ご来賓の皆様方のご来臨を含めお集まりのすべての皆さん、おはようございます。今日まで日本という国を愛し、日本人そして世界の人々を愛してこられた、それが ゆえに日本という国をいま変えなければならないとご努力されておられる皆さん方 に、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
2000年という新しい千年紀のスタートに、民主党がご当地神戸で党大会を開催する ことができるということを、その意義を、私たちはしっかりと見つめていきたいと思 っています。
本岡会長のお話もございましたが、私も昨日一日、神戸の視察をしてまいりまし た。たしかに道路もよくなり、港も整備をされて、さまざまな復興住宅、支援の工場 も立ち上がってきています。モノという意味においては8割復興、まさにそれが実現 されたと言えると思います。
しかし、まだまだ人の心の中まで必ずしもこの思いがついえ去ったわけではありま せん。完全にいえたとはまだ言えない状況でございます。だからこそ、いまでも残念 ながら孤独に耐えかねて命をみずから絶たれる方が続出しているのが現実でございま す。私たちはご冥福を先ほどお祈り申し上げたとともに、いかにして心のケアという ものをもっと政治の立場からしっかりと行っていかなければならないかを認識しなけ ればいけないと思いますし、同時に、徹底的に市民の側に立った政治というものはい かにあるべきか、そんな視点から、きょうご来会の皆さん方にも、私ども民主党の原 点の問題でありますから、ご理解を深めていただきたいと思っています。
と同時に、日本自体がいま総崩れの状況じゃありませんか。この総崩れの状況か ら、いかに早く日本を立て直すかという大きな命題、私たち政治にかかわるすべての 者の責任だと思います。そんななかで、きょうの党大会、ぜひ皆さん方に積極的にご 参画を願いたいと思っています。
さて、その日本総崩れの大きな原因、私は4つの危機感に分類をしてみました。日 本はいま4つのモンスター、怪物が暴れ回っていると言うべきでしょう。
その1つは、総保守化の危機感でございます。数にものを言わせ、大政翼賛政治、 まさにそれに匹敵するような政治を行いながら、盗聴法の成立を図り、住民基本台帳 改正法案を成立させてきた。国民総背番号制への移行、このような、国の権限をいつ の間にか徐々に徐々に強めていくという方向に、私たちは強い危機感を覚えます。
2つ目には、まさにばらまきの政治、自分たちの保身のために、国家財政、国民の ためと言いながら、自分の選挙目当てでばらまく。結果として景気は完全な回復には ならない。ツケは600兆をはるかに超えてしまう。このようななかで私たちはまさに 日本全体が経済的にも沈没してしまうのではないかという大きな危機感を持たなけれ ばなりません。
いま1つは、対米べったりの危機感でございます。アメリカに依存をしてきた、そ れで日本は安全だった。たしかにそうかもしれない。しかし、世の中は変わってきて いる。アジアの一国としての日本のあり方をいま一度見つめ直すときになっているの ではないか。にもかかわらず、相も変わらず経済においても安全保障においてもアメ リカの声ばかり聞こうとする。それに対する危機感を強く持たなければなりません。
4つ目の危機感は、まさにモラルの破壊でございます。国全体、大きくモラルが問 われてきている。ポルノの問題もあるでしょう。警察の不祥事もあるでしょう。科学 技術は世界一だと威張ってきた日本が、あのJCO、臨界事故を起こしてしまった。 科学技術もモラルが崩れてきている。それもあるでしょう。同時に、最も根源的に問 題なのは、自民党を中心とする日本の政治、政治自体のモラルが崩れていることであ ります。つい先日も宮城で小野寺議員、自民党の議員でありますが、金品をたくさん ばらまいた結果、辞職をせざるを得なくなりました。一方で藤波議員はいまだに議員 辞職をされていません。自民党が銀行に対して献金を要請したのではないかというよ うなうわさもございます。まさにカネがすべてだと言わんばかりの政治が、このよう な総崩れ現象を引き起こしてしまったということを、私たちは強く危機として認識し なければならないと思う。
だとすれば、その解決の道、私ども民主党としては大きく5つの柱を立てていきた い。
強い経済の回復に向けては、私が常日ごろから申し上げておるような情報技術革命 (IT革命)や規制改革ということを断行する勇気を持ちながら、一方では財政規 律、いまこそ規律を持った財政をしっかりと国民の皆様方とともに運営をしていかな ければならない。その覚悟を持つことだと思います。
