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2000/01/16
「新しい政府」を実現するために/PART VII

明日に夢が持てる国づくりこそ政府の使命である

  

「今は未来への投資の時代」と民主党は考える 
 
Point-1 「未来への投資」こそが今一番求められている 
Point-2 未来のために大胆な学校改革を  
Point-3 二十一世紀に向け、IT革命を大々的に促進する 
Point-4 働く者の自由時間を増やして、質の高い生活を確保する 
Point-5 未来を拓く科学技術開発を戦略的に進める  

 
 二十世紀末の今日、私たちは、時代の大きな転換のときを迎えています。二十一世紀の新しい日本をどのような国に創り上げていくのか、これからの三年間、五年間、そして十年間が貴重な時間となって、私たちに「未来への責任」を問い始めています。変化のスピードはますます速くなり、政治にもまた迅速な決断と行動が必要となっています。自立性と活動能力を飛躍的に向上させた国民一人ひとりの期待に応えられる行動的な政府の実現も求められています。 
 私たちは、如何なる時代にも時の流れというものがあると信じており、その流れに逆行する保守の道を選択するべきだとは考えません。同時に、時代の流れを正面から受け止めつつも、その進む方向に「光」と「陰」があると考えます。大切なことは、その「光」と「陰」を見極め、国民の間に生まれている多様な可能性を開花させ、希望の光がより輝く道へと日本の進路を舵取りしていく冷静で実行力ある政府の確立だと考えています。新世紀へのこの重要なときを、どのような政府が担い、時代をどうリードしていくのか、それがいま求められている選択です。 
 政府には、時代の先を読みとり、新しい世紀の到来に備えて「未来への投資」を着実に進める使命があります。民主党は、ここに、教育の改革、情報通信革命への対応を大きな柱として「未来への投資」を構想し、その一部を新しい政府の仕事として提案します。これは、国民の皆さんと大いなる議論を重ねつつ、さらにより豊かな内容にしていくための提言でもあります。 
 



1.二十一世紀を見すえた教育環境を築きます。 

  
 日本社会の土台を担ってきた教育がいま大きな曲がり角にさしかかっています。初等・中等教育の現場では、不登校、校内暴力、いじめ、学級崩壊などに直面しています。また、学力の急速な低下も顕著となっています。その背景の一つとして、急速に高度成長した日本社会が、遊びの時間、空間、仲間など、子ども世界を様変わりさせ、社会そのものが教育力を失い、地域の子育ての文化をやせ細ったものにしたことが挙げられます。また、高度情報社会化に伴うメディア情報の氾濫の中で、旧態依然たる偏差値志向、受験中心の教育、画一的な教育内容に対する魅力が失われていることもあります。 
 高等教育においても、大学の実態は文部省のめざす「個性が輝く大学」とはほど遠く、キャンパスのレジャーランド化が指摘され、大学教育の一般化とともに学生の学力水準が問題となっています。 
 民主党は、二十一世紀の新しい日本に向けて教育の改革を断行し、未来の担い手たる子どもたちが人間として自立し、感受性や創造性豊かな人材として育っていく機会をつくり出す場としての「学校の再生」に挑戦します。父母と教師が地域において互いに協力し、その創意を生かして学校現場の現状を自主的に改善・改革していける仕組みをつくりだしていくことが必要です。私たちは、そうした「創意」と「責任」が共に発揮されるような学校運営のあり方とはどのようなものかを検討し、その改革の方向を国民の皆さんに提案します。 
 「教育行政の分権化を徹底し、地域での教育に関する自己決定を大きく認めること」、さらに「学校運営のための固有の責任主体として『学校運営協議会』を設置すること」、そして「学校長の公募制などを採用すること」、こうしたことで学校運営・経営責任を明確にするよう改革します。 
 高等教育については、競争原理を積極的に活かし、民間の創意工夫が大いに活かされる仕組みへと転換します。このため、国立大学の公立化・民営化など大胆な改革も必要です。また、国として重要な長期的研究開発については、大学院制度や各種の公的研究開発機関の充実整備によってこれを推進することとします。 
  
