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2006/10/04
【参院本会議】鈴木議員、医療・教育問題解決へ向けた施策示す
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 参議院本会議で4日、民主党・新緑風会の鈴木寛議員が代表質問に立ち、初当選以来、一貫して教育問題に取り組んできた立場から、安倍首相が「教育」を最重要課題と位置づけたことを歓迎する意向を表明。医療問題、教育問題を中心に首相の認識を質した。

 冒頭で鈴木議員は、先の国会に民主党が提出した日本国教育基本法案を取り上げ、その前文に「美しいものと美しいと感ずる心を育む」との一文を盛り込み、提案理由で、物質偏重主義を脱し、コミュニケーションや知恵や文化などをより重視する情報文化社会の創造を目指すとしたことを明らかにした。
 
 あわせて、首相の著書にある「子育ての価値は損得を超える」との記述を取り上げ、「全く同感だ」としたうえで、企業の利益のために、父母に平気でサービス残業や休日出勤を強いている企業に対しても同じことを言ってほしいと指摘。子どもたちのために、ワーク・ライフ・バランスを重視した労働法制を速やかに再構築するよう強く求めた。首相は「安心・納得した労働環境を整備することが重要」などと応じた。
 
 小児科・産科の医師不足問題を取り上げた鈴木議員は、小児科、産科、高度医療や終末医療を担う医療スタッフは、過酷な労働条件のもとにさらされている実態を指摘。また、本年2月の福島県立大野病院事件以降は、たとえベストを尽くしても結果が悪ければ、逮捕されるかもしれないというリスクにおびえ、辞職する医師も続出し、多くの産科病院が閉鎖に追い込まれていることも明らかにした。鈴木議員はこうした現状をふまえ、医療現場の正常化に向け、医療事故に関してより公正かつ適正な法適用を可能にする「事実解明・原因究明に関する第三者機関」設立の検討が必要だと提議。首相は、「早期解決等の観点から必要なことと思われる」と応じ、有識者による検討会設置を検討するなどとした。鈴木議員は合わせて、お産に関する無過失賠償制度の早急な検討を首相に要求した。

 続いて、教育現場の課題について鈴木議員は、近ごろ最も深刻なのは校内暴力・傷害事件の続発と、子供の生命が脅かされる事故・事件の続発だとしたうえで、「生命の大切さ」と「自らの命の守ること」を教えていくことこそ重要だとの認識を示した。そうした視点に基づき民主党の日本国教育基本法では、「生の意義と死の意味を考察し、生命あるすべてのものを尊ぶ態度を養うことは、教育上尊重されなければならない。」との条項をはじめ「生命及び宗教教育に関する教育」を基本法案に盛り込んだと説明した。一方で、中教審案からも後退し、宗教教育については「一般的な教養」の文言を追加するにとどまり、インターネット教育についても一切触れられていない政府案を問題視し、民主党案を参考に改めて見直すよう求めた。

 鈴木議員はまた、首相の教育改革論の最大の欠陥は、教育予算が示されていないことにあると指摘。そのうえで、教育こそ未来への投資だと認識し、コンクリートから人づくりへ、予算を回すべきだとする民主党の考えを改めて示した。

 続いて、安倍首相が進めようとする教育改革の手法に関しては、「一言で言えば、教育現場に対する国家による圧力強化と兵糧攻めだ」と述べたうえで、望まれる施策として、コミュニティ・スクール構想を提示。「国が本来なすべきは、現場における教師と親と地域との対話と協働を促し、学び支援のコミュニティの成長を全面的に応援していく仕組みと予算を確保だ」と説明し、「教師を締め上げれば、教育は再生できるとの基本認識を改めてほしい」と首相に迫った。

 さらに、教育格差の解決に取り組むよう鈴木議員は強く要請。安倍首相が掲げる再チャレンジの前に、すべての人々が、それぞれにふさわしい教育機会を享受できるよう、全力を挙げるのがわれわれ政治家のつとめだと表明し、格差の是正に本腰を入れれば、学力向上も望めるとの認識を示した。そのうえで、必要なのは、補習や少人数教育のための人員増であると指摘。合わせて「安倍総理が真剣に学力向上を思うのであれば、行政改革推進法の教員部分を見直さなければ何もできない」と述べ、改正に踏み切るよう首相に求めた。さらに、格差解決に不可欠な要素として、高校・大学・専門学校・高専などの奨学金の抜本的充実を首相に提案。首相は「必要定員を確保するとともに、学力の向上をはかる。就学の機会が奪われないようする」などと答弁した。

 首相が導入を検討する外部評価については、現場を歪めるだけで、むしろ逆効果しか生まないとの認識を示し、「美しい国づくりは、誇りや美学をもって、一生懸命頑張っておられる現場のプロたちに、心からの敬意を払い、心からの信頼を寄せることからしか始まらないということを申し上げる」として、質問を終えた。
 

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