私たちは、「地域のことは地域で決める」ための仕組みを作ります。
国への税金を減らし、その分を地方が独自に集めるようにします。
「ひも付き」ではなく、地方が自由に使えるお金を増やし、
国のご機嫌を伺わなくても、地域の事情に合わせた仕事ができるようにします。
国の仕事を、外交・防衛や福祉の基準作りなど、
地方ではどうしても出来ない仕事に限定します。
情報公開を徹底し、住民参加の機会を増やし、
住民投票の制度も、積極的に活用します。
「上からの押しつけ」で行政を進めるのではなく、
「自分たちで決める」ことから、民主主義は始まります。
私たちは、福祉・環境・教育など、
日々の暮らしの充実を第一に、「不安」のタネをつみとります。
経済成長至上主義ではなく、身近なところに目を向けて、
お年寄りの介護、安全な空気・水・食べ物、個性を伸ばせる学校など
本当の意味での豊かさを追求します。
福祉や教育を充実することは、新しい雇用を生み出します。
環境を守るためには、新しい技術や新しい産業が必要です。
女性もお年寄りもハンディキャップを持った人も
誰もが安心して暮らせる環境をつくることで、
新しい活力と創造力が生まれます。
身近な暮らしの充実こそが、景気回復の原動力なのです。
さあ、民主党とともに
「地方の力」を強くしませんか。
「地方の力」で日本を変えませんか。
私は変えたい。
変えるのは「あなた」です。
【目次】
1.分権・公開・参加で「住民が主役」
分権_____________________________________
○中央省庁の役割を限定
○国と自治体を対等な関係に
○利益誘導政治からの脱却
○地位利用収賄罪を地方にも
○NPOを地域社会の基盤に
参加_____________________________________
○まずは情報公開の徹底から
○行政のあらゆる段階で住民参加
○住民投票の充実、日曜・夜間議会で直接チェック
○住民参加の街づくり
○男女共同参画の社会を築く
○あらゆる差別を撤廃、誰もが社会に参加
財源_____________________________________
○所得税の一部を地方税に移譲し、財政調整制度を改革
○包括補助金制度で財源も事業も自治体に
2.景気と雇用、構造改革で活力再生
景気回復と雇用安定______________________________
○「構造改革につながる景気・雇用対策」の柱
○新型社会資本整備事業を実施し雇用創出
○教育・訓練拡充と失業給付を延長
金融システム改革_______________________________
○護送船団行政と訣別
○責任と倫理を厳格に
税制も抜本改革________________________________
○税制改革の4つの柱
○消費税を福祉目的税に改革
○減税対策は国の責任で実施
不況に強い街づくり______________________________
○ものづくり基盤技術を振興、権限を地方に
○起業家を全面バックアップ
○商店街は消費生活のライフライン
一次産業の基盤整備______________________________
○猫の目農政からの脱却
○価格政策から所得政策へ
○つくり育てる漁業
3.生活者を重視した各種政策・施策の実現
心のゆとり______________________________
○子どもの権利尊重から
○教育の地方分権
○「受験地獄」からの解放
○30人学級推進法案を提出
安心して生み育てられる社会に_________________________
○仕事と子育ての両立支援
○育児休業給付の引き上げ
○子育て支援手当法の創設
安心の老後__________________________________
○介護保険は2000年度からの実施
○ポスト新ゴールドプランの策定
○基礎年金財源全額国庫負担に
市民が主導する環境の保全___________________________
○ダイオキシンなどの化学物質対策で法案提出
○環境教育基本法制定へ
○循環型の経済システムの構築
○循環と共生のまちづくり
○森林を守ることは国際的責務
安らぎの暮らしは住まいから__________________________
○都市部にもゆとりの住まいを
○高齢者・障害者にやさしい住宅
1.分権・公開・参加で「住民が主役」
分権
地方分権は単に行政改革の一手段であったり、一極集中の緩和策ではなく、21世紀の新たな日本社会を築く最も重要な手段です。我々民主党は「市民へ・市場へ・地方へ」の視点を持って、国民が主役となる日本社会の実現を目指しています。そして国民が我が国の主役となるためには、行政が様々なことを決定する時に、常に国民に情報が提供され、これに対して誰もが意見を言え、さらにその後の行政の活動を監視できる環境を整備することが不可欠です。しかし住民に身近な行政サービスの内容が霞が関で決定されていては、多くの国民が何も知らないうちに物事が進みかねません。やはり住民が決定に関与し、監視するためには身近な役所が責任を持って行政サービスの内容を決定できることが必要です。地方分権とは霞が関の権限を市町村に移すことではないのです。主権者たる国民が、この主権を十分に活用するための手段なのです。
○中央省庁の役割を限定
ごみ処理やリサイクルなどの環境問題、老親や配偶者の介護、保健・衛生、子どもの保育・教育、水や電気などの供給、道路や公園の整備-----地方自治体は、このような私たちの生活を支える基本的な公共サービスの提供に責任をもち、各種の事業・事務を担っています。また、国の仕事も数多く肩代わりしています。しかしながら、これまで、国と地方は、上下・主従関係で、ナショナル・ミニマム(全国規模の最低生活水準)の確保という観点から画一的な行政が行われてきました。そして今、将来への不安が高まっているのは、国主導のこれまでの社会的セーフティーネット(安全網)がボロボロになっているからです。官僚支配による中央集権的な行財政システムは、もはや機能不全に陥っています。セーフティーネットを地域のなかに張り替え、少子・高齢化に対応した社会を築くためには、官治・集権から自治・分権へと転換する必要があります。中央省庁の役割を国家の根幹に関わる分野に限定し、それ以外は、住民が決定に参加し、また日常的にチェックしやすい身近な地方自治体が責任を持って行なうべきです。地方分権とは地域のことは地域で、そこに住む住民が決めようということであり、国と自治体、自治体と住民が対等な協力関係で公共サービスを担っていくことです。地方分権の行財政システムが実現すれば、利益誘導政治も変えることができるのです。
○国と自治体を対等な関係に
