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2000/01/16
「新しい政府」を実現するために/PART II
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新しい経済社会はこうすれば構築できる

  

規律ある自由主義、言動を伴う自己責任、将来性ある産業の支援 
 
Point-1 財政構造の改革なくして経済の活性化はない 
Point-2 「従来型公共投資」から「新世紀先取り型公共投資」で飛躍を 
Point-3 ベンチャー企業を育てる政策が経済の閉塞を打ち破る 
Point-4 労働者が新たな能力開発ができる強力なサポート・システムを 
Point-5 自己責任原則を市場に浸透させて自立成長型の経済を確立する 
 
1.自由な市場機能を活かし、規制や介入は減らします。
 
  
 民主党は、市場原理を信頼し、自由な貿易・自由な市場経済を支持します。経済における政府の役割は、「公正な競争の促進と市場ルールの監視」「経済システムのセイフティネットの整備」「失業や不公平な格差の拡大など行き過ぎた市場主義による社会的歪みの是正」にとどめるべきだと考えています。官僚の手による調整よりも、消費者の総意に基づく市場の調整に委ねる方がうまくいくと信じるからです。 
 
 過剰な規制や政府の市場介入は、市場の機能を阻害し経済の活力を低下させるものです。経済活動に対する規制は、環境保護や最低賃金など社会的要請に基づく合理的な規制に限定し、可能な限り撤廃します。そして、市場の機能を高めて民間の活力と企業家のやる気を引き出す経済構造の改革を早急に推進していきます。 
 
 民主党は、「インフレなき持続的成長」と「新しい完全雇用」の実現をめざしています。日本経済はいま二%から二・五%程度の潜在成長率を実現できずにいますが、民主党は、「景気の回復なくして財政の再建はない」と同時に、「財政の構造改革なくして経済の再生はあり得ない」と考えます。経済構造の改革と中長期的な財政構造の改革を同時並行で進めるべきです。特に、公共事業費配分の重点化など予算の無駄遣いをなくす歳出構造の改革に直ちに取り組み、財政健全化の道を確実なものにします。また、将来への不安を解消して消費マインドの向上をはかる一方、従来型公共事業を上回る雇用拡大効果が期待できる環境・福祉など、新しい公共事業に優先配分していきます。 
 
 失業率が過去最高を記録する中で、労働市場の柔軟性を高めるための諸制度の改革が急務となっています。「新しい雇用機会を創出する新産業の育成」や「人材の円滑な移動を可能にする労働市場の整備」「人材の移動を阻んでいる社会保険制度の改革」などを急ぐことが、経済構造改革を成功させる道だと考えます。 
 民主党は、「パートや派遣労働など多様な雇用形態の人々も対等な処遇が受けられること」「性別や年齢によって差別されることのない公正な労働市場が確保されていること」「介護や子育てで休業をした人たちがキャリア形成においても不利益にならないこと」「転職しても『やり直しがきく』社会であること」などを含め、すべての働く意欲のある人たちに多様な雇用機会が保障されている社会の実現をめざします。まさに、成熟社会にふさわしい「新しい完全雇用」体制の構築です。 
   


2.経済が自立成長していくようにバックアップします。
 
  
 民間の創意工夫や地方の活力が最大限に発揮されるのが、「自立成長型の経済」です。日本経済を「自立成長型の経済」への軌道に乗せていくためには、特定の企業活動に対して行政指導による補助や支援はしてはなりません。市場における自己責任原則を確立することが何よりも重要だからです。しかし、自民党中心の政権は、財政規律を失わせて巨大なモラル・ハザードをもたらしつつあります。しかも、産業競争力会議の場合に見られるように、所管省庁による行政指導方式を復活させるなど、まさに時代に逆行する手法も採り始めています。これでは、公正な市場ルールの下で、「自立成長型の経済」の確立を期待することはできません。 
  