同時に2つ目には、社会政策を重視する。私の言葉で言わせていただければ、友愛 の市場経済というものを、いかにあるべきか、新しい労働環境のなかでいかに私たち がしっかりとした雇用環境を見出していくことができるか。大変に大きな課題だと言 えましょう。
あわせてNPOの皆様方への活用。国民全体をしなやかな経済・社会構造にするた めのNPOというものの発展を私たちは強く求めていかなければなりません。
4つ目の自立した外交政策は、私ども何度も申し上げておりますからここであえて 強調するつもりはありませんが、きわめて必要な日本の外交姿勢だと思っています。
国の形というものを大いに議論しようじゃありませんか。特に個というもの、個人 というもののしっかりとした位置づけ、権利というものを私たちは求めていく方向か らの、リベラル側からの国のあり方というものをしっかりとつかみ取っていきたいと 思います。それは連邦分権国家がそれであり、国民投票、住民投票、いま吉野川の可 動堰問題で徳島県で住民投票が行われておりますが、まさにそれが1つの大きな例だ と思っています。このような議論を行いながら、さらに首相公選制の是非などもしっ かりと問うていく。そんな対応を国のあり方のなかで求めていくのが民主党ではない かと思う。
「自民党と民主党、どこが違うの? さっぱり違いが見えないじゃないか」、そん なことを言われて久しい。しかし、いま申し上げたようなことを自民党に求めても、 残念ながらできない。なぜできないか。自民党は、日本の未来をしっかりしなければ ならないとわかっていても、その方向に向かっては手直ししかできないから、残念な がら目的を到達させることはできない。既得権益に守られている政党、そのような既 得権益の発想から脱却することができない政権には、私たちは未来を任すことができ ない。そんな思いのなかで、民主党こそ未来に対してしっかりとした責任を自覚しな がら、既得権益というものからは解放された、えこひいきのない公平・公正な社会 を、不条理に対しては徹底的にその除去に向けて努力ができる、そんな政党をつくっ ていかなければならないと思っています。
アメリカではスローワールドとファーストワールド。遅々として進まない、そんな 世界に対して、迅速な結論を出す、そんな世界、それが求められています。いままで の日本の政治というものは、まさにスローワールドの象徴ではなかったか。だとすれ ば私たち民主党は、しっかりとした政策を国民の皆様方に示しながら、一刻も早く迅 速な意思決定ができる、そんな社会をつくるために努力をしようではありませんか。 それができるのは民主党しかありません。2000年のこのときに新しい政府をつくる可 能性があるのは、民主党しかありません。
ならば、どのようにして政権をつくり出していくのか。しばしばマスコミの皆様方 からお尋ねがあります。あの党はどうだとか、この党を分裂させるとか、私も勝手に いろんなことを申し上げていることがございますが、いま一番大事なことは、民主党 みずからの力をしっかりと蓄えていくということ。民主党自身の力で単独でも政権を 取るぞという、その意思としっかりとした政策を世の中に問うことではないでしょう か。(拍手)
それができたときに、必然とした流れが起きてきます。国民の皆様方が「こんな民 主党では」と思っておられるときに、政権というものはめぐってきません。国民の皆 さんが、「この自自公の化け物をなんとか早く倒しなさい。早く解散に追い込んで、 新しい政権を民主党を軸につくってください」というメッセージを出していただくと きに、新しい政府を民主党を軸につくることができるんじゃありませんか、皆さん。 (拍手)
その声をいかに国民の皆様方からいただくことができるようになるか。それはまさ に民主党自身の努力がなければいけません。気概を持たなければなりません。
2000年という大変大きな節目のとき、国民の皆様方が「この日本を変えなければい けない。自自公政権を倒さなければいけない」。大きな宇宙意識のなかでー私は「宇 宙人」と呼ばれていますからあえて申し上げるならば、地球を超えた宇宙意識のなか で、この国に生まれ育ったことに感謝を申しながら、だからこそこの日本、いまこそ 変えるチャンスだ。千載一遇のチャンスがめぐってきたと。そんなご理解のなかで、 お互いに気概を持って頑張っていこうじゃありませんか。
不可能なことはありません。20000年のこの年に民主党が頑張れば、日本はもっと もっとよくなれる。日本をもっとよくしようじゃありませんか。皆様方のご協力を心 からお願いを申し上げて、代表としてのごあいさつといたします。ありがとうござい ます。(拍手)
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