今国会は地方分権を推進する一括法案が提案され、500本近い法案の改正が行われます。地方分権推進委員会の勧告とそれに基づいて政府が決定した地方分権推進計画に沿って法案が作成されていますが、その柱は地方自治法の改正です。中央集権型行政システムの中核をなしてきた機関委任事務を廃止し、国と地方の係争を処理する第三者機関を設置する等の改正が図られます。しかし、勧告、計画、法案と経るうちに、事務の定義等について、国の関与を強める内容に変わってきています。明治以来の官僚統治を転換するために、国と自治体の対等・協力関係の保障、国と地方の役割の明確化等に応えられる地方自治法改正を実現するために全力をあげます。
○利益誘導政治からの脱却
政治家はあっせんする動物だ__これは、あっせん利得罪を議論したときに自民党の中から出てきた発言です。97年の秋、ロッキード事件の有罪議員である佐藤孝行議員が入閣したことをきっかけに政治家の腐敗防止が焦点となり、あっせん利得罪の創設が重要な政治課題となりました。政治家が役人に口利きをして、地元や業界に有利な行政をさせ、その報酬を得ることについて、あっせん利得罪として処罰しようというものです。自民党案は、あっせんして報酬を得ても政治資金規正法にしたがって届け出れば、罰則を免れるという内容で、むしろ、あっせん利得保護法ともいえるものに変わってしまいました。それでも党内の反対で、国会提出に至っていません。
地方分権が実現し、自治体が自主的、主体的にモノごとを決められるようになれば国会議員の地位や権威が低下するという“率直な”声も聞こえてきます。いわゆる「族議員」の出番がなくなるというわけです。いち早く予算や公共事業、その他の国の施策に関する情報を知り地方に知らせる、中央、地方の役所に働きかけて地元や業者に有利な事業の誘致をするというように、これまでの自民党政治はまさに利益誘導政治でした。そして利益誘導政治になるのは、中央省庁が大きな権限をもち、裁量行政を行う官僚統治のシステムだからなのです。中央省庁の権限を縮小・限定し、地方分権を確立することは、こうした利益誘導政治・官僚統治システムから脱却するということです。
○地位利用収賄罪を地方にも
民主党は98年の通常国会に地位利用収賄罪を創設する法案を提出しました。国会議員の地位を利用して、特定の者の利益になるように役所などに働きかけ、そのあっせんの見返りとして報酬を受けた場合は、懲役5年以下の罰則という内容です。これまで、政治家があっせんして賄賂をもらっても、現行(刑法)のあっせん収賄罪では、その政治家に職務権限があるかどうか、依頼を受けたかどうかの立証が難しいため、これまで国会議員で立件されたのは2件だけです。そこで、職務権限や請託の有無にかかわらず、地位を利用した収賄を処罰することにしたものです。民主党は公明党や社民党とともに、与野党が逆転した参議院で共同して法案を出し直し、その実現を図ります。地方自治体も汚職事件は枚挙にいとまがありません。同法案は、一定の期間を経て地方議員や首長にも適用されるようにします。また各自治体において、利益誘導を禁止し資産公開を進める政治倫理条例の制定を推進します。
○NPOを地域社会の基盤に
NPO活動(=非営利の市民活動)による公共的サービスの提供を増やすことにより、行政をスリム化できます。また、地域に根ざした市民活動を活性化させることにより、地方分権を推進することもできます。このようなNPO活動を支援するために、税制上の優遇措置や郵便料金等の優遇制度を実現させます。
参加
分権が進めば、自治体の裁量で財政状況や地域のニーズを考えながらサービス内容を決めていくことになります。少子高齢化、情報化など社会構造の変化に対応して、役所や住民、議会、NPO(非営利市民団体)、企業などが相互に知恵と力を出し合い、協働して公共サービスを担っていくことが大切です。「上から」のサービス提供ではなく、住民の立場に立ったサービスにするためには、そこに住む住民参加の保障が不可欠です。
○まずは情報公開の徹底から 自治体の活動状況を「知る」ことが住民参加に不可欠であり、自治体の情報公開を徹底して推進します。自治体が所有する情報は住民の共有財産であり、住民に公開を要求する権利があることを明確にした「情報公開条例」の制定を全国の自治体で推進します。その際、情報公開条例の対象として、自治体が出資している「第三セクター」や、多額の補助金を受け取っている法人も対象に加えます。また、情報公開請求の手数料については、住民の利用を抑制しないようコピー代程度に抑えるとともに、公益が目的の場合には大幅な減免を認めます。さらに、住民参加の地方自治に不可欠な基本的な情報については、公開請求がなくても自治体側から積極的に情報を提供するよう義務付けます。これらの情報公開や情報提供については、民主主義の新たな手段として注目を集めているインターネットを通じて住民が容易に情報を入手できるようにします。また、自治体議会の情報についても積極的に公開するため条例等を整備します。
○行政のあらゆる段階で住民参加
財政状況や行政内容を理解して、自分も加わって決めたことなら、積極的に推進する意欲も湧きます。住民のアイディアや知恵、活動力は膨大な潜在力であり、住民自身も自分の住む地域社会に何らかの貢献ができることは、喜びともなります。これからの自治体行政にとって住民参加は必要不可欠の条件といえます。まちづくりの長期計画や基本構想の策定過程への参加だけでなく、執行過程、行政評価の過程への住民参加を促進します。新しい行政サービスに関する内容やコストについて、あるいは、すでに実施されているサービスの効果や改廃に関する評価などについて、住民が意見を述べることができ、その意見がどう反映されたかを知らせるしくみをつくります。
○住民投票の充実、日曜・夜間議会で直接チェック
住民投票は、住民参加の重要な手段です。議会制度と対立するものではなく、相互に補完して、自治を活性化するものとして活用すべきです。取り上げる課題や手続き、首長や議会との関係などについて、自治体ごとの実践を積み上げ、住民投票制度を充実、実効性のあるものとするように取り組みます。
また、働く人たちが地方議会を傍聴できるように、土曜日や日曜日などの休日、夜間などに議会を開く取り組みを進めます。
○住民参加の街づくり
政府・自民党のビジョンなき都市計画・無為無策により、全国各地のまちづくりはないがしろにされてきました。全国どこでも同じような没個性の町並みが蔓延した挙げ句、中心市街地は空洞化し、各地の商店街はシャッター通りと化しています。民主党は、地域の伝統・文化の担い手である中心市街地を活性化し、住民参加の街づくりを促進していきます。
