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1998/06/08
自民党・橋本内閣の6つの重要政策の誤り
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民主党


1 経済政策の誤り

 昨年4月の消費税率引き上げ直後、消費不振から4〜6月期の四半期の実質成長率が年率換算で実に−10.6%に落ち込むなど、景気は急速に冷え込みました。しかし、政府・自民党は、この景気の悪化に対して何ら手を打たなかったばかりか、特別減税の打ち切り、医療費の個人負担の引き上げという失策を続けました。その総仕上げが、野党の猛反対を押し切っての財政構造改革法の制定の強行と年末のデフレ予算の編成でした。この時期、山一証券や北海道拓殖銀行など、大手金融機関の経営破綻も相次ぎ、諸外国からは日本発の世界恐慌を心配する声が上がり始めました。

 政府・自民党は、いったん打ち切った特別減税を年末になって急遽復活させ、また今年度のデフレ予算を成立させた直後には、わずか5か月前に強行に成立させた財政構造改革法の一部見直しと16兆円の景気対策を打ち出しました。しかし、その16兆円の中身は、財政構造改革法の小手先の見直しという制約もあって、結局は参院選目当ての従来型の土木中心の公共事業と、特別減税の積み増し。こんな場当たり的で政策哲学のない景気対策では、個人消費の拡大や民間設備投資の活性化もまったく期待できず、むしろ景気は悪化する一方です。現在、失業率も戦後最悪の4.1%を記録し、深刻な雇用不安さえ生まれています。5月に経済企画庁が発表した月例経済報告では「景気は停滞し、一層厳しさを増している」と表明せざるを得ませんでした。

 景気の見通しを一時的に誤ることは誰にもあるかもしれません。しかし、昨年春以来の橋本内閣の景気判断と政策対応は、すべてといっていいほど誤っており、自ら作った財政構造改革法によって手かせ足かせをはめられているため、景気対策も場当たり的で小出し、しかも経済構造改革にまったく結びつかない内容です。橋本総理は、「参議院選挙後から景気は上向き、秋には回復する」などと国会答弁していますが、市場はもはや政府・自民党の景気判断や経済政策をまったく信用していません。自らの判断や政策の誤りを認めずに、ますます誤りを重ね、政策不況を深刻化させていく自民党にこれ以上政権を任せていてよいのでしょうか。







2 行政改革の誤り

 「予算10兆円・定員5万人・許認可2532」。このような巨大な官庁を作ることが行政改革と言えるのでしょうか。橋本総理は今回の行政改革を進めるにあたって、「簡素化」「効率化」「透明化」などのキーワードを掲げています。しかし、このような巨大な官庁は、現在の行政を一層「複雑化」「非効率化」「不透明化」させることは明らかです。私たちも縦割りの弊害を防ぐために、省庁を大括りさせることには反対ではありません。しかし、そのためには現在、霞が関が抱えている膨大な権限や財源を地方などに分散させて、スリム化を実現することが絶対の条件です。橋本行革は、この霞が関のスリム化に手を付けず、単に現在ある役所を一緒にしているだけなのです。この方法で現在22ある省庁を13にまとめようとしているのですから、それぞれの役所が巨大化するのは当然です。

 冒頭に例示をした巨大官庁は、橋本行革が掲げる「国土交通省」ですが、これは現在の建設省と運輸省が母体となる役所です。しかしこの2つの役所は現在も同じ建物の中にあって、その表玄関にはそれぞれの役所の看板が掲げてあります。この2枚の看板を1つにまとめて「国土交通省」とするのです。まさに「看板の掛け替え」であり、中身は何ら変わることがありません。厚生省と労働省が合併してできる「労働福祉省」も同様です。これが橋本行革の実態なのです。その結果、霞が関のスリム化は「定員削減は10年間で1割」という、民間が行っている厳しいリストラに比べようのない空しいリストラ案になっているのです。

 さらに橋本総理は今後の行政改革を官僚に一任しようとしています。今までは曲がりなりにも学識経験者の方々に行政改革会議への参加を仰ぎ、事務的なスタッフにも民間企業の方々を入れていました。しかし、学識経験者で構成していた会議は解散してしまい、民間企業からの方々も3月末をもって出身企業に戻って頂きました。残ったのは官僚ばかりです。今後は「まな板の上のコイ」が自ら包丁を持って、改革を行うのです。これでは本当の行政改革など行えるはずがありません。民主党は行政改革は国会の責任で行うべきであると主張していますが、百歩譲って行政府部内で行うとしても、第三者の参加は欠かすことはできません。
 今回の行政改革は、21世紀の「この国をかたち」を見据え、これに適合した行政の在り方へ転換することが当初の目的でした。しかし橋本総理は自民党族議員に振り回され、更に官僚に依存することによって、見せかけだけの行政改革を行おうとしています。「橋本行革」は、行政改革とは言えません。

