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2006/11/15
【参院本会議】島田議員、感染症予防法改正案めぐり厚労相に質問
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 参議院本会議が15日開かれ、民主党・新緑風会の島田智哉子議員が質問に立ち、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案」をめぐり、柳澤厚生労働大臣、伊吹文部科学大臣らに見解を質した。

 冒頭、いじめによる自殺が相次いでいる問題に言及した島田議員は、自ら命を絶とうと思い悩む子どもたちに、「母親の一人として、子どもたちにお願いしたい。母は、君が、あなたが生まれてきてくれた時のあの喜びを一生忘れることはありません。電話でもインターネットでも何でもいい。とにかく、誰かに相談して下さい」と訴えた。同時に、子どもたちが緊急に駆け込むことができる場所の確保と情報提供に対応するよう、文科相、厚労相に注文をつけた。
 
 続いて、生物テロ対策の在り方をめぐり、テロに使用される恐れのある病原体の管理について、今まで、一切、法規制がなされてこなかった点を問題視し、本改正案により、病原体の管理体制について法的な根拠が設けられること評価できるとした。しかし、その一方で、感染症予防法は「感染症の発生予防とまん延防止」を目的とするものであり、そもそも生物テロの未然防止を目的とした規制法ではないとも指摘し、あえて感染症予防法に病原体管理体制の規定を盛り込むことについて、厚労相に説明を求めた。これに対し、厚労相は、入院や消毒等の措置を定める感染症予防法に一体的・総合的に規定することは、生物テロなど、人為的な要因も含め、法の目的とする感染症の発生および万延の防止に資するものであるとの考えを示した。
 
 次に、管理体制強化のための病原体等の分類について、厚労相に質問。今回の改正案で、病原体等の管理体制強化に向けて、4つに分類しているものの、病原体等の区分類型ごとの定義は、法文上明確にされていない点を島田議員は指摘。今回の、生物テロ対策のみを念頭においた病原体管理体制が、本当に「感染症の発生予防・まん延防止」という法目的を果たすに十分と言えるか疑問だと指摘した。厚労相は、分類は感染症の習得性などを考慮したものだと答弁。それぞれの病原体の特性に応じた適切な管理を確実に行うことが生物テロのみならず、天災や人災による感染症の発生・万延の防止に資するものあるとした。

 感染症専門家の養成と保健所の体制強化についても取り上げ、医療従事者の教育課程の中で、感染症に関する知識を深め、的確な診断が下せるような人材の養成が必要だと指摘。同時に、感染症対策の第一線機関、中核的機関としての保健所の体制強化の必要性に言及し、人員増強と、いざというときのための職員の訓練が必要であるとの考えを示した。

 また、危険な病原体を扱う研究施設の在り方をめぐり、エボラ出血熱など、感染力が強く致死率の高い病原体を扱うことができる施設、いわゆるP4施設が国立感染症研究所の1か所だけある点を問題視。P4施設で扱うべき病原体に感染したおそれのある患者の血液分析でさえも、海外の機関に頼らざるを得ない状況の改善の必要性を指摘した。政府としての施設の確保に向けた前向きな取り組みを要請した。

 結核予防法を廃止することは時期尚早だとの見方も示し、結核予防法を感染症法に統合すべきだと指摘。合わせて、新型インフルエンザ対策について、自治体、警察、保健所、病院の各機関相互の連携体制が整備された具体性を伴った計画策定を行うよう、政府に注文をつけた。さらには、肝炎対策のあり方にも言及。患者数はB型、C型あわせて約60万人、無症候性キャリアも含めると、300万人以上にのぼると推定されている実態を明らかにしたうえで、政府の肝炎対策の遅れを厳しく批判し、一日も早い、肝炎被害者救済の実現を要請し、質問を締めくくった。

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