まず、中心市街地の活性化を図るため、低層部分が店舗、上層部分が住居の高層ゲタバキ商店街や三世代住宅の建設を促進します。さらに、都心部に思い切って老人ホームや託児施設などの公共施設を設置するなど、居住環境を大幅に改善し、居住人口の増加を図っていきます。虫食い状態・散発的な開発行為を抑制し、商業地域が郊外に広がっていく一方で中心市街地が空洞化するような非効率的な土地利用を防止するなど、建設投資に対する適切な規制誘導を推進していきます。
都市計画は、地域住民が自ら参加し決定することを基本に、地方分権を推進して、都市計画に関する事務を都道府県及び市町村の固有事務とします。大都市中心部の木造老朽化住宅密集地域の再開発を促進します。縦割り行政を排して、住民の意志を反映した総合的かつ主体的なまちづくりを進めるため、地域住民による「まちづくり協議会」の設立を推進します。公的賃貸住宅、公園緑地、合併浄化槽・中下水道等の生活排水処理システム、電線類・ガス管・上下水道管を併せて埋設する共同溝など、生活関連社会資本の整備・充実をはかります。
○男女共同参画の社会を築く
男女がともに社会的・文化的に形づくられたジェンダー(性差)に縛られずに、個人がその責任を果たしつつ、平等な権利を行使できる社会を築き上げていきます。そのためには性別を理由にした偏った諸制度や慣習の見直しが必要です。個別法律の改正も縷々取り組んでいますが、それらの根拠となる法律として、男女共同参画基本法の制定を推進します。また各自治体が、男女共同参画を推進する条例の制定、担当部局の設置を行うよう取組みます。
女性の人権確立のため女性と暴力に関する処罰規定の見直しや新たな法律の検討、また女性と健康の問題では、母子健康という意味だけにとどまらないリプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツ(女性の性と生殖に関する権利)確立のための環境を整備します。
○あらゆる差別を撤廃、誰もが社会に参加
憲法や人権に関する諸条約の規定に基づいて、性別・身分・門地・人種・民族・年齢・障害・病気などによる差別の解消をめざします。教育啓発や被害救済など人権保障に関する法制度を積極的に整備するとともに、国際人権規約B規約選択議定書など未批准の人権条約批准に取組みます。市民やNGOがすすめている「人権教育のための国連10年」などの活動と協力し、国や自治体などでの人権教育・人権啓発に関する施策を推進します。様々な差別や性的虐待・いじめなどの被害者の避難や救済を行うシェルターやオンブズパ_ソンなどの活動を支援します。障害者基本法や障害者プランの見直しなど、障害を持つ人たちが差別なく生活できる社会づくりをすすめます。
財源
毎年、予算編成の時期になると、議員会館や霞が関は地方からの陳情でごった返します。自治体の首長や議員の皆さんが、少しでも地元のための補助金や予算をつけてもらおうと出かけて省庁や国会議員のところを訪ねているからです。膨大な時間と費用、人手を使って東京に陳情に行かなければならないのは、自治体が住民のために事業をしようと思っても、自由に使えるお金が少ないせいです。地方分権・住民自治を実現するためには、国から地方へ税財源を移し、陳情のために東京に出てくる必要がない制度にしなければなりません。
また、地方分権を推進するということは、自治体の収入、支出の両面で住民自治を確立するということでもあります。収入については、国から地方への税財源の移し替えを実現し、支出面の改革では、自治体自身が仕事に優先順位をつける覚悟が求められています。行政改革も必要です。限られた財源をどう使うか、どう優先順位をつけるのかということは、ときに痛みを伴います。また、将来への不安を解消し、安心して暮らせるようにするために、しっかりした地域のセーフティーネットが必要であり、ハコもの重視の土建型行政から、介護など福祉や環境を重視した行政に転換し、それに対応した財政構造改革・行政改革を進めます。
○所得税の一部を地方税に移し、財政調整制度を改革
国と地方の税収の割合は現在、およそ2:1ですが、実際の国と地方の仕事の割合は1:2と逆転しています。したがって、地方が2の仕事をするためには、地方交付税や補助金というかたちで国からカネをもらわなければ賄えない仕組みになっているのです。中央省庁は財源配分の権限を握ることで、地方に自分に都合のよい事業をさせたり、政策誘導ができるので、この権限を手放そうとしません。
地方交付税は、法人税や所得税など国税5税の3割強。本来、自治体全体の固有財源ですが、地方の意見が反映される仕組みもなく、あたかも国からカネを交付してもらっているような形になっています。地方交付税を交付されていない自治体、つまり自前で賄っているところは、約3300の自治体のうちわずか120団体、5%にも達しません。都道府県では東京都だけが不交付団体で、政令指定都市は不交付団体がゼロになりました。住民が多額の国税、地方税を納めている自治体でさえ、地方税の収入だけではやっていけないのが、現在の地方財政の仕組みです。
民主党は税収の割合が当面1:1になるように地方へ税源を移し、自治体の自主財源を増やすとともに、自治体が自らの責任で税や資金を集めることができるように地方財政制度の改革を進めます。
その具体策として、所得税の納税者全員にかかっている比例部分(最低税率である10%)、約10兆円を地方に移します。これだと今より地域格差を縮小させ、自主的財源を増やすことができます。国と地方の税収の取り分が変わるだけで、納税者の負担も変わりません。
税源の移し替えによって自前の財源で賄える自治体が大幅に増えますが、地域格差は残りますので、何らかの財政調整制度は必要です。現行の地方交付制度は算定方法が複雑で、理解できるのは自治省でも限られた人だけといわれています。そこで、算定方法の簡素化、透明化を図り、地方の意見が反映される仕組みをつくって、国の裁量を小さくするようにします。
○包括補助金制度の創設で財源も事業も自治体に
また民主党は公共事業における地方分権が不可欠であると考えます。おのおのの地方において、どのような公共事業が本当に必要なのかは、その地方の住民が一番よく知っています。現在の公共事業では、施設の基準などについてほとんど国が決定しており、地方において創意工夫を活かした特色ある事業を行うことはたいへん難しくなっています。またどこに何をつくるかといういわゆる「箇所づけ」などにも国が関与しており、結果として地方が望むものよりも、国が補助金などで推進する社会資本が優先されることになりがちです。そのため特色ある事業や、本当に必要とされる事業が行われることなく、地域住民の不満の高まりと財政支出の浪費がますます進行していくことになります。
