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2006/06/15
【参院予算委】平野議員、日銀総裁の村上ファンド資本拠出を質す
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 参議院予算委員会で15日、小泉首相出席のもとで村上ファンド事件や社会保険庁の国民年金保険料不正免除問題を主なテーマに集中審議が行われ、民主党・新緑風会の平野達男議員がまず質問に立ち、日銀の福井総裁の村上ファンドへの資本拠出を中心に質した。
 
 平野議員は冒頭、ファンドへの資本拠出は動機が支援であろうが、市場から見れば投資に変わりはないと断言。資本拠出を日銀総裁就任後も保有し続けたことに根本的問題があると指摘した。続けて「日銀総裁は市場金利操作の最高責任者である」と述べた平野議員は、その金利操作によって株価の動向にも多大な影響を与え、その株価の動向への影響によってファンドの利益になるか損になるかの影響にも繋がると分析した。同時に、福井総裁は量的緩和を拡大してきた当事者でもあるとして、量的緩和がもたらすものとして市場には過剰流動性が出てきて、この過剰流動性は株価の増加に繋がるとも指摘し、「そのときにファンドに出資していると利益が増える可能性が出てくる」と述べ、福井総裁の行動は利益相反に相当すると思われても仕方がない状況だとした。

 そうした見解を示したうえで平野議員は、福井総裁が日銀総裁就任時点で村上ファンドへの資本拠出を解約しなかったことは不適切な処置だったと重ねて指摘し、小泉首相および福井総裁に見解を質した。首相は「日銀総裁から説明を聞いたが、その説明でいいのではないかと思う」などとするだけで明確な答弁を避け、福井総裁は「村上氏に対する激励の趣旨ということで、同じ職場の仲間といっしょにやったものであり、一任勘定であり、私の指図の及ぶところではない」などと答弁した。

 「支援であるから問題ない。日銀総裁は何も問題がない、1億円が10億円であり、100億円であっても問題がないという理解でいいのか」と重ねて質すと首相は、「どの額ならいいかどうか私はわからない」とはぐらかしの答弁。日銀総裁就任時に解約しなかったのは不適切な処置ではなかったかとの更なる質問に福井総裁は、「当時は適切な措置と判断した」と答弁。現在の認識はどうかとの重ねての平野議員の問いには、不適切か否かについては明言を避けた。

 続けて平野議員は、「小泉内閣の方針として日銀総裁は、合法である限り、金融資産をいくら持っていてもいいという見解か」と質問。与謝野金融担当大事は「勤労所得者が勤労で得て所得を税金で払ったうえでどこに投資しようがそれは個人の判断」などとはぐらかし、税金支払い後の財産をどういう金融資産に投資しようが差し支えないとする見解を示した。

 福井総裁が村上ファンドへの資本拠出を2月に解約した点について、「市場から見ればこういう見方もできる」と平野議員は前置きし、3月の量的緩和解除の影響による株価下落前に売り抜いたと見ることさえできると指摘。金融政策決定の権限をもっている日銀総裁のこうした行為は、一種のインサイダー取引、売り抜けとも見られるのだとした。

 「ゼロ金利を続けてきて、一方で量的緩和を解除して株価が上がってきた。そのなかで村上ファンドは相当儲け、資本拠出をした人にはリターンがあったはず」とも分析したうえで、ゼロ金利解除などの金融政策が株価に与える影響は大きい現実があるなか、その金融政策決定の権限をにぎっている日銀総裁が自ら株を持ち、株の運用で成り立っているファンドへ拠出しているという構造は、極めて問題だと重ねて指摘した。

「自分で株やファンドを保有しているということは、米国でもイギリスでも例がないこと。日銀総裁は李下に冠を正さず、一点の曇りもあってはならない」と述べ、日銀総裁はそうしたことが求められるポジションであり、法令に従えばいいのではなく、法令はもとより服務規程、内部規律以前の問題であるとし、この問題の重要性を再度考えてほしいと強い口調で平野議員は問題提起した。あわせて、一連のこうした行動から福井総裁を続けるには適さないのではないかとも語った。

 また、株保有の現状を質したのに対して福井総裁は「民間時代にいくつかの会社の社外重役をつとめており、そのために最小限必要な株式は保有し、そのまま凍結した状況で持っている」と説明したが、敢えて「凍結」という言葉を使うには値しない、単に保有し続けているのが実態が質疑から明らかになった。さらには村上ファンドへ拠出した1000万円の昨年12月時点での残高はいくらか質したのに対し、福井総裁は「拠出金は1000万円、その後一切追加していない」などとするだけで、評価額がわからないため残高は明示できないと繰り返し発言。平野議員は「昨日、質問通告をしたにもかかわらず残高がわかってないなどというのはどういうことか」と厳しい口調で指摘し、納税したからには昨年12月末には確定申告したはずで、残高の利益がわからないまま確定申告するのは不可能であり、答弁のあいまいさが浮き彫りになった。

 平野議員はさらに有価証券類は信託財産としている英国や、FRBの議長、理事は家族の分も含めて資産公開を義務付けている米国等に習って、日銀総裁、役員、政策委員の資産公開を検討すべきではないかと問題提起した。

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