1.幼児の教育環境を改善するために 

 
 家庭の教育力の低下や地域社会における人間関係の希薄化、大人社会におけるモラルの低下などの問題が、未来を担う子どもたちの人格形成に様々な影響を与えています。子育てに関する社会的支援を充実させる一方で、家庭において基本的な生活慣習を正しく身につけさせること、地域において社会生活での最低限のルールを会得できるようにすることをめざして、家庭と地域の教育力を高めます。特に、核家族化による子育ての孤立化や不安の解消に向けて、一元化された幼稚園・保育所を拠点とした、相談支援体制の整備を急ぐとともに、現在の義務教育段階と同様に国・地方自治体の支援を充実させます。 
 
2.コミュニティに根ざした初等・中等教育とするために 

 
 心の荒廃が教育現場を覆っています。小手先の制度いじりでは、もはや対処できないほど事態は深刻であり、教育、そして学校のあるべき姿とは何かといった根本的なことが問いかけられています。教育の原点に立ち戻り、次代を担う子どもたちが、「自立」しながら他人や自然と「共生」していく力と、新しい時代を「創造」していく力を育むため、学校改革を実行します。 
 
 (a)学校を改革する  
 
 学校のあるべき姿を取り戻すためには、教職員に対しては「より良い教育をめざすインセンティブ」を与える必要が、子どもたちと保護者に対しては「より良い教育を受ける選択肢」を認める必要があります。そのために、小学校・中学校・高等学校の学校改革と教育課程の規制緩和を進めます。 
  
・教育課程の自由化 
 まず全国統一の必須科目を限定します。そしてそれ以外は、学校ごとに、独自の授業内容を選択できるようにすることで、特色ある学校を作ります。学校設立への規制や指導を緩和し、ホームエデュケーション(不登校などで学校に行けない子どもたちを対象に、家庭における教育課程を認める制度)を含め、学校の種類を多様化します。 
 一方で、必要最小限の基礎知識・基礎能力については、年齢段階ごとに到達目標を定め、標準学力認定を設けることによって、最低限の教育水準を維持します。 
 
・学校選択の自由化 
 すべての通学区を弾力化し、子どもたちと保護者による学校選択を可能にして、学校間・教員間の適度な競争を促進します。各学校には、選択の前提となる教育課程の内容や教授法などについての情報公開を義務づけます。 
 
・学校長公募制の導入 
 個性ある学校づくりの前提として、「学校経営の責任者=スクールマスター」という学校長の位置づけを明確にし、教員採用や人事・予算などを含む権限と責任を強化します。学校長の選考は公募制とし、教員免許の有無にかかわらず、幅広い人材の登用を可能にします。 
 
・特別教員制度の拡大など、教員採用の弾力化 
 新しい時代に適した人材を広く求める見地から、教員免許の有無にかかわらず、適性と能力、意欲があれば、学校長の判断で特別教員として採用できることとします。適性に応じて、教職公務員が一般公務員に転籍できる道も拡大します。 
   
 (b)教育を分権し、住民参加型教育にする  
 
 現在の文部省を廃止して、中央教育委員会を設置します。ただし、その役割は、年齢段階ごとの最低基準・基本方針を定めることに限定します。学校長の選考や学校の設置認可などを含め、その他の権限は、市区町村が独自に行使できるものとします。 
 地域に根ざした学校づくりを推進するために「学校運営協議会」(仮称)を設立し、教職員と保護者のみならず、地域住民や生徒の代表も加わった学校運営を進めます。学校長の選考などにあたっては、こうした地域の声を踏まえて決定する仕組みを作ります。 
  