これを解決するためには、国が行う直轄事業を減らしていくとともに、地方主体の事業の割合を増やしていかなければなりません。そのため民主党は人口数を基準に配分され自治体が自由に使える包括補助金制度を導入します。これによりそれぞれの自治体が、自主的・主体的に事業計画を決定することができるようになります。
2.景気と雇用、構造改革で活力再生
景気回復と雇用安定
政府・自民党は経済構造改革を先送りし、地方の創意や独自性を無視し、土木型公共事業を中心とした旧態依然とした景気対策を地方に押しつけています。民主党は政府と異なり、21世紀を切り開く斬新な景気対策に取り組みます。民主党は、_将来の日本の構造改革につなげる政策の実施、_「質」も「規模」も重視、民間・個人・市場の活力重視、_まず現在の危機を脱することに全力、_将来にわたる持続的成長の達成、_国民・勤労者が安心して暮らせる「セーフティーネット」を整備・充実、_地方財政には過大な財政負担を求めることなく国の責任で実施__という基本姿勢に基づき、国費で20兆円規模の「構造改革につながる景気・雇用対策」を断行します。
○「構造改革につながる景気・雇用対策」の柱 第一の柱は、中堅サラリーマンに厚い所得税減税及び法人減税を実施し、消費を活性化して、企業の競争力を強化することです。所得税の税率を一律2割引き下げ、10%から50%の税率を8%から40%に、最低税率のブラケット上限を330万円から400万円まで拡大します。地方財政破綻を招く地方税減税には反対します。住宅・自動車購入を促進する政策減税に重点的に取り組みます。
第二の柱は、年金保険料引き下げと「子育て支援手当」創設です。基礎年金国庫負担を1/3から1/2に引き上げて保険料を引き下げます。国民年金で年間3万6,000円、厚生年金で本人負担分年間2万1,600円下げになります。所得税の扶養控除を廃止(70歳以上の老親等除く)する代わりに、「子育て支援手当」を創設します。18歳未満(学生23歳未満)を対象とし、第1・2子は月額1万円、第3子以降は2万円を支給します。
第三の柱は、地方主体、民間主体の社会資本整備の推進です。4兆円を都道府県(1人8,000円)、市町村(1人2万4,000円)に交付し、地方公共団体による環境、福祉等に関わる投資事業を実施します。さらに「にぎわいの街再生プラン」を実施し、都市中心部の国有地利用・PFI化による職住接近の街づくり、日本版RTC(強力な権限を持つ債券回収機間)へ塩漬けの不良債権担保土地を集約・利用を進めます。従来型の公共投資については「大都市関連」「生活向上関連」等に重点投資を行います。
さらに、新ゴールドプランの介護ヘルパー目標の倍増、支援税制の確立等によるNPOにおける雇用の拡大、日本版SBIR(中小企業向けの研究開発助成制度)の創設や実効あるエンジェル(ベンチャー支援)税制の確立等で新雇用創出・新産業創造を図ります。失業者の全国延長給付(失業給付の対象者に一律90日の給付延長)の実施基準緩和などにより雇用不安を緩和します。政府系金融機関の貸付制度や信用保証制度の拡充等で貸し渋り対策を強化します。
○新型社会資本整備事業を実施し雇用創出
わが国の経済構造改革に対応できる新たな雇用を創出し、周辺支援対策を拡充・発展させることを目標に据え、緊急雇用創出措置と失業者のセーフティーネットの強化を実施します。
緊急雇用創出措置として、福祉、医療、教育、住宅、環境、情報通信といった分野の新型社会資本整備事業を実施し雇用創出を図ります。たとえば介護サービス分野では、新ゴールドプランの介護ヘルパー目標値の倍に増員するほか、ショートステイ施設・デイサービス施設の増築、バリアフリー住宅への増改築等に対する補助金を拡充し介護関連の雇用を創出します。教育・子育て支援分野では、保育サービスの拡充、30人学級実施等により保育要員と教員を増員します。環境保護と災害防止事業として、都市近隣の森林整備を行います。また、NPO支援税制を確立し、NPOにおける雇用を拡大します。
雇用の受け皿を広げるために新規事業が生まれやすい社会への転換をめざします。最低資本金の引き下げ等による会社設立要件の緩和や税制面での優遇措置を実施します。
○教育・訓練拡充と失業給付を延長
失業者対策は、職業能力の向上と就職までの生活支援に力を入れます。個々の求職者に対するきめ細かな職能評価、カウンセリングを強化し、職業能力教育・訓練プログラムを提供し、就職を支援します。公共職業安定所では、福祉・住宅・環境・情報通信関連の職業能力訓練コースを拡充するほか、民間校やNPOにも教育訓練を委託して需要に応じます。
有効求人倍率がとくに低い中高年齢者に対しては、公共職業安定所を通じた求職活動をしても就職できない場合に失業給付を90日間まで延長します。また、全国延長給付(失業給付の対象者に一律90日の給付延長)を実施する基準を緩和します。雇用保険への加入要件を緩和し、パートタイマーなどの加入できるようにします。自営業者や新卒の求職者についても、職業教育・訓練、就職活動の支援を拡充します。
雇用調整助成金が地域産業・工業団地グループでも適用されるよう運用を弾力化します。中高年齢の出向者を受け入れる事業者に一定期間賃金助成し、雇用を維持します。
通常国会では、労働者派遣法改正や職業安定法改正など労働市場法制の改正が審議されます。民主党は、雇用の不安定化や賃金・処遇の不公正が起こらないよう担保すること、労働者保護の確立をめざします。また、パートタイム労働者と正規雇用者との処遇・賃金面での均衡・均等を確保することを検討していきます。
金融システム改革
現在、我が国の金融システムは危機的な状況にあります。金融不安は、深刻な貸し渋りなどを引き起こし、経済を一層悪化させています。真の金融早期健全化のためには、経営者責任と倫理をより厳格にし、また国民に対する説明責任を明確にする民主党案に基づく法改正が不可欠です。
○護送船団行政と訣別
民主党が提案しすでに成立した金融再生法は、金融機関が破綻した場合のセーフティーネットともいうべきもので、預金者や健全な借り手を保護し、金融機関の破綻が金融システム全体に影響を及ぼすこと(システミックリスク)を回避するための枠組みです。この法律は政府のブリッジバンク法案よりも格段に優れていたことから、自民党もほぼ全面的に受け入れざるを得ませんでした。実際に、長銀と日債銀が破綻しましたが、金融再生法を適用することにより金融パニックを防ぐことができました。金融再生法に基づき新たに発足した金融再生委員会は、これまでの護送船団行政とは異なり、金融機関に対し厳しい自助努力を求めています。
○責任と倫理を厳格に