 昨今の景気動向を見ると、巨額の財政資金の投入によって景気の底支えは見られるものの、多くの国民に景気回復の実感はなく、民間設備投資や個人消費は伸び悩んでいます。従来型の公共事業を中心とするバラマキ型の景気対策では、本格的な経済の再生は望めなくなってきています。民主党は、当面の景気回復に向け、従来型公共事業から将来を見すえた新しい公共投資へのシフトが必要であり、とりわけ、IT革命(情報通信革命)に対応するデジタル経済の道を加速的に推進していく戦略的経済政策の展開が求められていると考えています。 
 
 また、社会保障制度の充実によって過剰貯蓄を解消し、消費を活発化させることが不可欠です。年金や医療保険に対する将来不安や不十分な福祉サービスに対する不信が、将来への不安を増大させて過剰な貯蓄を生み出しており、これでは、消費の活性化は望めません。景気低迷の要因ともなっている消費の落ち込みを解消し、安心できる国民生活を確立するためにも、社会保障制度の充実を急ぐ必要があります。民主党はまた、これからの公共投資についても、財源配分の思い切った見直しを行い、国民の将来不安を解消する社会保障分野へ優先的に取り組んでいきます。 
 
 それと同時に、自立成長型経済の確立に向けて、規制改革や公正な競争促進などによる市場基盤の確立とIT革命に対応するデジタル経済化の促進、中小企業のやる気支援と思い切った起業家支援、金融システムの安定化と資本市場の整備、労働市場の改革と「新しい完全雇用」体制への移行が不可欠であり、かつ、持続可能な経済を支える規律ある財政運営の実現が必要です。民主党は、この五つの課題を着実に実行しつつ、新しい自立成長軌道への道を推し進めていきます。 
  
 
1.経済の活性化を戦略的にはかるために

 
 すべての経済的規制を時限性とします。そして、もしそれを延長する場合は、その理由を行政が明らかにする責任を義務づける「規制サンセット法」を制定します。社会的規制に関しては、基準を明確化し透明化を進めます。 
 IT革命に対応するデジタル経済化を加速的に促進するため、電気通信分野でのより一層の規制緩和を戦略的に実施します。とりわけ、従来型公共事業に代わって、これからの成長が望める情報通信、バイオ、環境、福祉、教育文化などの分野で、民間投資を誘発するための戦略的規制改革を優先的に実施します。 
 
2.透明で公正な競争を促進するために
 
 
 自由な経済活動を保障する大前提として、公正な取引ルールや時価評価による企業会計基準を確立し、透明性の確保を促します。あいまいで不透明な商慣行や不公正取引を是正し、「独占禁止法」の実効性を促進するために、公正取引委員会事務局の調査部門を質量ともに倍増させます。 
 また経営情報の開示に関して、違法行為に対する処罰を強化し、そのチェック体制を確立します。公認会計士制度の改革によって、会計監査を実効あるものとするとともに、検察庁の特別捜査部と警察の経済犯罪捜査部門を抜本的に強化して、違法行為を見逃さない体制をつくります。 
 
3.知的財産権を保護するために
 
 
 知的財産権政策を産業競争力強化の重要な政策手段として位置づけ、首相直属で知的財産権政策を立案する知的財産権・科学技術担当の首相補佐官を設置します。また、特許裁判所の新設や弁理士の裁判権限の拡充、高い専門性を有する裁判官及び裁判所調査官の育成増員に加え、裁判所と特許庁との情報交換制度の整備、人的交流など、アメリカのヤング・レポートに匹敵する特許戦略を構築し、実行します。 
 