 (c)ゆとりと規律ある教育を実現する  
 
 児童・生徒一人ひとりの個性を大切にした、ゆとりと規律ある教育のために、「三〇人以下の学級」「複数担任制」「小学校の専科制導入」「養護教員と事務職員の複数配置化」「専任司書教諭配置」などを早期に実現します。子どもに過度のストレスを与えている内申書を廃止します。暴力事件やいじめ問題など心の荒廃に対応するため、カウンセリングの充実を進め、学校、子ども、保護者、地域などが協力して未然防止、問題解決にあたれる体制を整備します。 
 「豊かな人間性を育むために人間の生命と個人の尊厳を尊重する姿勢」「自らの育った歴史的・文化的土壌を大切にするとともに他国の人々や文化にも尊敬の念をはらう姿勢」「公共心と協調性」などを重視します。福祉や農業での現場実習を、積極的に取り入れ、ボランティア精神の大切さを学ぶ機会、社会規範や社会生活のルールを学ぶ機会を増やします。 
  
 (d)実りある英語教育にする  
 
 国際化と情報化の進展によって、次世代を担う子どもたちにとって英語力の有無が、人生の選択肢の幅を決定づける大きな意味を持つことは否定できません。将来、国語(日本語)に次ぐ第二公用語として英語が位置づけられることを展望して、小学校から英語教育を必修化するとともに、幼稚園・保育所においても、可能な限り英会話に触れる機会を設けることができるよう支援します。英語教育の内容についても、批判の多いいわゆる受験英語から、実用英語への転換を徹底します。 
 また、コミュニケーション能力の欠如は、国際社会において通用しません。「以心伝心」に象徴される日本文化の積極面を認めつつも、多様化した価値観の中では、言葉による説明・説得能力の重要性が高まっていると認識しています。このため、教育の場において、「自らの意思を言葉で正確に伝える」「他人の言葉からその意思を正確に捉える」ため、ディベートなどのトレーニングを充実させます。 
  
 (e)情報教育を強化する  
 
 二〇〇一年までに小中学校でパソコンを一人一台配置し、インターネット接続にかかる料金を無料化します。また二〇〇三年までに小中学校に光ファイバーを敷設します。情報教育の強化のために、インターネットの実習を必修科目とし、中学校を卒業すれば誰でもインターネットにアクセスできる環境整備をはかるとともに、教員のコンピュータ活用能力の向上をはかるため、すべての教員がコンピュータ操作をできるプログラムを導入します。また、インターネット情報教育を行う非常勤講師を全国の小中学校で採用します。 
  
3.高等教育を真の高等教育とするために 

 
 わが国の大学は、先端研究においても、また、学生の基礎学力や勉学意欲においても、世界的水準から大きく遅れをとっています。未来を支える高度な専門知識を持った人材を育て、社会に貢献する新しい知識・技術を生み出していくためには、抜本的な大学改革が必要です。 
「人材と知識・技術」こそが、わが国の貴重な財産であることを踏まえ、真に学びたい人が、学びたいときに学べる大学教育と、世界的な水準で勝負できる最先端の学術研究を実現します。 
 
 (a)国立大学を民営化・公立化する  
 
 国立大学への手厚い保護が、国立・私立間の公平な競争を阻害し、非効率的な経営につながっています。一方、難易度の高い国立大学の学生の家計収入は高く、国立大学の安い授業料が低所得者層への機会均等になっているわけではありません。そこで、国立大学は、原則としてすべて民営化をめざします。ただし、地方自治体が希望する場合には、公立化にします。国立大学は、民間のインセンティブが働きにくい基礎研究などを行う少数の大学院大学に限定します。 
 国立大学の民営化によって、競争条件が対等になれば、消費者が選択できる教育機関の幅が広がり、各大学には教育の質の向上、差別化へのインセンティブが与えられます。また、予算、人事面など組織運営に関して大学側の自由度が向上するとともに、大学の経営努力が促されます。 
 研究開発費に関しては、「産学協同」体制による民間からの資金協力を基本に置きます。短期的な市場価値は低いものの、学術的に必要な研究については、国営の研究施設や大学院大学を活用するとともに、個別の研究プロジェクトに対する補助システムを導入して、その水準を確保します。 
  