 中央省庁に集中している権限や財源を市民、市場、地方に振り分ける。また、行政に対する政治のリーダーシップを確立させることによって、真に国民主権の国家へ転換する。このような行政の質を転換することによって、新しい日本社会に適した、新しい行政を創ることができるのあり、これを「行政改革」と呼ぶのです。



3 政治倫理の非常識

 自民党幹部に対する泉井石油卸商による巨額献金事件、株取引による利益供与事件などを引き起こしながら、自民党政権は野党の疑惑解明要求に耳をかさず、再発防止策にも後ろ向きの対応を続けています。また、大蔵省の官僚が逮捕され、大量に処分された接待汚職は、不透明な裁量行政の問題点を浮き彫りにしました。このルールに基づかない裁量行政が、政官業癒着の構造をもたらし、利益誘導型の自民党政治を支えているのです。

 さらに、選挙運動中の買収行為により公職選挙法違反として拡大連座制の適用を受け、2人の衆議院議員が辞職したり、当選無効の判決を受けていますが、いずれも自民党議員であり、金権体質を如実に表したものといえます。

 第2次橋本内閣にロッキード事件の有罪議員である佐藤孝行議員を入閣させたことで、国民のきびしい批判にあった自民党は、いったんは政治腐敗防止に取り組むかのように見えましたが、出てきた法案は「あっせん利得保護法」ともいえる内容に変わっていました。

 あっせん利得とは、政治家が地元や業界の利益のために、役所に口を利いて、報酬を受けることです。自民党案では、こうした報酬でも政治資金規正法にのっとって届ければ、処罰の対象から適用が除外されるというのです。自民党案の問題点として、その他にも、地方自治体の職員や議員へのあっせんが規制の対象になっていないこと、対象となる事務が限定されていること、報酬の範囲が金銭又は有価証券等と限定されていることなどが挙げられます。

 民主党の法案は、国会議員が地位を利用して、特定の者に不当な利益を得させる目的で、他の公務員にあっせんをして、その報酬を受け取ったら処罰されるというものです。「請託を受け」を削除し、事務や報酬の範囲も限定せず、地方自治体の職員や議員への働きかけも対象になります。自民党案との違いは歴然としています。

 現行の刑法のあっせん収賄罪は、「請託を受け(頼まれて)」や「職務上不正な行為をさせる」などの要件のため立件がむずかしく、これまで国会議員が起訴されたのはわずか二件。そこで、新たな法案の検討が始まったはずなのに、いつのまにか資金浄化法に変わったのですから、国民をばかにしているとしか思えません。

 自民党内ではこの法案に対しても反対の声があがり、「政治はあっせん業」と公然と発言してはばからない状態です。与党の地位を利用して利益誘導をちらつかせながら、地元の自治体や企業関係者にパーティー券を押しつけている実態もあります。

 このような政官業癒着の構造が底流にあり、自民党ではどうしても日本の政治・経済・行政・社会システムの構造改革が断行できないのです。この意味から今回の参院選は、あっせん業の政治・利益誘導政治を続けるのか、政治・行政・経済・社会システムの構造改革を進めることができる政治に転換するのかを問う選挙であるともいえます。



政官業癒着の構造が生み出した戦後の主な汚職事件
(摘発された年、起訴された主な政治家と罪名)

・ロッキード事件(76)田中角栄・受託収賄 橋本登美三郎・受託収賄 佐藤孝行・受託収賄

・撚糸工連事件(86) 稲村左近四郎・収賄

・リクルート事件(89)藤波孝生・受託収賄 池田克也・受託収賄

・共和事件(92)   阿部文男・受託収賄

・ゼネコン汚職事件(94)中村喜四郎・ 斡旋収賄

・二信組事件(95)  山口敏夫・背任など



94年改正公選法の拡大連座制が適用された主な選挙違反等
97・10・28 菊池福次郎衆議院議員(自民党)が最高裁決定で秘書の有罪が確定するのをうけ、議員辞職を表明(5年間同一選挙区の立候補禁止)

98・ 5・25 野田実衆議院議員(自民党)に当選無効、5年間同一選挙区での立候補禁 止判決(大阪高裁)

