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2006/06/16
【衆院財金委】古本・近藤議員、福井総裁に事実解明厳しく迫る
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 衆議院財務金融委員会は16日午前、日本銀行の福井総裁を参考人として招き、質疑を行った。民主党・無所属クラブからは、古本伸一郎(『次の内閣』ネクスト金融担当副大臣)・近藤洋介(国会対策委員会副委員長)の両衆院議員が質問に立ち、今回の福井総裁の村上ファンドへの投資問題に関して、資料提出の要求を行いながら、その姿勢を厳しく追及した。

 この中で古本議員は、ゼロ金利政策が行われた10年間は、まさに福井総裁が利殖行為をした期間ではないかと厳しく指摘。「低金利で国民に副作用が発生し、その額実に154兆円で、国民の財布が傷んでいる、その時あなたは利殖に励んだ」と批判の目を向けた。そして、このことが国民感情的に尊敬される行為なのか、マーケットから信用される行為なのかに疑問を呈し、福井総裁の見解を質した。福井総裁はこれに対し、行動に批判があることは承知している、真摯に対処するなどとした。

 古本議員は、村上ファンドへの投資により、「どれだけの利益を上げ、どれだけの税を納めているのか」について、直ちに答えるよう要求。「今、整理をしている」、「可及的に速やかに国会に出す」などと福井総裁は述べ、資料を出さなかった。1000万円の出所についても古本議員は追及。確定申告との関係も併せて問われた福井総裁は、「仕組みが分からないで出したのは確か」、「利益を受け取っていないのに、何故、税金を納めるのか、何か不思議には思っていた」などと曖昧な答弁に終始した。

 ファンドに投資を始める際の募集要項や、出資した人の中で、福井総裁のみが当初から利殖目的でないと考えていたのかといった点についても古本議員は質問を繰り出し、「私自身の心根の問題だ」とかわす福井総裁には、契約書の提出を求めた。利益が出るか分からないとしつつ確定申告をしていた点、一定の運用利回りが約束されていたのかという点、確定申告の際の納税原資の点なども、古本議員は詳細に質した上で、「儲かったなあと思う期末の締めで、だいたいどれくらいだったか」を質問した。

 福井総裁は、「非常に幅があり、数字は明確に覚えていないが、非常に少ない時は数十万円単位、多い時は数百万単位」と答弁。古本議員はこれに対して、「数百万の利益が出るということは、運用利回り50%を超えている」とし、その間も庶民の財布は低金利で空だったと指摘。「利殖行為だと国民が誤解しても、弁明できない」として、日本銀行の役員について資産公開を行う考えはないかについても質した。

 また、出資を引き上げる原因についても古本議員は追及し、「心の中で違和感の蓄積が臨界点に来たのがその時だ」などとした福井総裁に対して、阪神株買い占めなどの事実を考えれば、昨年時点で「コーポレートガバナンスをめざす目的からはかけ離れていったのではないか」などと古本議員は指摘。量的緩和政策の変更などへの影響も指摘しつつ、「日本銀行そのもののコーポレートガバナンスが壊れている」と批判を加え、関係する書類全ての提出がなければ議論の要件が整わないと述べ、閉会中審査の開催を強く要求して質問を終えた。

 続いて近藤議員が質問に立ち、「わが国の中央銀行の独立性の確保と、自己規律ある市場をわが国につくるという観点から、質問をしてまいりたい」とまず宣言した。そして、自身がかつて新聞記者として日銀を担当した経験も踏まえ、「このような質問をしなければならないことが非常に残念だ」と述べ、ファンドへ出資した際の契約書の仕組みを、総裁自身は分かっているのか、疑念を抱かざるを得ないと指摘。期限を切っての契約書の提出を求めた。

 近藤議員は更に、「問題にされているのは、福井総裁の個人の気持ちではない」とし、日銀総裁として「市場や世間からの信任が揺らいでいる」と厳しい見方を示した。そして、こうした状況に至った責任を改めて感じるべきだと指摘しつつ、2月に解約したことに関しても、「非常に微妙な時期の行動」で、様々な憶測を生んでいるのは事実だ」と指摘。福井総裁は、「判断はきちんとしたつもりだ」などとした。

 また、近藤議員は、昨年12月末時点での利益に関し、数字を出すよう再三求め、審議はたびたび中断。委員長から、いつまでに、どういう資料を出すのか、と質問が出されるに至った。福井総裁は、「昨年末の残高の数字をできるだけ整える努力をして、来週の火曜日を期限として出す」とようやく答弁した。近藤議員は更に、毎年年末の残高、ファンドに関わる契約書類、ファンドに参加してからの確定申告書、総裁就任後の株式保有状況の4点についても資料提出を要求した。

 そして、「公人中の公人」である日銀総裁の「資産の状況は重要」だとし、「内規に違反している、いない以前の問題として、透明性が求められる」として、米国の例を紹介。こうした制度をつくってこなかった不作為の責任についても問い質した。近藤議員は、福井総裁が副総裁時に日銀不祥事の責任をとり、任期半ばで辞任したことにも言及し、非常に残念だとしつつ、「イエローカード2回」だと指摘。「退場を命じられても仕方ないのではないか」と迫った。

 また、福井総裁の昨日の記者会見で、総裁擁護発言を繰り返す小泉首相と安倍官房長官に、「深く感謝申し上げる」、「政策判断をゆるがせにすれば、かえって恩返しができない」と発言したことも近藤議員は取り上げ、「何のための恩返しなのか」と批判。「この構図自体が、日本銀行の独立性、政策の中立性の上からきわめて健全でない」と厳しく指摘し、自己規律を「言葉でなく、形で示していただきたい」などと断じて質問を締めくくった。

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