小沢一郎代表は5日昼、7日に放送予定のNHK「日曜討論」の収録に臨み、参議院議員選挙への取り組みや諸政策課題について所感を語るとともに、「国民の生活を守るのが、政治の要諦、務めだ」と指摘。「政治は生活である」との民主党の基本的考え方を、改めて説き起こした。
小沢代表は収録の冒頭、参院選の意義について、「日本の将来を決定づける選挙になるだろう」との認識を示しつつ、「現在の自公政権にストップをかける」との意気込みを語った。そして、「われわれが過半数を占めれば、自民党にとっては壊滅的な打撃を受けるだろう」とも述べ、「主権者の選択として、本当に大事な選挙になる」とした。
発足3ヶ月の安倍政権についても小沢代表は、「強い者が生き残ればいいという、基本的な政治の考え方は変わっていない」と指摘。発足後わずか3ヶ月で政府税制調査会長や閣僚が相次いで辞任するなど、「成立3ヶ月という内閣としては、ちょっとお粗末すぎる」と厳しく批判した。
加えて小沢代表は、安倍首相の政治姿勢についても、「あっちこっちの顔色をうかがいながら妥協をしているという風にしか見えない」と、厳しく指摘。佐田前行革担当相の辞任に至った虚偽記載問題についても、「なんであんなことになったのか、全く分からない、意味不明だ」とし、「政治資金にまつわることなので、総理大臣を筆頭にきちんと国会で事実関係を報告すべきではないか」と指摘した。
安倍政権の支持率低下については、「安倍総理自身のしっかりした、明確な考え方がないままに、ただ何となく選挙で不利じゃないかとか、そういうことで妥協してしまっている」との見方を改めて示し、「そういうところが国民の不信感を買っているのではないか」などとした。
民主党が、「政治は生活である」「生活維新」など「生活」を中心に訴えを展開していることについても小沢代表は、「みんなが生き残っていけるようなシステムをきちんとつくった上での自由競争でないと、世の中が本当にメチャクチャになってしまう」との認識を示し、「美しい国」という言葉自体は良いとしても、「今、そんな言葉で遊んでいる時代ではない」と厳しく指摘した。そして、「国民の生活を守るのが、政治の要諦、務めだ」とし、「本来の政治の役割をわれわれは自覚して、それを訴えたい」などと述べた。
小沢代表は雇用や非正規社員の問題についても言及。「景気がちょっと悪くなれば、みんな切り捨てられるという話だから、こういう形は好ましくない」とし、「一定の非正規社員の割合をクォータ制で決めるべきだ」との考えを述べた。その上で小沢代表は、「非正規社員も正規社員と同じように、給料も社会保険もきちんと払っていくという仕組み」の必要性を訴え、こうした内容を次期国会に「基本法の形でも、出していければ一番良いと思っている」などと語った。
年金問題については、基本的考え方として「基礎的部分は国費で全額充てる」とし、「小泉政権の下で、既に消費税で言うと3%以上、8〜9兆円の増税になっている」ことから、「消費税を増税するということは、当面私どもはとらない」との考えを小沢代表は改めて披露。「行政のムダを、抜本的に仕組みを変えて省く」ことで、十分に財源は確保できるとして、その内容を説いた。
小沢代表は更に、29ある1人区について、そのうち「25は、自民党と対等に勝負できるという選挙区の態勢をつくりたい」としつつ、「1人区で15以上獲れれば、トータルで、もう間違いなく50以上獲れる」との見通しを示し、そうなれば「他の野党も合わせて過半数を得られる」との見方を示した。
また、野党間協力についても、「今の自公政権では国民のためにならないという風に考えている人」は、「最終的に協力し合える」との見方を示し、次期国会でも「主張の範囲内で折り合えるところがあれば、それは良い事だ」と指摘。「基本的に、私たちは現在の仕組みを変えようという考え方だから、今の与党とは意見が違う」として、そうした方向性を鮮明にしていくとの考えを改めて語った。
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