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2006/08/06
菅代表代行、広島訴訟・原告団団長、日本被団協代表者と意見交換
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 菅直人代表代行は6日、広島市で行われた平和記念式典閉会後に、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、原爆症認定集団訴訟全国弁護団の代表者と平和記念公園近くのホテルで意見交換した。地元広島選出の松本大輔衆議院議員が同席した。

 菅代表代行は冒頭、党としても原爆症認定制度の改善に向けて積極的に取り組んでいく考えを表明。続いて日本被団協の田中事務局長が、日本原水爆被害者団体協議会、原爆症認定集団訴訟全国弁護団、原爆症認定訴訟を支援する全国ネットワークの3団体連名の「原爆症認定制度の改善に関する要請書」を菅代表代行に手渡した。

 要請書では、原爆症認定申請に対する厚生労働相の却下処分取り消しを求めて、全国14地裁に提訴され係争中の「原爆症認定集団訴訟」で、広島の被爆者41人の処分取り消し要求に対して、広島地方裁判所が4日、「原告全員について却下処分を取り消す」つまり、全員を原爆症と認定するとの判決を下したことを記載。また、5月12日には9人の被爆者原告に対して、大阪地方裁判所でも「原爆症と認定する」との判決が言い渡されたことに言及。ふたつの判決は、「疾病・障害認定審査会原爆被害者医療分科会」が用いている原爆症認定にあたっての審査方針では、被害の現実に即さないことを指摘したものであり、原爆被爆の実態に即した新たな認定制度が必要であることが浮き彫りになり、要請書ではその必要性も改めて明記した。

 そのうえで、菅代表代行に対して、広島地裁判決については国が控訴しないこと、大阪地方判決については控訴を取り下げるよう尽力してほしいと要請した。菅代表代行は、広島訴訟・広島原告団団長の重住さんの体験から、自宅は爆心地から600キロのところにあったが被爆したのは爆心地から2キロ以上離れた学校であったため、すぐ自宅に戻り両親を探すなかで被爆したことは明らかであるにも関わらず、「立証するものがない」として認定されない実態を前に、認定制度改善の必要性を改めて痛感した。原爆投下後に被爆地に入った「入市被爆者」や、爆心地から2キロ以上離れて被爆した「遠距離被爆者」を含む認定の必要性を指摘した。

 控訴取り下げに向けて政府に働きかけて行くとともに、閉会中審査を求め、この問題を掘り下げて行く考えを菅代表代行は示した。意見交換後にはハンセン病訴訟のときと同様に小泉流のサプライズを期待したいとも語り、小泉首相の有終の美として、首相のリーダーシップのもとで控訴取り下げに動いて欲しいとした。

 要請書では他に、「厚生労働大臣が現行原爆症認定制度を抜本的に改め、次の項目を制度化するよう働きかけてほしい」として、(1)被爆者全員に健康管理手帳を支給する(2)被爆者が、政令で定める負傷または疾病にかかった場合には、当該疾病に対する医療を給付し、かつ健康管理手当に疾病手当を加算する。ただし、負傷または疾病の原因が原子爆弾の傷害作用の影響によるものでない場合は除く(3)被爆者が、政令で定めのない負傷または疾病で、放射線に起因する負傷または疾病に罹患した場合には、被爆者援護審査会の議を経て、医療を給付し、かつ健康管理手当に疾病手当てを加算する(4)上記疾病が治癒したものは、医療費を支給し、手当ての加算分を一部減額するーーとの4項目を提示。あわせて、厚生労働大臣が日本被団協、原告、弁護団との話し合いに応じるよう力添えして欲しいとに求め、菅代表代行は前向きに取り組む姿勢を示した。

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