    5・28 松田九郎元衆院候補(自由党、元自民党衆議院議員)が買収で逮捕



4 社会保障・雇用政策の誤り

 橋本内閣が掲げる社会保障構造改革の中身が、「医療の患者自己負担を増加し、年金の給付水準を引き下げる」ものということに、国民は大きな疑問を感じています。何よりも「高齢社会に対するビジョン」がなくてはなりません。高齢者雇用をどう進めるか、健康を守る予防体制をどう充実させるか、また障害や高齢で介護が必要になったときの社会基盤をどう整えるか、そうした将来ビジョンを明らかにし、そのための改革プログラムを実現していくことが、個人の自立を支援することにつながるし、ひいては医療費や年金の支出も抑制できるのです。

 橋本内閣は、高齢社会のあるべき姿を示さず、患者の自己負担増や年金水準の引き下げといった財政のつじつま合わせだけの社会保障の構造改革を進めようとしているから、国民はますます不安を募らせるのです。

 日本の国民医療費は、97年度推計で29.1兆円、なかでも老人医療費は10.43兆円で医療費全体の36%を占める状況で、今後、高齢化等により医療費を含む社会保障費用の増加は避けて通れません。そうした中にあっても、国民皆保険体制を維持し、より安定的な医療保険制度の運営をめざそうとするなら、保険財政のみならず、医療制度及び医療保険制度両面にわたる構造的改革の断行こそ緊急の課題です。

 橋本政権が昨年8月に発表した「21世紀の医療保険制度」は、今後確実に増加が見込まれる医療費の負担を、もっぱら患者の一部自己負担を中心とする国民負担増で賄い、医療費に関わる国庫負担を削減しようとする露骨な内容となっています。しかも、その内容では、果たして国民が安心して良質な医療サービスを受けることができるのかどうか、具体的な改革イメージが全く浮かんできません。

 真の構造改革を進めるためには、個別の政策や制度改正をつまみ食い的に行う手法は許されません。改革の全体像を明確に示しつつ、改革のプログラムを提示することが必要です。そのことがないまま、国庫負担の削減をはかり、あるいは患者の一部自己負担増を一方的に押しつける橋本政権のやり方は絶対に許されません。

 99年の年金改革では、「現行の給付水準を維持するなら保険料率はこのぐらいアップしますよ、保険料を上げないとすれば給付は下がりますよ」というような提案を橋本内閣は行っています。しかし、あまりにも視野が狭く、社会保障としての税の役割や世代間のバランス、他の制度との整合性も含めた議論が欠落しています。高齢期の所得保障として将来も安心できる公的年金制度を維持するため、国民的議論を行うことが大切です。

 また、長引く景気の悪化で雇用情勢は、ますます厳しくになっています。4月末の完全失業者は、290万人で前年同月に比べ59万人増と大幅に増え、過去最高です。完全失業率はついに4.1%まで上がり、3ヶ月連続して最高記録を更新しました。また、有効求人倍率は0.55倍で、8ヶ月連続で悪化し、ここ15年近くで最も悪い水準に落ち込んでいます。中高年の再就職はとくに厳しく、45歳以上で1年間以上失業している人が失業者全体の25%を占めています。

 政府は、既存の雇用保険制度の枠内で小出しに失業防止や新規雇用助成をはかってきましたが、失業増加の歯止めにはならず、全国的な雇用不安を起こしています。政府が景気浮揚策として決定した16兆円の総合経済対策の効果も極めて疑わしく失業率の上昇に歯止めがかかるとは、到底考えられません。政府の総合経済対策の中で雇用対策費が約500億円計上されていますが、雇用保険制度の諸施策への国庫助成率を多少増やすだけで、応急措置的なものです。政府は、抜本的な雇用政策を実施するのが遅すぎました。

 今求められている雇用政策は、産業構造の変化に伴う雇用・就業形態の多様化とリストラの進展に対応し、雇用安定・勤労者保護の充実をいかにはかるかということです。しかし、政府は雇用の受皿となる産業やそれに対応できる労働者をどのように育成するか、その方法を提示できずにいます。景気回復の兆しが見えず、雇用の流動化への対応策が示されなければ雇用不安は一向に解消されません。

 民主党は、景気対策の中で、わが国の経済構造改革に対応できる雇用・起業対策を打ち出しています。既存企業における雇用の維持・安定に寄与する施策に加え、情報通信・環境・福祉医療関連など雇用創出効果が大きいと予想される分野の起業支援や、労働者の自主的な職業能力開発の支援などを積極的に推進することをめざしています。






