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2006/08/10
農林漁業対策本部本部長の菅代行、視察・意見交換後に佐賀で会見
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 菅直人代表代行は10日、党農林漁業再生本部本部長として農林漁業視察で訪れていた佐賀市内で会見を行った。視察に同行した山田正彦『次の内閣』ネクスト農林水産大臣のほか、県連代表の原口一博、県連副代表の大串博志両衆議院議員、来年の参議院選・佐賀選挙区で民主党公認として立候補予定の川崎稔さんが同席した。

 農林漁業再生本部視察報告として菅代表代行は、前日の9日に東与賀町で有明海の干潟を視察するとともにノリ養殖業者と川副町で意見交換を行ったことを報告。ノリ養殖に関しては数年前に船で現場視察を行ったことがあるとしたうえで、「みなさんは畑という表現をされていたが、今日に至るまで有明海の畑が諫早干拓事業の影響を受けて問題が生じ続けている。現時点では生産者のみなさんの努力によって、一定程度の収入にはなっているが、地域によってはかなり厳しいところがある」と指摘。一日も早く畑・海そのものを元に戻してほしいとの陳情に対して、締め切られたままの潮受け堤防の中長期開門調査の実施を政府に強く働きかけることを含め、あきらめることなく自然界の回復を目指して活動していきたいとの思いを示した。
 
 また、同日は集落営農のモデル地区ともいえる佐賀市鍋島町江里桜の農事組合法人えりさくらを視察し、農業者との意見交換を行ったことも明らかにし、集落営農はこれからのひとつの農業のあり方といえるとの見方を示した。同時に、時間的余裕がない兼業農家にとって時間短縮・作業効率化のためにも農機具の整備が不可欠でサラリーマン収入を購入費に当てることで乗り切っていくという構図ができあがっていると分析。その背景には農業収入向上だけでなく、先祖伝来の農地を守っていくとの視点も大きな動機であり、法人として集落営農を実施することで、農機具の共同保有による個人負担の軽減、農作業の共同作業化による効率化と地域をあげての農地保全・環境保全が実現している点を指摘。「集落で法人化しての共同事業が理想的な形で出来上がっていた」との感想を語った
 
 同時に農業関係者との車座集会の印象については、「現場の話を聞くと改めて、日本の農業改革がこの間おかしな方向に進んできたものをいかに本筋に戻していくかという重要性を改めて感じた」として、農業そのものの再生が重要であると改めて強調するとともに、「本来の農林漁業を取り戻す、再生する重要性を改めて感じた」と述べた。
 
 さらには党B型・C型肝炎総合対策推進本部長として、血液製剤や集団予防接種で肝炎になった患者の救済を求めるB型・C型肝炎訴訟に言及。九州におけるC型肝炎訴訟の原告と弁護人を紹介し、今月30日に予定されている福岡での判決について、大阪地裁が血液製剤によるC型肝炎感染で国の責任を認める判決を出したことに触れ、先の大阪での判決と同様に原告の主張が通る形での判決を期待していると表明。その上で、裁判だけでは解決できない問題であるとして、判決を踏まえた行政的、政治的な対応を推し進めていく必要があると指摘し、「場合によっては特別立法も必要になるかもしれない」と語った。
 
 続いて、次期参院選に佐賀県から立候補予定の川崎さんについて、「日本銀行に勤務し、経済・財政の専門家である。一連の視察にも同行したが、この佐賀に生まれ育って、農林漁業を含めた佐賀の問題にもしっかりと取り組んでいこうという姿勢が期待できる」と述べた。

 山田ネクスト農林水産大臣は、「品目横断的直接支払いの問題など、いろんな問題が出てきているが、直接お話を聞き、参考になった」と感想を述べた。大串議員は、視察を通して見えてきた農業・漁業の現実が、いかに政治の場に届いていないかということを痛感したとして、「現場の声をぜひ、政治の場に届けて行きたい。それが民主党の政策作りの根本。現場に根ざした政策作りができる党として政策に100%活かして行きたい」とした。
 
 原口議員は有明海の再生についてまず言及。「第三者委員会も福岡高裁の判決も中長期の開門調査を求めているにもかかわらず、政府はそれを無視して、有明海をまさしく事業ありきで宝の海を壊している。漁家のみなさんも大変大きな怒りと不安をもっていらっしゃるということが(視察を通して)よくわかった」と述べるとともに、農業政策については「一言でいうと、肝心なことが知らされていないということだ」と強調。民主党が提案する直接保障についても、WTOの枠のなかで3兆9000億円の補助ができるにもかかわらず、農業者には知らされていないばかりか、コメに対する負担金もいくらであるか、明確に知らされていない実態があると指摘した。
 
 B型・C型肝炎訴訟に関しては、「この佐賀県は肝臓疾患の問題など、全国でも有数の問題を抱える地域であるが、薬害によってもたらされたこの疾患の問題は、福岡の判決においては自分たちの不作為の問題を国が認め、一日も早く患者のみなさんへの損害の賠償、謝罪、それからすべての肝炎対策への施策につなげていけるよう頑張っていきたい」と語った。
 
 会場に顔を見せた原告団代表者は「政治的な解決が必要」と語り、この問題に積極的に取り組んでいる民主党への期待感を示した。自民党もやっとプロジェクト・チーム(PT)を立ち上げたが原告とは会っていないことを明らかにし、民主党が対策を練っていく中で、自民党が重い腰をあげるきっかけとなるよう働きかけてほしいとの意向が示された。

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