4.街に元気を生む中小企業のために
 
 
 後継者を育成するために、未上場株式の評価改善などによって中小企業継承税制を確立します。また、中小企業に対する同族会社への留保金課税を撤廃します。貸付に関しては、技術・特許評価による融資拡大や、無担保・無保証貸付を充実させることなどによって政府系金融機関の貸付制度を強化します。そして、中小企業の円滑な社債発行に資する市場整備につとめます。 
 企業発掘・支援コーディネーターを質量ともに充実させ、中小企業の発展を支援します。中小企業関連法を統合し、政策体系を簡素化して各施策の窓口を一本化します。また、ものづくりの殿堂となる「技術・技能院」を創設し、技術者・技能者の社会的地位の向上をはかります。そして、ものづくりを情報通信技術と結びつけて振興し、中小企業の競争力を高めます。 
 街の活性化に関しては、共同事務所の開設等を支援し、商店街の空き店舗や空き地の活性化をはかります。一階を商店街、二階以上を高齢者向けケア付き公的賃貸住宅とする「シルバーハウジング」建設を促進します。ミニバスなど、中心市街地・商店街の利便性を高める交通システムを導入します。 
 

5.起業家のやる気を引き出すために
 
 
 起業家を育成し、新規産業を開拓して、雇用機会を創出することが、これからの日本経済にとって不可欠です。しかし、日本経済の現状は、廃業率が開業率を上回り、法人の減少傾向が続いています。やる気のある国民にビジネスチャンスを与え、容易に新規事業を起こすことのできる環境をつくることこそが、政治に課せられた喫緊の課題だと考えます。とりわけ、インターネット時代に対応して、多様な情報関連産業やスモールビジネスのチャンスが広がっています。これらの新規事業を支援することによって、「護送船団型経済社会」から「自律成長型経済社会」へと大転換させていきます。 
 この転換に際して、民主党は、五年程度で起業家倍増を実現し、わが国の開業率を三・七%から七%に、毎年の新規設立登記数を一一万弱から二〇万件に、そして新規事業による雇用を四〇〇万人創出することを目標に取り組んでいきます。 
 
 (a)税制・金融改革で起業家のやる気を刺激する  
 
 上場基準の緩和や店頭登録市場の整備、社債登録のコンピュータ化などによって資本市場を整備し、ベンチャー企業の資金調達方法を多様にします。大胆な成功報酬を可能にするためのストックオプション上限額(現行一〇〇〇万円)の撤廃、連結納税制度の導入、エンジェル税制の拡充など、新規事業が生まれやすい証券市場・税制を確立します。またスモール・ビジネスなどの起業を促進するため、会社設立要件の緩和などを推進します。 
 資本金規模にかかわらず、企業の創業時三年間は、法人税を免除する措置を導入します。ただし、実質的に同一法人と見なせる企業については、営業期間を通算する制度を創設して、悪質な脱税を防止します。 
  
 (b)ベンチャー企業やNPOへ技術支援を行う  
 
 商業化の可能性を秘めながら開発リスクの高い優れたプロジェクトの事業化を支援し、ベンチャー企業の育成をはかります。このことを目的とした「中小企業技術革新制度(日本版SBIR)」を、アメリカのような実験段階から商品化まで段階を追ってサポートする多段階支援制度に改めます。また、「医薬・医療・福祉関連」「人材・学習・企業支援関連」「情報通信分野」「ものづくり分野」「ニューライフ関連分野」「バイオ・環境関連分野」という新規事業=ベンチャー関連六分野に、NPOセクターの一分野をプラスし、それらの技術開発を重点的に支援します。 
  
 (c)起業家を育成する教育制度を導入する  
 
 大学などにビジネススクールの創設を推進します。国立大学の教員が、NPOなどの役員になれるよう、規制緩和を行います。また、大学がベンチャー企業誕生の拠点になるよう、産学協同研究を推進します。特に、初等教育段階から起業家教育を推進し、企業での実習を単位として認定するようなインターンシップ制度の充実を行います。さらに、大学に「ベンチャーインキュベーター(創造的新企業の孵化センター)」を創設し、アイデアを審査機構に提出して審査をパスした創業意欲のある人が、インキュベーターの中に無料で事務所兼実験室を持つことができる仕組みを創設します。  
 
