28日午後、都内で、無所属議員を含む参議院の会派である民主党・新緑風会が研修会を開き、政権交代をめざして参議院が先頭に立っていくことを確認した。
会議は主濱了参院議員の司会の下に進められ、まず輿石東参院議員会長が挨拶に立ち、政権交代のための野党共闘の重要性を訴え、「小異を捨てて大同に着く必要がある」と述べた。
続いて菅直人代表代行が挨拶に立ち、政権交代に向けての参議院での闘いの重要性と安倍新政権との政策的な対峙について語った。
菅代表代行はまず、参議院においては衆議院に比べて与野党の議席差が少なく、国会内においてもより優勢な闘いが出来ることを指摘するとともに、来る参院選挙は政権をかけた闘いであると述べ、そのためにも参議院において民主党政権への国民の期待をもたらすような国会論戦が展開されることを期待すると述べた。
菅代表代行は次に、安倍新政権は「お友達内閣」であり、安倍首相は温室の中で促成栽培された総理であるとして、そのことに不安を持っているのはわれわれだけでなく与党の内部にもいると述べた。さらに代表代行は、安倍内閣からはリベラルな感覚の持ち主は一切排除されており、そこには極端な国家主義を見て取ることが出来、アメリカやアジアとの関係に配慮していた保守本流から逸脱していると指摘した。そして代表代行は、従来の保守の良い部分を民主党が担っていくべきだと述べた。
続いて菅代表代行は主要な政策課題に触れ、特に教育問題や憲法問題については党独自の取り組みをしなければならないとしつつも、安倍政権が目玉にしようとしている教育改革の方向では公立学校が立ち行かなくなってしまうと指摘。自らの公立学校中心の経験を踏まえて、地域の教育にとっての公立学校の重要性を強調した。
また憲法については、憲法のあるべき姿だけでなく、時代とのかかわりを忘れてはならないと述べ、攻められたときの防衛力を持つことは当然としつつも、戦争を美化する考え方を戒めた。
菅代表代行は、格差が拡大している現状への対応は最大の論点だとし、年金生活を送っている家庭を例に取って、小泉政権誕生以来の5年間での諸控除の廃止・圧縮や保険料などの引き上げによる負担増が極めて大きいことを具体的に指摘した。そして、高額所得者が株式などから得られる所得への課税に比べて低所得者層に対する負担増が際立つことを強調した。
代表代行は年金問題にも触れ、自公政権が「100年安心の年金制度」を宣伝したにもかかわらず、出生率の低下によってそれは崩壊していると指摘した。これらの国民の生活への不安が募り、民主党政権への期待が高まってくるとして、研修会を皮切りにそれに応える参議院での論戦を期待して、挨拶を終えた。
この後研修会では、高木剛連合会長から労働組合の意義と当面する政策課題について講演を受け、その中で高木会長は民主党への強い期待を述べた。さらに研修会では、現役ジャーナリストからの講演、参院政審スタッフの講演などが行われた。
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