味では、三年ぶりに参議院でも私は百三十七の方の御指名をいただきましたので、そういう意味では、私は胸を張って、衆参両院から内閣総理大臣の指名を受けたものであると明確に申し上げます。

 それから、青木さんからのいろいろな御報告があったと思いますが、総理が御入院をされましてから後の処理は、私は、官房長官は完璧であったと思っています。ただ、皆さんお笑いになりますけれども……(発言する者あり)まあちょっと聞きなさい。お笑いになりますけれども、やはり人間の病気ですよ、その病状というのはなかなか定まらない。ですから、病院と、医師との連絡は、官房長官と責任ある医師団ととっていらっしゃるわけです。ですから、そういう意味では、病名は言えたといたしましても、急にお体が悪くなって入院をされたということについては青木官房長官が御家族から受けておられて、そして、医師団から、夜大体十一時過ぎには明快なことがわかるだろうからそれまで一応待ってください、病状については十二分に医師団と家族で見守ってまいりますからということでございました。

 私は、出張する予定でございましたけれども、大変事態としては重いと考えましたから、出張もやめまして、東京の、都内のホテルでみんなが待機をしようということになりました。

 御指摘どおり、病院との接点はやはりこれは官房長官がとるべきで、そして、多くの人たちが集まって病院へ行ったりいろいろすれば、病院にも御迷惑をかけますし、病状がもし軽いものであったとしたら、大変またいろいろな方々に御迷惑をおかけすることになるから、病院側、小渕家との連絡は官房長官にすべてお任せをしよう、こういうことになったわけであります。そして、ただ、その後も病状が少し進むと「う事態になって、官房長官が予定より早く病院の方においでになって、そして総理とのお話をされたというふうに受けて、私どもはその報告を受けているわけでございます。

■鳩山由紀夫君/今総理にお尋ねしたのは、その後の話でありまして、夜の九時半、青木官房長官が医師団から話を受けて、総理の容体が急変した、急変する前はお元気だったというふうに官房長官から伺っている、それが急変したにもかかわらず、なぜいらっしゃらなかったのかということ。そしてさらに、十一時半にさらに医師からの発表があって、昏睡状態であると。昏睡状態になられているのにどなたもお見舞いに行かないということは、どうも、私どもからすると、もう既にそのような状態でおありになったんではないかという疑念が消えないのです。

 ですから、何で病院にお見舞いにどなたもいらっしゃらなかったのかな、そうであれば、何かやはり五人で相当、次の総理はだれにするかとかというようなことで狂奔しておられたとしか思えない。だからこそそういうふうに申し上げているのでありますので、もう一度、なぜ、昏睡状態になられたのに病院にお見舞いにいらっしゃらなかったんですか。

▼内閣総理大臣(森喜朗君)/鳩山さんにしては、実に思いやりのないお話だと思いますよ。皆さんが御家庭の中で家人が病気になられたとしたら、できるだけその病状についてはやはり慎重に見ていくものだ、まして、それが総理大臣ならなおかつのことではないでしょうか。

 ですから、青木さんは、官房長官は病院においでになって、そして写真なども見せていただいたというふうに私聞いておりますが、入ってこられたときの状況と、病院に入られてからの状況では、かなり病状が進んでこられたということを私ども報告を受けました。私たちはホテルにいまして、そして、なぜ行かなかったといったって、みんなでぞろぞろ行ったらどういうことになりますか。少なくとも、私たちが病院へ出かければ、まずマスコミが攻めてくるでしょう。あの病院で、黒山でいっぱいになるんじゃないでしょうか。

 むしろここは官房長官が政府を代表し、そして病院の医師団と十分協議をしていく。まして病状を説明することについては、医師団といえども、奥様や御家族の了解がなければ外に出せないことになっているでしょう。その奥様のお気持ちもやはり考えてあげなきゃいけないんじゃないでしょうか。鳩山さんのようなフェミニストがどうしてそこがおわかりにならないのか。余り後ろの方々のやじばかり意識なさらない方がいいと思います。(発言する者あり)

○会長(小里貞利君)/静粛に願います。

■鳩山由紀夫君/私は、普通の方であれば今のお話が当然だと思います。普通の御家庭であればそれは当然だと思います。でも、一国の総理ですよ。国の最高のリーダーですよ。そのトップリーダーが病気になられて、青木官房長官がお見舞いに行かれたときにはお元気であって、その後どういう状態になられたかということは、それは官房長官あるいは皆さんが一番気になる話じゃありませんか。

 昏睡状態になられたときに、本来ならば当然すぐそこで臨時閣議というものを開かなきゃいけない話ですよ。それを行わないで、次の総理はだれにするかみたいな議論をされていたのではたまらないということで、どうして臨時閣議などを開かなかったのか。

 そして、また同時に申し上げたいのは、いまだかつて前総理の、総理の公的な存在であられたときの病状というもの、今を問うわけではありませんよ、今の小渕前総理の病状を私どもは問うつもりはありません。でも、公的な立場であられたときの、すなわち総辞職されるまでの総理の御病状というものが一切医師団から発表がないというこの二点、どうしても考えておかしいんです。お答え願いたいと思います。

▼内閣総理大臣(森喜朗君)/大事なお立場の方でありますから、余計我々は慎重にしなければならぬと考えました。ですから、医師団との連絡は官房長官、なおかつ青木官房長官は小渕家とも個人的にも極めてお親しい仲でもあるわけですから、そのことをやはりお任せすることが筋であって、我々役員なり他の閣僚が病院にみんなで出かけていったらどういう事態になりますか。しかも、その後確かに病状は進んでまいりましたけれども、医師団は、今どうこうという、そういう緊急な事態になるというような事態ではないんだということを、もう少し様子を朝まで見ましょうということでございました。

