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2006/05/18
【衆院本会議】田名部議員、解体出直しに値せぬ社保庁改革案質す
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衆議院本会議で18日、民主党・無所属クラブの田名部匡代議員が質問に立ち、内閣提出の「ねんきん事業機構法案」「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案」に関して、川崎厚生労働大臣に諸問題を質した。
 
 冒頭、昨日の衆議院厚生労働委員会における与党の強行採決を強く抗議。自らの出身地である青森県を例に、全国各地で医師不足が深刻化している実態を指摘した。強行採決に関しては、「医療給付費の抑制」という財政主導の「医療制度改革法案」に関して政府与党が委員会審議を一方的に打ち切り、「医療制度崩壊の危機」に対して何ら解決策を示すことなく、深刻な「医療難民」を生み出し危機的な状況にある日本の医療制度における崩壊のスピードを加速するようなものだと重ねて指摘。「説明責任を放棄した行動を断固許すことができない」と訴えた。

 続いて「ねんきん事業機構法案」「国民年金法改正案」の質疑をはじめる前段として、保険料の無駄遣い、幹部職員の汚職、年金情報の「のぞき見」事件、年金掛け金を遣っての公用車購入、年間45件にものぼる1億円以上の随意契約の実態など、社会保険庁による不祥事を列挙した田名部議員は、「想像を絶する、まさにやりたい放題の不祥事がこれでもかと国民の前に提示されたことを、厚生労働大臣は覚えているか」と述べ、この不始末の責任をだれもとることなく、やり過ごされた実態を極めて問題だと指摘。そのうえで川崎厚労相に対し、問題が起こる原因、再発防止策は何かを質した。川崎厚労相は社保庁職員の同機構への移行に関しては、のぞき見をして処分された職員に厳しい姿勢で臨む方針を示し、トップの代表執行責任者の人事に関しては当面3年程度の任期で民間からの登用を想定している」などと述べた。

 田名部議員は「 ねんきん事業機構は看板の架け替えにすぎない」との視点に立って質問を続け、地に落ちた社会保険庁は解体的出直しが必要だとの考えは与党も認めたにもかかわらす、今回政府・与党から提示された案は、単なる看板の架け替えにすぎず、解体と説明するに値しないきわめて不十分な内容であると指摘した。当初は与党内にもあった民営化や独立行政法人化との意見がなぜ実現化されなかったのか、社会保険庁改革と称して、外部から招聘された村瀬長官による改革の総括は行われるのかなどを質したうえで、「この程度の改革で年金不信を解消できるとは到底思えない」と批判。同時に「ねんきん」事業とひらがな表記することで安易にイメージアップを目指した政府の姑息な手段にも疑問を呈した。さらには、根拠法令を変えただけで、中身が伴っておらず、昨年5月に行われた「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」が指摘した「意思決定機能」「業務執行機能」「監査機能」に関する権限と責任の分担と機能強化などが十分に反映されていないことに象徴されるように、効率性・行政サービスの観点から利用者の立場に立った法律とはいい難い実態を指摘した。
 
 さらには、トップの代表執行責任者と4人以内の外部の専門家委員で組織される「年金運営会議」の独立性の担保に関しても取り上げ、「唯一目を引くのが、厚生労働省の出身者は委員に採用しないという点のみ」と分析するとともに、従来の審議会等と実質的な違いは見られない点を指摘。同時に、厚生労働省出身者は採用しない代わりに他省庁OBを据えるといったバーター取引はあってはならないと問題提起した。

 国民年金保険料の収納強化策を掲げる「国民年金法改正案」については「名前を変えた社会保険庁に年金未納対策を語る資格はあるのか」と苦言を呈するとともに、未納者の増加は年金制度そのものへの不安の表れと指摘。同時に、国民健康保険証の有効期限を短縮して、更新のたびに年金保険料の支払いを求める方策が盛り込まれている点に田名部議員は言及し、「悪質な未納者ならまだしも、このターゲットは低所得世帯にならざるをえない」として、異なる制度を利用した収納対策に疑問を呈した。また、国民年金保険料の徴収対策にあたっては、市町村の実態把握が不可欠との認識を示し、市町村との連携強化の検討の必要性、さらには、国民が納付しやすいよう徴収の一括化の必要性なども提案した。

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