 (b)奨学金を希望者全員が受けられるようにする  
 
 大学または大学院の学生については、希望者全員が奨学金を受け取れるように、奨学金制度を拡充します。利息付き奨学金の資格要件を撤廃し、学費に加えて、必要最小限の生活費についても、支給の対象に含めます。これによって、高等教育に対する親の負担を軽減し、真に学びたい人だけが、親ではなく、自らの負担で進学するという状況に近づけます。いったん社会人となった人でも、休職または退職して、大学や大学院で学び直す可能性を広げます。 
  

 (c)私学助成から個人助成へ転換する  
 
 国立大学制度の廃止に合わせ、補助金に関しては、教育機関への補助から個人補助へ転換し、大学間の競争を高めます。具体的には、従来の私学助成金と国立大学への支出の大部分をまとめた上で、学生一人あたりの助成額(ただし学系ごとの差異を設ける)を決定し、各大学へは、現に授業料を納めている学生数に応じて配分するものとします。 
  
 (d)国際化を推進し、大学院の質を充実させる  
 
 質の高い研究者の養成と、職業人の高度な専門能力育成を柱として、大学院を拡充します。特に、大学院では国際化を推進し、独創的な研究や最先端の研究ができるようにします。 
 留学生の受け入れに力点を置いて、環境整備につとめると同時に、外国人研究者の任用をはじめとする教授・研究者の交流、最先端の科学技術分野における国際的共同研究などを推進します。 
  
 (e)リカレント教育(回帰教育)制度を確立する  
 
 大学・短大を卒業し社会で働く人に、本人の希望によって再び大学や大学院で教育を受けることができる制度を確立します。期間を一年から三年とし、身分は継続させて課程履修後は職場に復帰できるものにします。その間の賃金は無給となりますが、この制度の確立によって年金などの社会保険は継続することを可能とします。 
  
  

2.自由時間を増大させることで生涯学習社会を創造します。 

  
 経済水準が欧米先進諸国に追いついた現在、大きく遅れを取っているのが生活の豊かさのための十分な休暇と生涯学習機会の不足です。また、不況をもたらしている消費の低迷は、「サービス」を消費するまとまった時間が不足しているのも一因です。 
 特に、長期休暇制度や連続休暇制度の実現は、「勤労者の健康の維持」「家族・地域社会への貢献」「勤労者の能力・創造性の向上」などをもたらすものであり、企業を含む社会全体にとっても有益と言えます。さらに、経済の中でますます大きな比重を占める旅行・レジャー産業、健康産業をはじめとするサービス産業における消費には、一定のまとまった「時間」が必要であり、これらのサービス消費を刺激し、関連産業での起業などにより、景気の回復にも大きな効果があるものです。 
 「時間の自由」の拡大は、お金をかけない「未来への投資」となるうえ、休暇の拡大に伴う労働時間短縮は、雇用拡大や失業の抑止効果にもつながります。 
 民主党は、「勤労は美徳」「人に迷惑をかけない」という日本的な風土においても、休暇をきちんととることができるよう改善していく必要があると考えています。また、それが余暇活動に積極的に活用されるとともに、希望する学習機会を十分に保障する社会が整備されていることも重要です。そういった自由時間の充実に備えた社会基盤の整備にも取り組んでいきます。 
  