民主党は金融システムを再生させるためのもう1つの柱として、金融機関の自己資本を充実させるための早期健全化法案を提出しましたが、自民党などの党利党略で成立に至りませんでした。しかし、民主党の早期健全化法は、厳格な資産査定で金融機関の真の経営実態を明らかにし、存続可能な金融機関のみに公的資金を投入するものです。もちろん、経営者などの責任は厳しく追及し、モラルハザード(倫理欠如)の発生を防ぐとともに、なぜ公的資金を投入するのかなど、国民に対する説明責任はしっかりと果たします。自民党がつくった現行法は、そのあたりがあいまいであり、負担だけを国民に押しつけようとするものです。そのうえ、抜本的な金融不安の解消にはつながらないものであることから、どんどんムダなおカネが使われてしまいます。いいかげんな経営体質を改善しないで資金を投入するのは、まさに止血をせずに輸血をするようなものです。民主党案なら、問題を短期間で解決し、金融、さらには経済を立て直すことが可能です。
税制も抜本改革
金融・経済システムのグローバル化の本格的な進展と産業構造の変化、少子高齢化の急速な進行、社会構造の成熟など、わが国の経済社会をとりまく環境の変化を踏まえ、民主党は税制の抜本改革にも取組みます。
○税制改革の4つの柱
民主党は次のような観点から税制の抜本的な改革に取り組みます。
第一に、税制の国際的整合性を図るとともに、既存の特定業種・業態に対する優遇税制などを全面的に見直し、新産業・新規事業を活性化する税制を整備します。
第二に、資源配分急速な少子高齢化の進展の中で、高齢者福祉等の財源負担を従来のように現役世代の勤労所得・事業所得に依存することは、現役世代の負担を苛酷なものにし、経済活動の活力を削ぐ結果にもなりかねません。また、従来の所得課税は、各種控除制度や分離課税、優遇税制等によって課税ベースを浸食されているだけでなく、所得捕捉にも大きな不公平があります。民主党は、所得課税の課税ベースの拡大と税率引き下げを行うとともに、消費・資産課税の充実を図ることによって、勤労世帯の過重な負担を軽減し、公平な税制を実現します。
第三に、男女共同参画社会をめざす観点から、配偶者特別控除など女性の就労を抑制する中立性を欠く制度を見直し、男性も女性も一人の個人として自立して生きることを妨げない税制に改めます。
第四に、納税者から信頼される税制を構築するために、所得課税における納税者番号制度や消費税におけるインボイス制度を早急に導入して公平で透明な納税制度を確立するとともに、行政改革や地方分権の取組みの一環として収入庁を設置し、国・地方の徴税事務・社会保険料徴収事務の一本化を図ることを検討します。
○消費税を福祉目的税に改革
消費者から見て消費税に違和感が残るのは、_日本の消費税が欧州の付加価値税とは異なっていいかげんな「簡易課税制度」や「帳簿方式」を採用したり、非常に高い免税点を設けたために、制度の公平感・透明感を損なってしまっていること、_「福祉のため」といいながら、実際には何に使われているかわからないこと、などが原因なのではないでしょうか。
このような観点から、民主党は、_消費税のあり方について、「益税」「損税」などを生じないフェアな税制に改革するため、現在の帳簿方式に代えて欧州の付加価値税と同一の「インボイス」方式に改め、免税点も適切な水準に引き下げること、_消費税を福祉目的税に改め、その税収(約10兆円)のうち地方交付税分(約3兆円)を除いた残りをすべて基礎年金財源に充てること、を提案しています。消費税収を国民年金特別会計基礎年金勘定に繰り入れることにより、基礎年金の国庫負担率をただちに1/3から1/2に引き上げることが可能になり、その分保険料は月額約6,000円引き下げることができます(夫婦で国民年金加入の場合)。国民年金保険料は、収入に関係なく定額(現在1人月額13,300円)の、中低所得者に相対的に負担の重い逆進税の典型です。民主党は上記の通り1999年度からまず基礎年金国庫負担率を1/2に引き上げ、2004年には全額を消費税によってまかなう方式に改めることにより、長期的な年金財源の安定化と中低所得者層の負担軽減を図ります。
○減税対策は国の責任で実施
民主党は、緊急対策であっても構造改革につながる景気・雇用対策をと、地方税の基幹的な税である個人住民税の減税はすべきではないと訴えています。また、法人事業税は税率を引き下げ、その減収額の範囲内で道府県法人住民税均等割の引上げで増収を図ることとしています。法人事業税は都道府県の主要な財源で、その落込みが東京、神奈川、愛知、大阪などの財政危機の一つの要因です。自治体のサービスをすべての企業が受けている以上、利益のあるなしに関わらず一定の負担は必要であり、2000年度以降、段階的に法人事業税の外形標準課税への移行をめざします。
不況に強い街づくり
政府・自民党は、地方の地場産業を衰退させただけではなく、新産業創造の芽も摘み取り、地方経済を疲弊させてきました。民主党は、「ものづくり」などの地場産業を発展させること、地方が主役の新しいインフラ整備を推進すること、新産業創造や外国からの企業誘致を推進することによる三位一体の政策に取り組み、地方の中小企業を育成し、「不況に強い街」づくりを進めます。
○ものづくり基盤技術を振興、権限を地方に まず、民主党が提案した「ものづくり基盤技術振興基本法」を積極的に活用し、ものづくり基盤技術の研究開発、事業者と大学等の連携、熟練ものづくり労働者の養成確保と活用、ものづくり基盤産業の集積促進などに取り組み、_「産業空洞化」の阻止、_魅力ある「モノづくり」職場の創設、_熟練技術のバトンタッチ、_人づくりからの取り組みによる新しい「モノづくり」の実現を図ります。
地域産業の振興は、地域によって伝統的地場産業、地理的な条件があり、中央から画一的に押し付けるのではなく、各々の地域が創意工夫、判断を行なった方が効果が期待されます。地方の法人関係税、輸出入促進策、免税債発行、政策金融、外国企業の誘致など産業政策に関わる国の権限を地方自治体に全面的に委譲し、地域ごとに自治体が自由な産業政策を展開し、地元経済をリードする中小企業を大胆に育成できる体制を確立します。さらに地方が独自の経済圏を構築し、中央集権の枠組みに縛られずに、アジアをはじめとした近隣の経済圏と自由な取引、交易を行いボーダレス時代にふさわしいネットワークづくりを行えるよう環境を整備していきます。
産業・雇用の空洞化が進行している首都圏および近畿圏の既存産業集積地を再活性化するため、「首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律」および「近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律」による工場立地規制は廃止を念頭に規制緩和を進めていきます。
