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2006/08/04
イラク特措法基本計画の変更の閣議決定を受けて(談話)
民主党『次の内閣』ネクスト外務大臣
 浅尾 慶一郎
民主党『次の内閣』ネクスト防衛庁長官 
 長島 昭久


 本日、政府は、イラク特措法基本計画の変更を閣議決定した。陸上自衛隊の撤退を受けて、航空自衛隊の空輸部隊がイラク支援の前面に立つことになるが、ようやく陸上自衛隊のイラクからの安全な撤退が実現できた後だけに、活動範囲を拡大する航空自衛隊派遣部隊の安全に対する深い憂慮を禁じえない。

 航空自衛隊はこれまでも、復興支援活動とともに安全確保支援活動として、多国籍軍の物資や人員の輸送を任務とすると説明されてきたが、その活動の実態は不明確なまま国会でも十分な説明責任は果たされてこなかった。しかも、数ヶ月遅れで正式政府が発足したとはいえ、イラク国内は、依然として宗派対立やテロ等の続発によりさらに不安定な治安情勢となっている。これまでも、小泉首相の「自衛隊が行くところが非戦闘地帯」といった無責任で現実離れした状況判断が、現場で活動する自衛官に過大な負荷をかけてきた経緯があるが、今回の決定は、「スンニ・トライアングル」と呼ばれる特に混乱を極めている地域をその活動範囲に含んでおり、深刻な懸念を抱かざるを得ない。

 また、国連の要請に基づく活動という説明もなされたが、自衛隊部隊の活動範囲や任務につき国連の代表部と自衛隊との間で連携や協議を行っている形跡はなく、結局、多国籍軍の指揮命令の下で活動することに変りはないと考えざるを得ない。民主党は、これまで一貫してイラク戦争に反対し、大義の疑わしい自衛隊イラク派遣の停止を求め、改めて国連中心の国際的に広範な枠組みの下でイラク政府を直接支援できる体制づくりを促してきた。海外協力に関する恒久法策定の議論も先送りする中で、特措法の延長という法の趣旨を歪める政府の姿勢を厳しく正さねばならない。

 今後のイラクへの人道復興支援は、わが国にふさわしい「人間の安全保障」の視点に立って、自衛隊のみならず、NGOや企業などの「民」と連携して切れ間なく継続していくことを念頭に、できるだけ正確な安全情報を踏まえて、慎重に実施していくべきである。


以 上
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