14日午前、参議院教育基本法に関する特別委員会で、櫻井充、神本美恵子両参院議員が質問に立った。
櫻井議員は、安倍首相の所信表明演説の一節「教育基本法の早期成立を期し、高い学力と規範意識を身につける機会を保障する」を引用し、規範意識は歴史や伝統文化の中で育まれるものであり、政府が定めることではないと指摘。この考え方に立って教育基本法の改正を行えば、ある種の価値観を国が強要することにならないかと違和感を示した。
また、親の所得格差が将来の子どもの進学を規定している問題に言及。日本の経済成長を重視する考えを示した首相に対し、子会社や孫請け会社の状況や非正規雇用者の増加を例に、企業の利益が労働者に分配されていないと明確に指摘した。
櫻井議員は、民主党の法案提出者にも、教育の格差是正や予算配分、宗教教育について質問。鈴木寛議員が答弁に立ち、丁寧に説明を行った。櫻井議員は「理念法に目標を定める内容は、決して認められない」と見解を述べ、十分な審議を求めて質問を終えた。
続いて質問に立った神本美恵子議員は、やらせ質問のタウンミーティングによって世論誘導が明らかになった教育基本法改正案は撤回すべきだと迫った。
神本議員はまず、タウンミーティングでのやらせ質問問題に関してどう責任をとるのかを安倍首相に問い質した。首相は「すでに、財政再建のため、総理としての給与の1部を返納しているが、残りの分を今回3カ月間返納するとの判断をした」と答えた。神本議員は、「お金で済む話ではない」と、さらに迫ったが、首相は開き直りの答弁に終始した。また、神本議員は「調査委員会の報告でも世論誘導があったとしている。国民の間でも改正に反対、この国会で成立にこだわるべきでない、との声が多い。撤回すべき」と迫った。
次に、神本議員は、憲法との関係を質問。伊吹文部科学大臣が自民党の憲法改正草案との整合性を確認したと答弁していることを取り上げ、憲法尊重義務、立憲主義に反していると追及した。伊吹大臣は「法案提出の際、他の法律、条約などと背反していないかチェックするのは当然。この法案は現憲法に則り提出している」と答え、憲法の尊重義務、立憲主義には反していないとした。
神本議員は首相にも答弁を求めたが、首相も「自民党の憲法改正草案も立憲主義に則っている。教育基本法改正案は現憲法に則り提出している」として、神本議員の疑念、追及はあたらないとした。最後に、神本議員は、政府の改正案は、憲法の思想・宗教の自由、幸福追求権に反している疑いがあるとして、撤回すべきだと主張して質問を終えた。
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