 (d)女性の起業家を育成・支援する  
 
 金融機関が融資するにあたり、性別だけで差別をしないよう環境を整備します。特に、政府系金融機関の貸付制度、信用・債務保証制度などについて、女性を対象とした特別制度の創設や窓口開設などを進めます。また、政府調達の一定比率を女性起業家に振り向ける仕組みを創設するとともに、各省庁に女性起業家の担当者を必ず一人は配置するものとします。SOHOによる起業をめざす女性を重点的に支援するセンター機能の整備を促進します。 
  
 (e)職業教育訓練の充実をはかる  
 
 勤労者の中から起業家が育つよう、体系的な訓練や動機づけが行われるような職業教育訓練を行います。また、雇用保険被保険者である求職者に対する職業能力教育・訓練を強化し、求職者のやる気を刺激することによって、起業家への道を広げます。  
 
 (f)起業家が再起できる「セカンドチャンス」を確保する  
 
 会社更生を簡易なものとし、起業家の再起を促します。そのために労働債権の十分な確保を前提に、簡易な倒産処理手続きを株式会社以外の法人にも広く適用されるようにします。債務者保護や破産手続きの負担軽減などに関する法律を整備します。また、雇用保険制度の拡充、年金のポータブル化などに取り組み、起業した際のリスクを少なくするためのセイフティネットを確立します。 
  
 (g)規制改革、地方分権によって新産業を育成する  
 
 経済的規制は原則撤廃し、ベンチャー企業の新規参入を容易にします。地方法人諸税、政策金融、外国企業誘致などの産業政策は地方自治体に全面委譲し、地方経済をリードする中小企業を育成する体制を確立します。 
 
    

3.金融システムを安定させ、市場機能を強化します。
 
  
 民主党は、財政と金融を完全に分離することで裁量行政と決別します。そして、透明な市場監視ルールに基づく公正な金融行政を確立します。金融は、「市場参加者の自己責任」と「市場原理に基づく競争」を原則とし、市場に関する情報の適時適切な開示の推進を基本とします。「金融再生関係法」に基づき不良債権の適切な処理を推進し、健全な金融機関の信用創造力の再生と金融システムの安定化をはかります。 
 金融政策は、物価水準と為替相場の安定を最優先に、日本銀行の独立した判断で行われるよう、日本銀行の独立性を強化します。 
 民主党はまた、日本の金融システムは、これまでの間接金融中心のものから直接金融のウェートをより高めたものへとシフトしていくことが趨勢であるととらえ、政府としてもそのための制度的基盤を早急に整備していくことが重要だと考えています。特に、投資家に有利な運用の機会を確保すると同時に、新規産業への資金供給を円滑にするために、中小ベンチャー企業向けの新しい資本市場や債券市場の創設をめざします。また、二〇〇一年四月からのペイオフの実施に備えて、モラル・ハザードを拡大しない預金保護のルールを確立します。 
 金融機関の国際競争力を強化するため金融業界別の垣根をなくして、金融関係法制を業界別縦割りの法制から「金融サービス法」を中心とする統一がとれた法体系に一新します。 
  
1.金融失政を繰り返さないために
 
 
 財政当局の要求によって金融政策がねじまげられたバブルの失敗を繰り返さないために、財政と金融を完全に分離します。そのため「財務省設置法」を改正し、金融行政を財務省(二〇〇一年一月までは大蔵省)から完全に分離して新設の金融庁に一元化します。金融庁長官は専任の国務大臣とします。外国の金融検査の専門家や公認会計士などを新規に採用するなど金融検査官を増員して、金融検査体制を充実させます。 
 マクロ経済政策の調整のため、内閣総理大臣を座長とし、日銀総裁、大蔵大臣(財務省大臣)などで構成する「財政・金融懇談会」を定期的に開催します。 
 