1.連続した休暇がとれるようにするために 

 
 勤労者の「連続した時間自由」を、欧米水準に一歩でも近づけることによって、「休息による健康の維持・回復」「家族や地域社会とのふれあい」「ボランティア活動への参加」「学習・自己啓発」など多様な時間の過ごし方を可能にし、多様なライフスタイルの実現、生活の質の向上に寄与できるようになります。 
 このため、現在まで政府が批准を怠っている国際労働機構(ILO)132号条約の批准を実現し、連続休暇に関する国際スタンダードに即応する国内体制の整備を進めます。具体的には、年次有給休暇制度を改革(「労働基準法」の改正)し、「連続休暇制度」を導入します。平均取得率が五割程度の年次有給休暇取得の現状を見直し、勤労者が権利として行使することを積極的に奨励するとともに、これを妨げる使用者には労働時間の規定などと同様に罰則を科すことも検討します。現行勤続年数によって十日から二十日の日数を、四日程度ずつ延長し、かつその半分は連続付与すべきものとします。 
 
2.生涯学習やスポーツが身近にできるようにするために 

 
 生涯学習社会の実現のために、子どもから大人までが利用しやすい施設などの整備を推進します。公民館活動の活性化や公立図書館のより一層の充実、大学などの学校図書館の開放を実施します。子どもから、高齢者までスポーツを楽しめるように、また健康の維持増進のためにも、手軽にスポーツに親しめる環境を整備します。地域スポーツの振興策として、芝生のあるグラウンドの整備や学校の校庭開放、付帯設備の充実を進めるとともに、地域におけるスポーツ指導者育成を推進します。 
 
3.文化・伝統を体験、継承できるようにするために 

 
 日本の伝統文化を保存し、その上にさらなる新たな文化が創造していけるようにします。文化財の保護、伝統芸能・工芸の継承、教育における体験鑑賞など、文化・伝統を保存するための環境整備を行います。 
    


3.二十一世紀に全面開花するIT革命に向けて積極的に投資します。 

  
 ネットワーク社会において、情報通信網は社会的インフラです。いつでも、どこでも、誰でも、必要な情報を安全に、自由に、安価に利用できる情報通信網が欠かせません。そして国民一人ひとりが情報技術を使いこなせるようになることが重要だと考えます。二十一世紀に向けて、わが国の競争力を高めるためにも、また国民がより豊かで自由な生活を享受するためにも、情報インフラを早急に整備し、国民の情報リテラシー一〇〇%(=誰もが情報化の恩恵を受け取ることができる社会)を実現します。 
 特に、情報通信技術の進化が、年齢や障害、また遠隔地といった様々なハンディキャップを克服していくためにも有益であることに注目すべきです。 
 次代のわが国の基幹的産業として位置づけられている情報通信産業分野の活性化は、高度な情報通信ネットワークを基盤として多くの産業分野の発展に波及するものです。 
 情報通信、放送の技術革新の下で、激しい国際的競争が繰り広げられています。そうした中で、日本がどのような対応をしていくかが問われており、国としての情報主権を確保しつつ、二十一世紀のリーディング産業を決定づける分野として国際戦略上の位置づけをもってこれに臨んでいきます。このため、民間による情報通新分野での投資活動を促進支援することを基本に、政府として、基礎技術の開発や予算の大幅な拡充に取り組んでいきます。 
 さらに、情報通信技術の進歩が国境や民族といった垣根を越えて、市民間の直接的なコミュニケーションと相互理解を促進することに着目し、これを「国際平和を構築する有力な手段」として位置づけ、情報民主主義の旗を掲げ、国際的な情報インフラ整備に積極的に貢献していきます。 
  
1.情報化推進のために 

 
 国家戦略としての情報化推進に取り組むため、各省庁に情報責任者(CIO)を置き、副総理格のCIO担当を内閣府に配置します。そして、情報化戦略の構想と進行管理を行うCIO会議を設置します。また、情報関連分野予算を現在の一〇〇〇億円から一兆円に引き上げるなどの思い切った措置を推進します。 
 