○起業家を全面バックアップ
情報化・国際化等に対応した企業を呼び込む新しい産業集積を促進するための環境整備を図ります。国だけでなく地方自治体による経済的規制の撤廃も大胆に進めていきます。とりわけ、外国からの留学生、企業、社員等が集まりやすい自由な風土をつくることにつとめ、新事業創造につながる法律や会計等の知的分野も含むインフラ整備、産学連携、投資家と起業家を結ぶ非営利組織の創設、資金調達面での環境整備、ハイテク中小企業を支援する本格的SBIR(中小企業向けの研究開発助成制度)の創設等に取り組んでいきます。さらに地方の学生、サラリーマン、主婦などの起業を支援し、国・地方一体の起業家セミナー開催、SOHO(在宅勤務など)支援等を進めていきます。
○商店街は消費生活のライフライン
今、地域の商店街は消費生活のライフラインであり、民主党は地域の創造的活動、伝統文化の保持にも重要な機能を分担している小売商業を育成します。中心市街地活性化対策の大幅な拡充、空き店舗・空き地対策の強力な推進、中小商業活性化基金事業の拡充、POS(コンピューターを活用した販売管理)・商店街カードシステム・バーチャルモール等の情報化及び物流効率化への支援強化、商店街周辺の駐車場・駐輪場整備の支援強化、商店街の行う一括受注・配送システム等の開発への支援強化、実効ある事業承継税制の確立をはじめとする商店街等の活性化対策の一層の強化に取り組んでいきます。
大店法に代わる「大規模小売店舗立地法」が成立し、2000年までに施行される予定です。この法律が街づくりに役立つものとなるよう、政府がまとめる指針策定に当たっては、学識経験者だけでなく地方自治体・経済諸団体・消費者・住民等の意見を聴取する機会を確保すること、国会の附帯決議が求めているように地域の街づくりに配慮すること、地域の実情を柔軟に反映できるものにすることを要求していきます。
一次産業の基盤整備
安心の食と美しい風土を守るために、一次産業の基盤整備に努めます。また農村、漁村の過疎・高齢化が進むなかで、担い手・後継者対策も我が国の重要課題となっています。民主党は意欲ある担い手・後継者に対する積極的な支援を行います。
○猫の目農政からの脱却
今日、わが国の農業は国際化の波による競争力の衰退、農漁村の過疎・高齢化やインフラ整備の遅れ、後継者不足などにより、著しく衰退しています。また、 先進各国の食料自給率がカロリーベースで軒並み70_80%から100%を超えるなかで、わが国はわずかに41%(平成9年度)に過ぎません。これは、戦後農政が食料安全保障の確保や地域社会の維持・発展という明確な哲学を持たず、「猫の目農政」という言葉に象徴的な場当たり的政策を、全国画一に展開してきたことに根本的な原因があります。
民主党は、主権国家にふさわしい食料自給率の向上を、これからの農政の基本に位置づけ、当面、自給率50%(カロリーベース)を目指します。そしてそのうえで、農業・農村のもつ多面的機能を重視する新たな農政を確立します。わが国農業・農村は、食料の供給のみならず、地域経済への寄与、国土・環境保全、豊かな自然環境や美しい景観など多くの公益的機能を有しています。このような機能を最大限生かすためには、これまでの画一的農政から地域の主体性を基本とする農政へと転換する必要があります。民主党は、食料自給率の向上と分権型農政を基本に、環境保全型農業の推進、山村地域の定住、安全な食料政策などを進める「新たな食料・農業・農村基本法」(仮称)の制定を図ります。
○価格政策から所得政策へ 農産物価格決定についてはできるだけ市場に委ね、農家経営安定対策としては価格政策から所得政策への転換を図ります。なお、直接所得補償制度については、平地農業、条件不利地域農業それぞれの実態に即した形での導入を図ります。特に、条件不利地域へのデカップリング制度の導入については、一定基準の地域を抱える自治体に対し交付金を交付し、具体的な使用内容および対象者については、原則的に自治体の判断に任せる方式とします。
市場原理に対応しうる大規模農業経営体の育成に向けて、農地流動化を積極的に進めます。また、農業生産法人の設立や中山間地における集落営農化を支援し、新たな担い手の創出を進めます。新規就農促進に向けては、就農準備から経営開始、農地や住宅の確保など体系的な就農支援対策を確立します。
○つくり育てる漁業
水産漁業政策については、「資源管理型漁業」や栽培漁業・養殖業といった「つくり育てる漁業」などの振興を通じて、海洋水産資源の保護・管理や海洋生態系の保全を図ります。批判の多い漁港整備事業については、その目的・基準の見直しを行い、整備の効率化を図るとともに、事業の予算配分を漁港整備から、遅れの目立つ漁村の生活基盤整備に重点を移します。
3.生活者を重視した各種政策・施策の実現
心のゆとり
子どもたちの豊かな個性を育むためには、まずなによりも一人ひとりの人格を尊重することからはじまります。また、不登校、いじめ、学級崩壊などの問題が学校の現場を覆っており、今ほど教育の危機が叫ばれている時はありません。民主党は一人一人の個性を育み、豊かな心を生み出す場所として学校の再生を目指します。
○子どもの権利尊重から
いじめ、体罰、虐待、買春などの人権侵害をなくし、子どもの人権を擁護するために、民主党は「子どもの権利条約」の具体化に努めるとともに、自治体の自主的な子どもオンブズパーソン制度導入等の動きを支援します。また、学校教育や生涯学習を通じた人権意識の普及に取り組みます。
さらに、児童買春や児童ポルノを禁止し、違反者を処罰する「子ども買春等の処罰等に関する法律案(仮称)」も準備中です。
○教育の地方分権
子どもたちの個性を生かす教育の実現に、また、少子化に備えた学校の再編に向けて教育の地方分権は不可欠です。教育行政に対する国の役割を根本的に見直し、横並び画一的な教育からの脱却を目指します。各学校、地域の特色を活かせるように環境を整備します。
地域との連携を密にした開かれた学校運営を行い、地域に根差した学校づくりを積極的に進めます。保護者・地域の学校参加を進め、その協力を得て学校運営が行われるようにします。
民主党は次代を担う子どもたちが成熟した市民、国際人として生きる力を育むため、大胆に教育改革を進めていきます。
○「受験地獄」からの解放 人生でもっとも重要な時期に強いられている「受験地獄」と称される入試制度や内申書をなくし、個性豊かなゆとりのある教育の実現を目指します。
既に「学校教育法」が一部改正され、‘99年4月より中高一貫教育に道が開かれます。しかし、この政府案は中高一貫教育の選択的導入であるため、全ての生徒にその機会が均等に保障されているものではなく、エリート校を育成するだけに終わりかねません。