2.公正な金融経営ルールの整備と監視のために
 
 
 国際標準である「時価評価基準による経営情報開示の義務」化により、金融機関のディスクロージャーを推進します。自己資本比率の算定にあたっては、不良債権の算定根拠の明示を義務づけます。金融庁に会計監査部(仮称)を新設し、会計監査法人や公認会計士が行う会計監査のチェックを強化します。公認会計士を大幅に増やすとともに、会計士業務の厳格な運用を求めて、粉飾決算について故意の不正行為があった場合は公認会計士の登録を抹消するほか、不正行為が組織的に行われた場合は会計監査法人に対して業務停止を命じます。 
 
3.中小ベンチャー企業を支援する金融システム構築のために
 
 
 中小ベンチャー企業向けの新しい資本市場や債権市場の創設を、規制緩和や税制、財政の面から強力に推進します。特に、新市場の創設に合わせて、電子商取引の普及を促進するために、店頭の対面取引を前提とした現行の「証券取引法」などを速やかに改正します。 
 

4.預金保険、生命保険・損害保険の資金的安全を確保するために
 
 
 二〇〇一年四月のペイオフ実施に向けて、安易な債権放棄など金融機関のモラル・ハザードを拡大しない形で破綻処理の方法を多様化し、預金保険のセイフティネットを拡充することで金融システムを安定化させます。 
 生保・損保会社の株式会社化を推進し、保険支払い能力を示すソルベンシー・マージン比率基準を達成できない生保・損保会社に対しては早期是正措置を講じます。また、会社の破綻に伴う経営責任・契約者(相互会社においては社員)責任を明確化したうえで、保険のセイフティネットを強化します。 
 

5.激化する金融競争から投資家を保護するために
 
 
 金融ビッグバンに伴う業界の相互乗り入れ、競争の激化、商品の複雑化に対応し、金融サービスに関するトラブル・被害から投資家を保護するため、業種ごとに分けられてきた法律を総合化、強化した「金融サービス法」を制定します。この法律には、「商品に関する情報開示」「わかりやすい説明の義務化」「顧客の投資経験、理解力、資金に適合しない投資商品の勧誘の禁止」「契約の書面化と交付の義務化」「長期契約のクーリングオフ制度」などの内容を盛り込みます。 
 

6.地域経済を活性化させる金融システム構築のために
 
 
 米国の「地域再投資法」にならって、総貸出に占める地域企業向け融資比率(地域再投資比率)の公表を義務づけるなど、地域経済の振興に地域金融機関が公的な責任を果たすように促す「地域再投資法」を制定します。特に、公的資金による資本注入を受けた地域金融機関に対しては、一定の地域再投資比率の遵守を義務づけます。   
 
 
4.「新しい完全雇用」社会に向け、労働市場を開拓します。
 
  
 民主党は、雇用の安定は国の責務であると考えています。この考えに立ち、働く意欲のあるすべての人々に雇用機会を保障することを目標とする「新しい完全雇用」社会の実現につとめます。このため、産業構造の変化に対応してタイムラグなく雇用の創出と人材の移動が連動できるように、労働市場の構造を改革する施策を強力に推進します。また、一度失業した人が再起を期して挑戦できる「セカンドチャンスのある社会」を実現します。また、中高年に対する雇用機会の門戸が広い社会を築きます。労働移動の障害となっている企業年金や社内融資などについては、大胆に制度改革を推進します。 
 企業に対しては、安易な雇用調整を厳しく監視するとともに、離職者の再就職までを企業の社会的責任として義務づけます。さらに、民間事業者による再就職支援業、職業能力開発業の育成を積極的に進め、勤労者の自立と職業能力の開発を多方面からバックアップします。同時に、情報通信、バイオ、環境、福祉、教育文化などこれからの成長が望める分野で新たな事業を育成し、就業機会の創造に挑みます。 
  
1.年齢に関係なく雇用される社会のために
 
 
 中高年や若年者の雇用機会を確保し、「セカンドチャンスのある社会」を実現する突破口として、採用募集などにおいて年齢を理由にした差別を禁止します。そのため、雇用における「年齢差別禁止法」を制定します。 
 また、公務員や教員などの公的部門や各種の国家資格を必要とする職業の採用の門戸を中高年にも開放します。このため、一般職の国家公務員の採用資格試験、教員免許試験など各種資格試験の受験年齢の上限を定年年齢直前まで引き上げます。 
 