 ただ、申し上げておきたいのは、そのときに、これはテレビを見て国民の皆さんに誤解を受けるといけませんが、そんな事態の中にどうして次の総理をどうするとかこうするなんて、そんなことを相談できるはずがないじゃないですか。どうやって病状がよくなっていただけるだろうか……(発言する者あり)

○会長(小里貞利君)/御静粛に願います。

▼内閣総理大臣(森喜朗君)/もしものことがあったらどういうふうになるラきであろうかということは、それは相談はいたしますけれども、そんな中で総理大臣をこっそり決めておった、そんなことは断じてありません。

■鳩山由紀夫君/総理は、所信表明の後の代表質問の私の質問に対する答弁でもそのようにおっしゃって、決して後任の人事のことなどを相談していたわけじゃないとおっしゃっていますが、しかし、その五人集まられた方々のほかの方々からもう既に、実は後のことを決めていたのは当たり前だろうという話をNHKの討論番組でもお話をされてしまっているんですよ。すなわち、事実というものをもう、だれかがうそをついているということが明らかになってしまっているということ、これがこの自民党政治の密室性であり、談合性であり、不透明なんですよ。一番権力の移行において透明性というものが民主主義で求められているのに、透明性が全くないというのが一番問題だということを私は申し上げたい。

 そして、あえて申し上げるならば、小渕前総理の御病状をこんな権力の移行に際する権力争いの渦の中に巻き込ませてはいけないということ、むしろそれは静かにさせていただくのは当たり前の話でありますが、正直に正確なデータというものを示すということが国民にとっての、一番大きな義務であるということを申し上げておきたいと思いますが、いかがですか。

▼内閣総理大臣(森喜朗君)/御承知のように、皆さんの御協力もいただいて、十二年度予算は成立をいたしました。そして、目下予算関連法の審議をいただいているわけです。そういう事態の中で、先ほど冒頭に申し上げましたように、空白はできるだけ避けなきゃいけません。でき得る限り国会も間断なく進めていくことが大事だ。こう考えれば、その後をどういう対応をしていくかということは、与党の我々、幹事長という立場でございましただけに、その責任を持つことは当然なことじゃないでしょうか。

 そういう中で、とにかく、長い空白をつくって、自由民主党の総裁から選んでいかなきゃならぬわけでございますから、自由民主党の党則からいえばかなりの空白が必要になってくるわけですから、そういうものを避けなければならぬなというのは、当然、自民党のそれぞれの良識の中から出てくるわけでありまして、総理大臣はそれは国会で選ぶことですけれども、自民党の総裁については党で決めることでありますから、それぞれの皆さんの政党にも、後継代表、党の代表を選ぶときにはそれなりのやはり皆さんは御苦労があるんだろうと思います。必ずしもすべてが、すべてを大衆の中にさらして後継者をお選びになるということはないんじゃないでしょうか。自由民主党としてどう対応していくかということが大事だ、私どもはそのように、当時私は幹事長でありますから、そう考えるのは当然なことじゃないでしょうか。

■鳩山由紀夫君/ですから、当時の幹事長として、早く、官房長官に対してあるいは内閣全員に対して、閣議を開くべきだったということを申し上げたんですよ。

 最後に、このような密室政治というものの象徴、いいですか、不透明、談合、そして虚偽の塊、こういうやり方が今政治の中にはまかり通っているから、これはどこかで見たことあるなと思ったら、やはり警察の不祥事も同じような事件なんですよ。密室性、談合性、虚偽、これが日本じゅうに蔓延してしまっているところに、私は、政治の大変大きな誤りがあると思う。

 そこで、一つだけ申し上げたいんですが、兵庫県の太子町というところで起きたストーカー殺人事件というのがあります、御存じかどうかわかりませんが。また、桶川のストーカー事件もあります。私どもは、ストーカーというのは大変憂慮しています。今回、私どもは、ストーカーに対する防止、処罰をする法案というものを提出いたしましたが……

○会長(小里貞利君)/申し合わせの時間が参っております。御協力を願います。

■鳩山由紀夫君/今お話しさせていただいたように、これも同じような流れの中で出てきた問題であるだけに、ストーカーの防止法案というものは、ぜひ自民党も協力をして成立を図っていただきたいと思いますが、最後にそのことだけ伺います。

▼内閣総理大臣(森喜朗君)/今、先ほどの問題とストーカーと結びつけるというのはどうもおかしいなと思いますが、しかし、大事な問題だと思います。

 民主党さんから、この法案については、既に国会へ出されていることも承知しておりますし、私ども自由民主党も今、政務調査会の中での機関で精力的に取りまとめをいたしておりまして、でき得れば民主党さんとも協力をして、御一緒に出していただけるような形になればなお迅速に進むんではないかと思っています。

 ストーカーというのは確かに問題は多いわけですけれども、犯罪は犯罪でもありますけれども、もう一つは、いろいろな恋愛感情が絡んだり、いろいろなかなか、専門家に言わせれば難しいものだというふうにも聞いております。

 いずれにいたしワしても、自民党でも今急いで、早急に案をまとめつつございますので、いずれまた民主党、各党の皆さんにも御相談申し上げて御協力できるようにいたしたい、そう思っています。

○会長(小里貞利君)/これにて鳩山君の発言は終了いたしました。

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