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2006/11/14
日・フィリピン経済連携協定(看護師・介護福祉士の受入れ)にあたって
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2006年11月14日

民主党『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣
三井 辨雄

 経済連携協定(EPA)の国会承認を受け、来年度から2年間、看護師400人、介護福祉士600人の候補者を受け入れることが決まった。候補者は6か月間日本語などを学んだ後、フィリピンの資格を有する看護師・介護福祉士の候補者は研修・就労に移り、フィリピンの4年制大学卒業した候補者が介護福祉士になる場合は養成施設で研修を行う。日本の国家資格取得までの在留期間は看護師が上限3年、介護福祉士が上限4年で、取得後は引き続き看護師、介護福祉士として滞在・就労できる。

 民主党はEPA締結により、貿易及び投資の自由化及び円滑化が推進され、同時に幅広い分野において両国経済が活性化し、アジアの平和に寄与することを期待するが、医療分野にあっては今回の受入れにより日本における看護師や介護福祉士の労働条件が悪化することがないか、あるいは今後の条件改善の阻害要因とならないか、危惧の念を抱かずにはいられない。

 例えば、候補者を受け入れた病院や施設は、報酬面などで日本人と同等の待遇を保障しつつ、日本語などの学習環境も十分に用意する必要があるが、そのチェック体制については、所管の厚生労働省から前向きの答弁は得られていない。また、来年の介護福祉士法改正により、すべての志望者に国家試験が義務づけられる予定である。その際には、フィリピンにも日本人と同じ国家試験が課されるべきだが、それについてはまだ明らかでない。

 日本における看護師や介護福祉士不足の一つの大きな要因として、労働環境の低さに起因する離職が挙げられており、いわゆる潜在看護師は全国に55万人いるといわれ
る。フィリピンの候補者が日本の免許を取得するにあたって、労働者保護が徹底していないと、安価な労働力に転じ、結果的に日本人を含めた全体の労働環境が悪影響を受け、看護師や介護福祉士不足に拍車がかかるという悪循環になるのではないかという心配は払拭されていない。

 言葉の問題も指摘されている。6か月の研修期間で、薬の説明書を正しく理解する、電話で救急車を呼ぶ、病状を正確に伝えるといったことができるのか、何より看護や介護を受ける人とコミュニケーションができるのかといった懸念も出されている。

 さらに、受け入れ人数は2年で見直すとのことだが、見直しにあたっては体制や評価項目を明らかにし、2年間に日本とフィリピン双方の労働環境が悪化していないか、サービス水準が低下していないか、そしてフィリピンの候補者が同じ医療・介護現場で働く仲間として等しく受け入れられているかをきちんと検証し、その結果によっては受け入れ停止、あるいは縮小する必要がある。見直しにあたっては、必ず国会にてきちんと審議する必要がある。

以 上

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