2.全国をネットワーク化するために 

 
 通信衛星、無線、CATVなどの分野での規制緩和を促進するとともに、電子商取引について認証制度の確立など、環境整備をはかります。地上放送のデジタル化や情報通信技術者などの教育・人材育成を積極的に支援します。 
 また、少子高齢化や過疎化による生活実態の地域間格差の歪みを是正するためにも、全国の家庭までつなげる光ファイバー・ネットワークを早急に整備します。このため、民間事業者が進めている二〇一〇年を目標とした整備計画を加速させるために、税制や資金調達などの支援策を大胆に行います。 
 これらの推進のため、公共事業の見直しを徹底して行いつつ、政府が行う情報化投資を新しい公共投資として位置づけます。 
 
3.インターネット利用料を下げるために 

 
 米国と比較して高めのインターネット利用料を減額するために、市内通話料金を二〇〇一年までに適正価格で定額化するよう、重点的規制緩和を実施し、競争圧力による低廉化の実現を促進します。また、民間通信事業者による接続料金の定額制が実現できない地域などに関しては、政府の保有するNTT株を売却して、その売却益を利用することで光ファイバーの敷設などを支援し、全国どこからでも一定料金でインターネットに接続できる環境を整備します。 
 
4.国際情報ハブ構築のために  

 
 インターネット上で、要求された言語に一括翻訳できる装置の開発を推進します。そのために、多言語相互変換技術の開発のための研究所を設立し、政府資金で研究開発を促進します。また、多言語相互変換技術の開発を行う企業に対して、補助金を新設するほか、政府系金融機関の融資を優先的に行います。 
 
5.行政情報を誰もが利用できるようになるために  

 
 各省庁別に行政情報の公開マニュアルを作成し公表することを、閣議決定によって義務づけます。そしてそのことで、遠隔地にいても各省庁の情報へアクセスできる環境を整備します。全省庁の行政情報を法案や制度の企画立案段階からデータベース化することを義務づけ、その情報公開を徹底します。各種審議会、懇談会などの議事録は、すべて一定期間以内にインターネットで公開します。 
 図書館、公民館などにインターネット接続拠点を設け、より多くの人がインターネットの恩恵を受けられる環境を整備するとともに、中央省庁と比較して遅れている地方自治体の情報化を積極的に支援します。 
 独立行政機関として、市民代表も参加した「情報監視委員会」を設置し、情報の開示を促進するとともに、個人情報の保護をチェックします。 
 
6.情報ネットワーク時代の高齢者や障害者のために  

 
 国民すべてが情報化社会の恩恵を受けることができるように、高齢者や障害者のインターネット利用を促す基礎的・先進的分野の技術開発を支援します。 
 政府または政府資金を受けている組織に納品する情報機器は、障害者に配慮したものに限定する「リハビリテーション法」を制定することで、障害者向け情報機器の開発・販売を促進します。また、高齢者のパソコン購入を支援するため、その購入費用を所得控除の対象とします。 
 
7.プライバシーの保護のために  

 
 国民がプライバシー侵害に懸念を抱いている状況では、情報化は進展しません。民間分野も包括する「個人情報保護法」を制定し、ネットワーク犯罪を防止するためのネットワークセキュリティーの確立をはかります。 
 
8.有害情報から青少年を保護するために  

 
 青少年の思考・行動に対する情報メディアの影響にははかりしれないものがあります。有害情報に関しては野放しにすることなく、規制と監視を強めます。 
    

4.夢のある快適な二十一世紀のための社会資本整備を行います。  

  
  
1.二十一世紀の交通体系のために  

 
 二十一世紀の交通、物流を支えるために、効果的な「未来への投資」を実施します。鉄道、道路、空港、港湾が個々バラバラに建設されている現状を改革し、相互に連携した総合的な交通運輸体系の整備を進めます。都市政策、産業政策との整合性をはかるとともに、環境への負荷の低減、高齢者や障害者への配慮、情報化社会への適応などを基本とします。 
  
