衆議院総務委員会で24日、閉会中審査が行われ、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する質疑に民主党・無所属クラブの福田昭夫議員が立ち、一般職国家公務員の平成18年度の給与とボーナスを改定せず、現行水準のまま維持するとした人事院勧告を中心に質した。
冒頭、福田議員は事務事業の抜本的見直しや権限の地方への移譲など地方分権の促進による公務員の総人件費の削減には賛同するとの考えを示したうえで、「しかしながら、優秀な公務員を採用するためにはいたずらに公務員の給与を引下げるべきではない」と指摘。そうした基本認識に基づいて質問を行っていく表明した。
昭和39年以来、従業員100人以上としてきたのを50人以上の小規模企業を加えることとした比較対象企業規模の変更について、その変更理由を福田議員が質したのに対し、人事院総裁は、官民給与の比較について見直すべきだとの意見が強く、社会的なコンセンサスが得られない状態となったことと、職員構成の見直しの必要性も高まり、検討を進めてきたと報告。合わせて同種・同等の業務を行う民間企業と比較するという基本原則に乗っ取って判断した結果だとの認識を示した。
そうした答弁を受けて福田議員は、昨年の答申ではこうした比較対象企業規模は変える必要はないとしながら、今年から変更すると方向転換したことに疑問を呈するとともに、総人件費削減に向けた政府方針の理由付けをしたに過ぎないと指摘。組合側の反発も大きいとの見方を示し、小泉首相と高木連合会長との政労トップ会談を行うなど、この問題に関して、政府は十分な議論を行うべきだと問題提起した。同時に、民間企業の給与は上がり、公務員は据え置きということになれば、公務員の指揮も下がり、公務員のなり手も減少しかねないとの考えを福田議員は示し、慎重な対応が必要だとした。
また、勧告の取り扱いについて、いつのタイミングで、どの内閣が行うことになるのか質したのに対しては、鈴木官房副長官は「検討に着手した。国民の理解が得られる結論を早急に得るようにする」などと述べるだけで明確な答弁を回避。そうした姿勢に福田議員は、「明確にしないと地方も困る」と指摘し、早急・明確に方向性を定めるよう釘を刺した。
福田議員は続いて人事管理の在り方にも言及。天下り問題を解決していくためには複線型人事管理制度等の具体化による早期退職勧奨制度の解消が必要だと問題提起した。「政府全体として取り組んで行くところ」などと悠長な答弁を繰り返す鈴木官房副長官に、福田議員は、抜本的に解決に向けて担当大臣を決めてしっかりと着手するよう求めた。同時に特殊法人、独立行政法人等の天下り先の給与や退職金等について何ら調査が行われていないことも問題視し、調査に基づく解決策を積み上げていくよう注文をつけた。
さらに、抜本的な少子化対策として育児の短時間勤務制度に関して、任期月短時間勤務職員の処遇の見直し、介護を行う職員への支援、パパクォーター制度の導入・普及に向けた働きかけの重要性を福田議員は指摘した。
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