2.リストラから働く者を保護するために
 
 
 企業の営業譲渡、合併、分割などの経営形態変更が多くなっており、そうした状況での安易な人員削減や労働条件の引き下げが懸念されています。こういった懸念を解消するため、企業組織の変更を理由とした解雇の禁止や労働契約の継承、労働者代表との事前協議等を定めた「企業組織変更に伴う労働者保護法」を制定します。 
 
3.再就職支援ビジネスの自由化と育成のために
 
 
 中高年ホワイトカラー層の雇用問題に対応するため、「職業安定法」を改正し、再就職支援ビジネスを自由化します。国は、融資制度、税制優遇措置などを講ずるとともに、悪質な事業者の監視と排除を厳格に行います。また、公共職業訓練施設の民間への貸し出しなど、民間事業者がノウハウを蓄積できる環境を整えます。二十四時間サービスやインターネットによるサービスなど、公共職業安定所の情報提供サービス体制の充実に取り組みます。 
 企業が雇用していた労働者をやむなく解雇する場合、離転職者の再就職まで企業の社会的責任を果たすよう求めます。そのため、再就職支援事業についてのカウンセリングとコンサルティングを組み込んだきめ細かい対応内容を企業に義務づけます。ただし、企業の責任において再就職支援ビジネスに委託できるものとします。 
 中高年層に対する求人拡大のため、当面、現行制度を抜本的に拡大した「中高年人材移動助成金」を創設し、四十五歳以上の勤労者を受け入れる企業に助成します。若年層には、適職探しや職業的支援のため、学校での職業能力カリキュラムの充実やインターン制度の導入をはかります。 
 
4.職業能力の開発を促進するために
 
 
 「失業なき労働移動」を促進するために、現行の雇用調整助成金制度に替えて、再就職をめざす勤労者に対して、職業能力開発に関しての助成金は大幅に拡充します。現行の教育訓練給付制度の適用対象に、専修学校や大学、大学院のコースも入れ、より専門的な能力開発を選択肢に加え、原則自由選択方式とします。また助成限度引き上げや助成要件の緩和を実施します。 
 企業に対しては、在職中の職業能力訓練のための企業内制度(費用負担、長期休暇制度)を義務づけます。現状平均六カ月程度の訓練期間を一年程度まで延長し、その間、「訓練延長給付」を支給します。雇用保険の対象にならない人にも、一定条件下で「職業訓練手当」を支給します。 
 
5.安心して転職ができる社会をつくるために
 
 
 労働移動が、不安定な雇用や著しい労働条件の低下を招かないようにする「労働移動支援化法」を制定します。この法律の中には、転職や雇用形態の違いによって不利が生じている現行の社会保障制度を是正するため、すべての勤労者の雇用保険への加入要件を緩和する条文も加えます。 
 あらゆる職種、とりわけホワイトカラー層のミスマッチ解消と移動先での能力に応じた処遇を確保するためには、汎用性のある職業能力評価システムを創設する必要があります。このため、わが国の実状を踏まえた「社会性のある職務・職能評価基準」(「職業能力評価システム」)の形成に向けて、有識者・専門家による委員会を設置し、その評価手法を含めた研究調査に早急に着手します。また、企業の社会的責任を明確にするため、従来曖昧になりがちであった労働契約の明示と雇用者責任の履行を徹底します。 
 
 転職に伴う社内融資の住宅ローンの繰り上げ返済などが労働移動の障害になっていることに鑑み、企業の社内融資について、退職時に公的金融機関による振替融資ができる特別融資制度を創設します。また、企業年金のポータブル化など選択肢を広げて、労働移動によって将来の経済的な不利益が生じないようにします。 
 
