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2006/08/24
ハッサン・ヨルダン王子と羽田最高顧問、鳩山幹事長との会談
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 羽田孜最高顧問、鳩山由紀夫幹事長、末松義規国際局長、藤田幸久国際局副局長は24日、京都で26日から世界70カ国の宗教者を迎えて行われる世界宗教者平和会議(WCRP)の議長を務めるために来日したヨルダンのハッサン王子と会談し、中東情勢をはじめ、多岐にわたる課題について見解を示した。概要は、以下のとおり。

 〔1〕9.11以後の世界は、安全保障ばかりに焦点が当てられ、人間の尊厳や人の安全保障、環境がおろそかにされてきた。ブッシュ政権は、テロに対する戦争といった、“何かに対する”戦いという考えだが、そうではなく“何かのために”積極的に行動することが必要だ。

 〔2〕アジアには、ASEAN、APEC、上海協力機構、SAARCなどの地域の枠組があるが、中東を含む西アジアにはそうした地域機構が不在で政治的な真空状態にある。アジアには、インド、パキスタン、イスラエル、イラン、北朝鮮の核保有国があり、軍拡の流れに歯止めをかけなければならない。冷戦時代に東側と西側が一緒に参加することができた欧州安全協力機構(OSCE、ヘルシンキ機構)のような多国間の枠組みが西アジアに必要である。こうした枠組みが無いので、アメリカが、個別の国々と2国間で対応しようとしてしまう。

 〔3〕7月のイスラエルによるレバノンのヒスボラ攻撃は、以前ならイスラエル兵の拘束などは外交的に解決できたものだ。

 〔4〕昨年日本は、ドイツ、インド、ブラジルと共に国連の安保理常任理事国入りを目指した。重要なことは常任理事国として何をしたいのか、ということだ。(1)戦後日本の自衛隊は一発も銃を発射していない(2)広島・長崎の経験がある(3)世界宗教者平和会議(WCRP)の発祥の国である(4)緒方貞子さんの提唱する新しい人道主義の秩序が重要である。日本は国連で資金やPKOで貢献してきた。今後は倫理的、道義的、人道的秩序による貢献が求められる。

 〔5〕ノルウェーが中東のオスロ・プロセスやスリランカの和平に関るのはいいが、なぜアジアの日本がそれを担わないのかと思う。同じアジアの「文化的同一性」というのが重要だ。例えば、アフガニスタンのバーミヤンでタリバンが仏像破壊をしようとした時に、同じイスラム教の自分とサラエボの聖職者とでタリバンの説得に行きたいと申し出たが、国連はキリスト教国のフランスとスペインを送ってしまった。

 〔6〕今の状況を放置すれば、昨日のアフガニスタン、今日のイラク、そして明日はレバノン、あさってはソマリヤというふうに紛争の連鎖が続くことになる。

 チェコのプラハでハベル元大統領や、南アフリカのツツ司教、ダライ・ラマなどのノーベル平和賞受賞者などと人類の連帯、平和の法規などについて討論するフォーラムがある。またパキスタンのイスラマバードでムシャラフ大統領主催でこうした問題について意見交換をする会議も計画されている。こうした場に日本が参加して、貢献の意思を示してもらうことが非常に重要だ。日本でもそうした対話や仲介を行いたいというのであれば、自分も喜んで協力したい。

 これに対して、深い知識・理解に根ざした見解に大変感銘を受けたとの発言が羽田最高顧問からあった。また、核などの脅威に対して、日本がリーダーシップをとって、人道的・倫理的側面に焦点をあてて取り組んでいくことが重要であるとの見方を共有する旨の発言があった。鳩山幹事長からは、9.11の同時多発テロ以降、米国の単独行動主義の傾向が強まっているが、そういう時にこそ、国際社会はそれぞれの国における人道主義や尊厳を高めていき、緒方貞子氏などが主張する「人間の安全保障」を日本は主導的・主体的に促進していくことが重要であると考えが示された。

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