党首討論が18日午後行われ、小沢一郎代表と安倍首相の間で初の討論が交わされた。小沢代表は憲法改正、北朝鮮の核実験への政府の対応と国民への説明などについて首相の考えを質した。
特に北朝鮮の核実験への対応について、国際社会の要請、国連決議にどう参加するのかに関して、日米安保、周辺事態法の適用はその場しのぎ、場当たり的な対応であり、国の将来を大きく誤るものであると強く批判した。そのうえで、国際社会から要請、国連決議にどう対応するのか、憲法上の原則を打ち立てるべきと主張した。
主なやり取りは以下の通り。
■憲法改正の理由は
代表 総理に就任される前は、率直に思いを語られたが、就任されてからは、思いを何か包んでいる印象を受ける。従来の主張を国民に説明してもらいたい。改正する理由について、第一の理由は憲法が、GHQのなかで、1週間で検討、政府に付与されたものとの発言が就任前にはあった。総理になってからは、占領軍の深い関与とされているが、その理解でいいのか。
首相 改正すべき理由は3点。一つは制定過程。占領下で制定されたのは事実。また、時代にそぐわない条文もある。新たな憲法に書き込むべき価値も生じた。自民党の総裁としては、憲法改正を政治日程にのせるためにリーダーシップを発揮したい。政党同士、議員同士議論を深めるべき。行政府の長としては議論を見守るべきと考える。
代表 (占領下での制定だからという)安倍総理と同じ考えを明文化している憲法を知っているか。
首相 ドイツ基本法が、明文化しているかどうかは知らないが、その議論で作ったと承知。
代表 ドイツもその考えがあるが、ベルギー、フランスでは明文化されている。フランスでは、領土の一体性が侵害された場合改正はできないとなっている。ベルギーでは、戦時下、国民の自由な意見の表明ができない時は改正できないとなっている。占領軍の深い関与の下での考えを進めると、現憲法は無効というほうが、論理的には一貫している。
首相 無効との議論は意味がないのでは。現憲法の意義を私は全部を否定していない。主権在民、基本的人権の尊重など。国民投票法案、改正の法的整備、法案について議論をしてもらいたい。憲法は定着し、国民が選んだのも事実。
代表 一方で占領下、一方で良かったというのは、考え方、認識としてどうか。きちんとした考えを示さないといけないと私は思う。
■北朝鮮の核実験について
代表 北朝鮮の核実験は国際社会の平和への希求を踏みにじるもの。厳しい対応をとることに異論はない。政府の今の状況、周辺事態法の周辺事態の認定とか、船舶の検査とか、報道からはうかがえる。これは、その場しのぎ、場当たり的なやり方で混乱を来たしていると思う。周辺事態法の想定、国連の決議、この両者の性格の違いは。
首相 周辺事態法は、そのまま放置すれば日本への武力行使につながるもの。北の行動に対して、強制力のある国連決議がなされた。日米同盟と国際社会を切り分けるのではなく、日米同盟を国際社会のなかで活かす。
代表 周辺事態は日本の安全と平和に関するもの。日本の有事を想定している。国連決議は国際社会が北朝鮮を制裁しようというもの。日本の有事を想定しているものを、国際社会、国連の憲章7章41条、一般的制裁に行為に適用するのは無理と言っている。
国際社会の作業に参加する際に原則を打ち立てればいい。国際社会のなかでどういう役割を果たすのか、憲法の枠内で、どう参加するのかの原則を立てることが大切。場当たり的な対応は国を大きく誤ることになる。国際社会の共同作業に日本は全面的に参加すべきと私は思う。首相も日本を全体の国益、国民の利益に関することには、考えをきちんと聞かせていただきたい。
首相 アメリカから言われたから、やるとは言っていない。我が国は当事者でもある。安保理の議長国でもある。何ができるかを考えるのは当然。周辺事態法を適用するとは私は言っていない。国民の生命・安全を守る義務があり、あらゆる法令を検討するのは当然。
代表 41条は強制力を伴う。漁船で船舶検査を行うわけではない。軍艦を使う。経済的制裁は平和的手段と考えては、最終的に間違う。強制力を伴うことにやらないというのか、参加するというのか、政府として原則を作らないと、その場その場の糊塗、打開に終わり、日本の将来にとっていいことではない。
首相 法令の中でできる限りのことをやるのは当然。
代表 法令、法令というが、日本の安全保障の最大の問題は憲法なんです。憲法論議がいつもでる。憲法上可能か、どうか政府として国民に知らしめるべきと申している。
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