 
6.より多くの人が労働に携われる社会のために
 
 
 これからの日本において、とりわけ「労働の分かち合い(ワークシェアリング)」の発想に立ち、雇用政策を確立していくことが重要です。そのためには、何よりもまず、増大する雇用不安に対応し、労使がいわば休戦協定を結んで、いわゆる「サービス残業の中止」「残業そのものの縮小」「年次有給休暇の完全消化」などの具体的項目に対して対策を考案し、プログラム化する努力が必要です。 
 また、これらの取り組みと併せて、「有給休暇の拡大」「残業規制や時間短縮促進」「短時間労働や臨時雇用に係る公正な雇用条件の確保」など、ワークシェアリングに必要な事項について研究し、その実現をめざします。とりわけ、ドイツやフランスなどと比較して依然三割近くも長い年間労働時間をどう短縮するか、余暇活動の活性化にもつながる「長期休暇の利用促進」について本格的な方策を検討します。 
    

5.財政規律を確保し、歳出構造の改革を実行します。
 
  
 今日の危機的な財政状況は、国民に将来の負担増の不安を与える重しになっており、財政再建は、中期的に必ず成し遂げなければなりません。民主党は、確かに「景気の回復なくして、財政の再建はない」とはいえ、「財政の構造改革なくして経済の再生はあり得ない」と考えています。 
 今、わが国の経済は大きな転換期を迎えています。従来型の公共事業中心の景気対策にいくらつぎ込んでも、経済指標の数字が良くなるだけで本当の意味での景気回復は達成できません。今必要なのは、財政や経済の構造改革であり、歳出構造を大胆に見直して税金を無駄なく最も効率的な形で使うようにすることです。 
 また、放漫なバラマキ財政を繰り返し続けた結果、わが国の財政は規律を失い、まるで戦時中のような惨状に陥ってしまいました。今度は、あまりに巨大化した財政赤字が、金利の上昇や将来不安からくる消費の抑制を招き、逆に経済の足を引っ張ることになりかねません。国民の将来への不安を取り除くためにも、財政規律を守り、財政再建の道筋を明らかにすることが重要です。 
  
1.財政再建の道筋を確かなものとするために
 
 
 民主党は、歳出構造を改革し、財政再建への道筋をつけるため、「財政健全化10カ年計画」を策定します。長期的には財政赤字をEU(欧州共同体)諸国の基準ともなっているGDP比六〇%以内に縮小することをめざします。 
 
2.財政を透明化し、単年度主義から脱却するために
 
 
 国の会計を企業並みに透明化し、不良債権化のおそれのある事業に税金が使われないようにします。このため、「財政透明化法」を制定し、予算・決算に複式簿記・発生主義などの企業会計的視点を導入して、国の財政状況を、各省庁別にバランスシートの形で国民にわかりやすく開示します。 
 財政法の予算の単年度使いきりの原則を改め、節減した予算の一定割合を翌年度の政策予算として各省が留保できる制度を導入します。五年間の中期的な財政収支の見通しを予算案と同時に国会に提出するよう、政府に義務づけます。また、財政投融資制度を含めた財政節度を保つための歳出ルールを明確にします。 
 
3.適切な公共投資とするために
 
 
 当面は、現状の公共投資水準を維持しつつ、公共事業費の配分を徹底的に見直し、重点化をはかります。また、自然環境及び生態系への影響など環境コストを内部化したうえで、事前の費用便益評価や事後評価の両面からチェックする仕組みを確立します。これらの評価システムの導入と併せて発注方式の改革や工法の改善などを促進し、少なくとも、今後五年間で二割、十年以内に三割の公共事業費を削減します。 
 

4.さらなる民営化をはかるために
 
 
 国が行う事業は、民間でできない事業に限定します。この観点から、国のすべての事業を民間参入の可能性の観点から見直します。民間の参入が可能な事業分野は、国の事業から分離し、民営化を推進するとともに、民間参入を自由化して競争を促進します。「民営化する国の事業の政府保有株式の売却」「遊休地などの国有資産の売却」などによって財政の健全化を推進します。 
  

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