18日午後、衆院本会議において、黄川田徹衆院議員が政府提出の「農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案」等の3法案に反対し、民主党提出の「食料の国内生産及び安全性の確保等のための農政等の改革に関する基本法案」に賛成する立場から討論を行い、政府の新たな農業政策の問題点を幅広く指摘し、民主党案の優位性を強調した。両法案ともに、農業政策の基軸を農産物の価格保障から農業者の所得保障に転換しようとするものであるが、その対象や方法などにおいて大きな違いがある。
黄川田議員は、政府案は経営安定対策の目的を食料の安定供給としながら、食料自給率目標は45パーセントとしたままであることを指摘し、戦後農政の大転換という触れ込みと異なりお粗末だと批判した。これに対して民主党案は、食料自給率を将来的に60パーセントとすることを明記し、かつ目標達成への道筋を明らかにしていると述べた。
黄川田議員は、政府案は所得安定対策の対象農業者を経営規模という形式的要件で選別しているために3割の農家しか対象とならないことを指摘し、生産放棄などによってかえって食料自給率の低下を招くとともに、農村地域社会は崩壊の危機に瀕すると批判した。さらに黄川田議員は、政府案にある対象者を拡大する特例措置の効果に疑問を投げかけた。
これに対して民主党案は、計画的生産を要件として幅広い販売農家を所得保障のための直接支払いの対象とし、農業全体の底上げを図るため総額1兆円の直接支払いを実施すると述べた。
黄川田議員は、政府案は米の生産調整の継続を前提としていると指摘し、強制的な減反継続であると批判した。これに対して民主党案は、計画的生産を行い、米以外の農産物の単価を有利に設定することで、米以外の農産物への転換を自主的に促す方法を取っていると述べた。
黄川田議員はさらに、民主党案には漁業生産の確保のための個別の漁獲可能量制度の導入や食料の安全性の確保のための表示制度や検疫体制の強化などが盛り込まれているが、政府案にはこれらの政策がないことを指摘した。
黄川田議員は最後に、「日一日と集落が消えていくような政治に与することは出来ない」と述べ、民主党政権下では真の農政改革が実現されることを訴えて、討論を終了した。
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