民主党は、誰でも中高一貫教育を受けることができるよう学校の再編をはかります。第142通常国会で民主党が提出した「中高一貫教育の推進に関する法律案」(‘98年4月28日)では、中高一貫教育を専ら6年制の中等教育学校において実施し、中等教育学校を法施行後10年間で全国に設置することとしています。また、高校進学率は100%近くになっていますが、民主党案では公立の高等学校では授業料を徴収しないことも定めています。子育て支援手当の創設など、私学を含め父母の教育費の軽減を図っています。
○30人学級推進法案を提出 民主党は、少人数クラスを実現することにより、それぞれの個性を大切にしたゆきとどいた教育とゆとりある教育を一層充実させるために「小中高等学校等における30人学級の推進等に関する法律案(仮称)」を今通常国会で提出、成立に全力をあげています。 法案では、学級編制の標準や教職員の配置基準の改善に関する施策の推進について必要な事項を定めるとともに、「生きる力」や「個性」を育み、特色ある教育を展開できるよう教員の持ち時間の軽減措置などを含めて「教職員配置改善計画」の策定を定めています。
安心して生み育てられる社会に
今後我が国は本格的な少子高齢社会を迎えますが、民主党は、安心して子どもを産み育てられる社会の構築をめざします。そのために、国レベルでは社会システムを改革し、自治体レベルでは実情に即した支援策を実施していきます。
○仕事と子育ての両立支援
親が仕事と子育てを両立しやすい環境を整備していきます。共働きや多様な就労形態に対応できるよう、低年齢児保育、延長保育、一時保育、休日保育、学童保育の拡充など親のニーズに合致した保育サービスの充実やファミリーサポートセンターの増設、子育て相談の拡充など、支援体制を整備します。緊急保育対策5ヶ年事業は平成11年度で終了しますが、保育の質の向上を含め更なる拡充をはかり、エンゼルプランを充実します。
○育児休業給付の引き上げ
親が育児休業を取得する際に生活が安定するよう、休業中の所得保障を国の負担で現行の25%から60%に引き上げます。所得保障率を引き上げることにより、子どもをもつ女性の継続就労のインセンティブが上がることが期待されます。また、父親の育児休業取得が増え、子育てへの積極的関与も期待され男女共同参画社会の実現に寄与します。
○子育て支援手当法の創設
子どもたちは、親にとってはもちろん、社会にとっても宝であり、国や社会の支援が必要です。子育てに係る経済的負担を軽減し子育て中の家庭の生活を安定させるために、児童手当法を「子育て支援手当法」に改め、以下の通り拡充します。_児童手当て支給対象を現行の3歳未満の児童を養育する父母から18歳未満の子を扶養する親に拡大します。_所得制限額を現行の年収620.6万円から年収1,200.0万円(いずれもサラリーマン夫婦2人の場合)に引き上げます。_手当支給額を現行の「第2子まで1人5千円、第3子以降1人1万円」を2倍に引き上げ、「第2子まで1万円、第3子以降1人2万円」に引き上げます。_18歳以上23歳未満の子を扶養する親を対象に「子育て継続手当」を創設し、児童手当の所得制限、支給額に準ずる手当てを支給します。_児童手当拡充に伴い、所得税の扶養控除の対象を障害者及び年齢70歳以上の扶養親族に縮小(23歳以上70歳未満の扶養家族についても当分の間存続)します。
安心の老後
民主党は、ハンディを持つ人でも身近な地域で暮らせる社会を目指します。そのため、誰もが安心して生活できるような社会保障制度が必要です。ところが、現在の社会保障は年金、医療、福祉と縦割りの仕組みで、制度間でムダがあったり、逆に制度に谷間ができるなど全体の整合性がとれていません。民主党は、保健・医療・福祉を総合的にとらえるとともに年金と高齢者雇用の連携をはかるなど、社会保障をトータルに考え、少子高齢社会に対応した制度をつくります。
○介護保険制度は2000年度から実施
介護保険については、不十分な施行準備を理由に2000年度からの実施を延期せよとの声が一部にありますが、介護は待ったなしの課題で先送りは許されないと考えます。高齢者の実態調査やサービス需要推計などのデータに基づいた介護保険事業計画を住民参加のもとに策定するなど、地域住民のニーズにあった利用しやすい制度創設に向けて取り組むべきです。確かに、地方自治体では介護サービス基盤や財政運営、あるいは要介護認定業務などについて大きな不安を抱えています。民主党は、こうした課題への国や都道府県による強力なバックアップを急がせ、制度の円滑な施行をはかります。
○ポスト新ゴールドプランの策定
現在、介護サービス基盤の整備は新ゴールドプランに基づいて進められていますが、99年度で終了します。ところが、新ゴールドプランを完全達成したところで、サービス不足は否めません。とくにホームヘルパーなど在宅サービスや介護型共同住宅(グループホーム)の整備が必要です。民主党は、従来型公共事業を「未来への投資」となる新型社会資本整備に転換し、地域の介護ニーズに対応できるサービス基盤を整備します。例えば、新ゴールドプランの介護ヘルパー目標値17万人を34万人に倍増するほか、ショートステイ・デイサービス、訪問看護ステーションなども倍増する「ポスト新ゴールドプラン」を策定し、介護サービス基盤の整備を急ぎます。さらに、NPOへの積極的な支援も進め、介護サービスを質・量とも一層の充実をはかります
○基礎年金財源を全額国庫負担に
民主党は、公的年金制度に対する国民の不信・不満を解消するため、高齢化がピークに達する将来を見通し、給付と負担のバランスがとれた制度改革に取り組みます。制度の枠組みは、基礎年金と報酬比例年金の2階建てを将来とも維持します。基礎年金財源は、次の財政再計算期にあたる2004年度から全額国庫負担とし、消費税の目的税化をはかります。当面、来年度改正では現行1/3の国庫負担を1/2に引き上げ、保険料負担の軽減をはかります。政府・自民党は、国民年金(基礎年金)の空洞化問題をなおざりにして、基礎年金の国庫負担引き上げを避けています。これでは真の抜本改革にはなりません。民主党は、逆進性の高い定額保険料を納めていない人が全体の3割を超えている国民年金制度を立て直すには、基礎年金を税方式に転換すべきと考えます。
また、厚生年金の支給開始年齢を65歳に引き上げることは、現下の高齢者雇用が厳しい中では行わず、60歳からの特別支給を維持すべきです。
市民が主導する環境の保全