5 環境政策の誤り

 産業廃棄物の年間排出量は、約4億トンありますがリサイクル率は39%(一般廃棄物はわずか8%)です。また、紙の回収率は51%(95年)で、ドイツの90%に遠く及びません。ガラス、アルミ、スチールの回収率もそれぞれ61%、65%、74%(95年)と、ドイツの82%、70%、64%と比べ数段見劣りする結果になっていますが、自民党・橋本内閣は積極的にリサイクル率を高めようとしていません。

 ゴミ焼却場周辺のダイオキシンについては、廃棄物焼却場周辺の土中からかなりの高濃度のダイオキシンが検出されている地点があります。しかし、日本では、ドイツのように覆土し小児の土壌接触を防止しようというような措置はとられていません。また、昨年の廃棄物処理法の改正を受けて、ゴミ焼却施設におけるダイオキシン発生濃度の基準が強化されましたが、橋本内閣は既設の焼却炉の改修を推進するための十分な予算を振り向けていません。

 環境ホルモン(内分泌撹乱物質)の研究については、欧米ではかなり以前から国を挙げての研究体制が整えられているのに対し、わが国では研究への予算があまりにも少ないなどから対応は遅れています。しかし、環境ホルモン問題については、原因や因果関係がはっきりするまで何もしないというのではなく、予防原則に基づき早急に対応を行うという姿勢が必要です。

 これまでに、主要河川の河岸の21%、主な湖沼の湖岸の43%、海岸の54%が何らかの人工的な改変を受け、現在も増加傾向にあります。海岸とそれに続く干潟などは、生物にとって掛け替えのない場所であるにも関わらず、安易に埋立が進められています。橋本内閣は、公共事業の再評価制度の導入を決定しましたが、あくまでも省庁内の検討機関で結論を出すものであり、透明性や中立性の面で大きな疑問が残ります。また、公共事業採択の際には、費用対効果につき検討することになっていますが、環境破壊などについての評価方法は不十分なままです。

 橋本行革の目玉として環境省が創設されることになっていますが、その組織体制や人事面などの条件整備が全く進んでいません。環境庁の組織に厚生省の廃棄物関係の人数を加えても1000人程度の人員です。環境庁の予算も、アメリカの環境保護庁(EPA)の予算約1兆円に対し、わずか800億円にしかなりません。その一方で、巨大公共事業官庁の国土交通省や経済産業省、農林水産省は1万人をはるかに超えると見込まれ、環境省とは雲泥の差です。このまま自民党・橋本内閣の環境政策を継続すれば、環境破壊がますます進むことは明らかです。



6 女性政策の誤り

 橋本内閣は、男女共同参画社会を実現しようと言いながら、女性閣僚が一人もいません。当選回数や旧派閥を意識した順送り主義では、バランスのとれた人事はできません。自民党は、閣僚に適した女性がいなかったと弁解しますが、それは党内での人材育成を怠ってきたことと、民間からの人材登用を嫌ったことの表れです。

 民主党は、女性のための政治スクールを開催したり、国と地方議員のネットワークを広げたりする取組みを通し、女性の政治参画を推進します。

 自民党は、「男は仕事、女は家庭」という社会構造に固執し、多様な生き方を妨げる障壁を取り払おうとしません。民主党は、あらゆる分野で男女の固定した役割分担や差別、不平等な状態の解消を促し、男女共同参画社会を実現します。

 最近の調査では、日本で一人の女性が一生の間に産む子どもの数の平均は1.43人と減少し続けています。自民党内には「他人の産んだ子の負担で老後をぬくぬくと過ごすなどもってのほかで、子どものいない共働き夫婦に懲罰税を課すべきだ」という、まるで大戦下の人口政策のようなことを主張する議員がいます。国が個人に出産を強要したり、子どもの数を決めるようなことは到底許されません。

 問題なのは、子どもをもちたいと思ってもそれを妨げる障害があります。最近の調査では、夫婦が理想として平均で2.6人の子どもが欲しいと考えているのに対し、1組の夫婦から実際に出生している子どもの数は2.2人となっています。需要にあった保育施設がなかったり、一時休職するにあたって不利益を被るのであれば、仕事か子育てのどちらかを断念せざるを得ません。こうした状況を放置したままの橋本内閣には、少子化問題や女性のライフスタイルの多様化に適応した施策を講じようという姿勢がまったくないと断ぜざるを得ません。

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