衆議院本会議で15日、民主党はじめ野党4党が提出した安倍内閣不信任決議案が審議され、野党4党を代表して菅直人代表代行が不信任決議案提案の趣旨説明を行い、また牧義夫議員が賛成討論に立った。
菅代表代行は強い姿勢で安倍内閣不信任理由を訴えたが、採決の結果、与党などの反対多数で否決された。
「本院は安倍内閣を信任せず。右決議する」と、菅代表代行はまず、きびしい口調で決議案の案文を朗読。そのうえで、具体的な不信任理由として、(1)タウンミーティング(TM)での「やらせ」による世論誘導(2)いじめや未履修問題に関する具体的な改革案も示さないまま行われた教育基本法改正案の衆参両院での強行採決(3)麻生外務大臣の核保有発言(4)イラク戦争に対する安倍首相の姿勢(5)郵政造反組みの自民党復党により昨年の総選挙のやり直しが必要となった点(6)格差社会の是正に安倍内閣が取り組んでいない点(7)障害者自立支援法による大きな影響を放置している点(8)道路特定財源の扱いに見られるようにニセの改革を進めようとしている点(9)官製談合をやめさせようという姿勢が全く見えない点(10)小泉政権に引き続き地方の切捨て政策を継続している点(11)首相の就任前と就任後の政治姿勢にブレがあまりにも大きく、信用できるか疑念がある点――など11項目を列挙。それぞれについて、詳細に意見陳述を行った。
「まず『恥を知れ』という言葉を私はあのTMの報告書を読んだときに頭に浮かんだ」と痛烈に批判した菅代表代行は、TMが恥知らずの行為であったことは国民周知のものだと指摘。「首相は双方向の意見交換だというが、やらせ質問が双方向の意見交換といえるのか」と批判したうえで、「俸給3カ月分(約100万円)の国庫返納」をもって幕引きをはかろうとする首相の姿勢に疑問を呈し、TM開催には19億9000万円もの税金が投入されていることを明らかにしたうえで、首相の返納をもって解決しようとすれば約500年かかると指摘した。
また、教育基本法改正案の強行採決に関しては、いじめ、未履修、学力低下、不登校など、教育現場が抱える諸問題解決への政策は何ら示されていないと分析。政府案が成立しても何の解決の糸口も見出せないとして、そうしたなかでの強行採決に異議を唱えた。
さらに、麻生外相の核保有発言に関連しては、北朝鮮の核実験問題をはじめ、世界的に核拡散や核戦争の危機が高まっている印象があるなか、非核三原則を国是とする日本の位置づけの重要性を改めて表明。そうしたなかでの、麻生外相をはじめとする安倍内閣の核保有発言はきわめて問題だとし、安倍内閣の姿勢を問題視した。
牧議員は賛成討論のなかで、小泉政権下で負担増に喘いでいた国民は安倍内閣誕生を期待を持って受け止めたとの見方を示したうえで、「しかし、国民の期待は見事に裏切られた」と指摘。徹底した国民的議論が不可欠な教育基本法改正案の強行採決に見られるように、「不誠実、真摯な姿勢に欠けていると言わざるを得ない」として、「支持率の低下はまさに国民の怒りの現れである」と述べ、決議案への賛成を表明し、全議員に賛同を呼びかけ、討論を締めくくった。
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