(a)道路関係特殊法人を改革する 
 日本道路公団や本州四国連絡橋公団など、過度な借入金依存体質によって将来の国民負担について懸念のある道路関係特殊法人を抜本的に改革します。また、高速道路事業のうち可能なものから、PFI方式による民間事業者の参入を促します。 
 
 (b)地域にあった交通網を整備する 
 住民の要望があるにもかかわらず採算が合わないからといって過疎地域から事業を撤退したり、コスト削減によって利用者の安全性が低下するといった事態を招かないよう、地域交通に関する権限は地方に大幅に委譲し、地域実態に合った整備を進めます。 
 
 (c)高齢者・障害者にやさしい交通基盤を実現する  
 
 公共交通施設などにおけるエレベーターの設置、リフト付きバスの導入など、道路環境、駅舎、ターミナルの整備を推進します。 
  
 (d)環境にやさしい交通政策を推進する  
 
 地球温暖化対策のため、電気自動車やハイブリッドカーなどの無公害・低公害車の技術開発支援や、貨物などのモーダルシフト(環境などを配慮した輸送分担の適正化)を積極的に促進します。自動車から排出される窒素酸化物や種々の微粒子を削減し、大気汚染や酸性雨、光化学スモッグの防止を進めます。 
  

2.未来を開く科学技術の開発のために  

 
 日本が二十一世紀にめざす科学技術は、エネルギーと食糧の確保による国民生活の安定と経済産業の再生と競争力の強化、及び雇用の創出と環境の保護などに寄与すると同時に、望ましい未来社会の姿に貢献するものでなければなりません。特に、「宇宙や海洋の探求に係る研究開発」「バイオ技術や生命科学の研究推進と早期の実用化」「がん、エイズ、稀少病難病などの治療法の研究」「地震予知のための調査研究」「温暖化防止と地球環境保全のための研究開発」「新エネルギーの実用化技術の開発」などで、その基盤技術の開発を国家プロジェクトとして位置づけて重点的に進めていきます。 
 このため、産・学・官の連携強化と研究基盤の一本化に向け、研究開発投資を大幅に拡大します。また、国際協力の視点に立ち、科学技術の研究開発について、日本として積極的な国際共同研究を推進していきます。 
 そして、国民の科学に対する理解力の向上をめざして、科学及び科学技術に関する教育の充実につとめます。 
 
3.ゆとりある住まいの実現と街づくりのために  

 
 わが国の住環境は、「ウサギ小屋」という言葉に代表されるように、決して世界に誇れる状態ではありません。特に、バブルによる乱開発とその後の不動産不況、商店街を取り巻く厳しい経済環境などによって、都市・地方を問わず、「街」そのものの機能が弱まっています。こうした状況は、わが国の土地が狭いからではありません。住まいづくり、街づくりに対する政治の対応が後手後手に回り、「住宅=地価対策」「街づくり=官主導の無個性な区画整理」という状況が続いてきた結果です。 
 ゆとりある住まいづくりに、強いリーダーシップを発揮するとともに、地域コミュニティによる個性と活力ある街づくりを推進します。 
 
 (a)都市住宅環境を改善する  
 
 都心部の遊休地や非効率的な利用地を活用して、適切な広さを持つ住宅の大量供給と、公園や福祉施設、歩道の整備などを強力に推進します。 
 「土地収用法」の改正で、収用を受ける者が、希望した場合には物的代償措置を取るよう事業者に義務づけます。一定の条件を満たす再開発地域については、容積率を二〇〇〇%程度まで大幅に拡充します。 
 登録手数料化する登録免許税を除いて、いわゆる不動産流通課税を見直し、土地の流動化を促してその有効利用を促進します。 
  
 (b)地域主体の街づくりにする  
 
 中心市街地の土地区画整理に関して、住民参加・住民主導の体制を強化し、地域が主体の計画を推進します。小公園・集会施設・医療福祉施設などの中心市街地立地を誘導し、商店街と公共施設などが共存する「にぎわいの街づくり」を進めます。 
   
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