これまでの環境問題は、そのほとんどが国や地方自治体による規制によって、保全されてきました。しかし、国や地方自治体による規制だけでは、今の環境問題には対応できなくなってきています。たとえば、ダイオキシンや環境ホルモンの問題などは、ライフスタイルそのものを変えなければ、その根本的な解決を図ることはできません。ゴミを出さないことが、本当の環境対策であることは言うまでもありません。一人ひとりが環境問題を自覚し、進んで環境問題の解決に向けて行動することが大切です。そのためにも、市民一人ひとりが幅広い情報を手に入れることができ、その情報から何らかの行動を起こし、社会を変えることができる制度が必要です。情報公開を徹底し、市民活動が円滑に行われるようNPO団体への税制優遇措置の早期導入を目指します。
○ダイオキシンなどの化学物質対策で法案提出
ダイオキシンや環境ホルモンなどの化学物質による被害を最小限に食い止めるためにも、緊急対策が重要となります。民主党は、「ダイオキシン類汚染対策緊急措置法案」ならびに「廃棄物処理法改正案」を提案しました。ダイオキシン類汚染対策緊急措置法案の内容は、ダイオキシン類についての摂取をできるかぎり低減させるための目標を定め、その目標を達成するための大気・水・土壌の環境基準を定めるとともに、都道府県知事が汚染状況調査を行い、汚染地域の対策を進めることとしています。そして、その法案の中で住民参加や情報公開を徹底しています。また、廃棄物処理法改正案の内容は、廃棄物焼却施設の許可対象範囲を拡大するとともに、排気ガス中の濃度基準を強化し、野焼きについては警察が取締を行うようにするなど、市民の意見を十分に採り入れた内容となっています。民主党は、国民の方々が安心して生活できるよう、この法案の成立に全力を尽くします。
○環境教育基本法制定へ
環境問題は一人ひとりのライフスタイルと密接に結びついています。自然や環境に対する理解だけではなく、自然や社会と自分自身との関わり合いを理解し、それをより適切なものへと変革すること、他者を慈しむこころ、自然に対する豊かな感受性を育むことが大切です。そのためには、環境に対する教育が、生涯を通じて有効になされなければなりません。環境教育は、総合的な議論や社会への参加、実体験などが重要な要素であり、従来の学校教育の枠を超えた取組が必要となります。そこで、国や地方自治体の役割を明確化し、環境教育プログラムの開発や環境保全を推進し、地域やNGOと一体となった教育システムをつくるために、環境教育基本法の制定を目指します。
○循環型の経済システムの構築
循環型の経済システムについては、廃棄物・リサイクル対策の基本的な考え方である、(1)使わない、(2)発生抑制、(3)再使用、(4)原材料としてリサイクル、(5)熱源として利用、(6)廃棄物として適正処理、という優先順位を明確化した上で、製品の製造段階でのアセスメントを義務づけ、製品の製造から最終処分に至るまで環境配慮を優先する循環法制を、ドイツの循環経済法をモデルとして整備します。
○循環と共生のまちづくり
循環と共生をひとりひとりの市民が実践するためにも、それぞれの地域においてこれらの思想が活かされるような制度をつくります。地域の歴史的な景観や環境が保全され、その地域の特性に応じて環境と調和した循環型のまちづくりを推進します。そのために、情報公開と住民参加を徹底した、地方分権型のまちづくりのシステムを推進します。
社会資本整備としての公共事業についても、環境アセスメントの導入により、一層の環境配慮がなされるようになってきましたが、従来行われた公共事業についても、環境にどれだけの負荷を与えているのかについて検討を行い、環境復元措置等の対策を施すほか、環境再生のための公共事業を積極的に行い、循環と共生のための社会資本整備を国としても推進するとともに、環境負荷の大きい公共事業の見直しや中止を徹底させます。
○森林を守ることは国際的責務
現在、世界の森林は急速な勢いで消滅しつつありますが、熱帯材などの世界最大の輸入国は日本であり、わが国の輸入材依存体質からの脱却と国内の森林を守ることは国際的責務といえます。そのため、材価の低迷や担い手不足に悩む民間林業事業体への支援策を確立し、中山間地域農業対策との一体的な取り組みを進めます。また、天然林や保安林の保全管理も重要な課題であり、その取組みを拡充します。
安らぎの暮らしは住まいから
都市の問題は長らく国民を苦しめてきたにも関わらず、自民党政権はこの問題を正面から取り上げることなく、常に置き去りにしてきました。その結果都市部の住民は狭い住宅に住み、長く過酷な通勤ラッシュに耐えてきたのです。民主党はこの問題に積極的に取り組み、都心部に適切な広さのある住宅を供給することによって、空間的にも時間的にもゆとりある生活を実現していきます。また、高齢者や身体障害者の方々が暮らしやすいバリアフリーの住宅整備を進めます。
○都市部にもゆとりの住まいを
バブルの崩壊によって、都心部に十分に活用されていない土地が多く存在します。また行政機関の職員が住む官舎や公営住宅などでも昭和30年代に建設され、現在老朽化しているものが多くありますが、これらは階数が低く高度利用の余地が十分にあります。民主党ではこれらの遊休地或いは低未利用地を活用して、都心部に適切な広さを持つ住宅を大量に供給することを検討しています。こうして都心部に良好な住宅を提供することによって、都心ににぎわいを取り戻すことが必要だと考えています。同時にこの住宅の提供と併せて、公園や福祉施設、ゆとりのある歩道なども整備し、現在のとても良好とは言えない都心部の住環境を飛躍的に改善することも必要だと考えています。
住宅価格が著しく高いことも、わが国の住宅政策が抱える大きな問題です。とりわけ大都市圏では年収に占める住宅費(価格、家賃)が大きく、豊かな生活をおくるうえでの大きな障害となっています。民主党は、公的住宅の適正な家賃設定や建設コスト低減に向けた技術開発の促進などにより住宅取得の拡大を図ります。併せて、住宅関係税制の一層の軽減措置等を進めます。
○高齢者・障害者にやさしい住宅
高齢者・障害者住宅政策も重要な課題です。昭和40年代から都市部において建設が進められた大規模ニュータウンは、エレベーターのない階段室タイプの集合住宅方式が多いため、居住者が逐次高齢化を迎えた今日ではお年寄りや障害者にとって非常に住みにくいものとなっています。また、民間の借家にひとり暮らしのお年寄りも増加しています。しかし民間借家は高齢者に配慮した構造や設備が著しく遅れており、一人暮らしのお年寄りにとっては非常に厳しい住宅環境と言わざるをえません。民主党は、高齢者・障害者向け住宅の増築・建替えを進めるとともに、民間借家の高齢者・障害者向けリフォームの推進や家賃補助制度の充実を図ります。
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