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2000/01/16
ダイジェスト版:民主党選挙政策「新しい政府」を実現するために
現在と未来に責任を持ち、「最良の国・日本」を創る
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民主党は16日の定期党大会で、次期総選挙に向けた選挙政策「『新しい政府』を 実現するために−−民主党は『最良の国・日本』を創る」を採択した。

 この政策は、民主党政権政策委員会(座長・中野寛成副代表)が昨年8月にまとめ た政策提言を元に、鳩山代表を座長とした選挙政策委員会が、作業委員会(主査=玄 葉光一郎衆議院議員)を中心に、加筆・修正、編集し直したもの。総論にあたるサマ リーと7章からなる各論で構成されている。冊子はコンパクトなB6変形版・174 ページにまとめられた。

 ダイジェスト版として党大会で配られた「民主党主軸政権のための政策のポイン ト」の全文を掲載する。


◆「民主党主軸政権のための政策のポイント」

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1 政権を奪(と)るために
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 この政策集は、来るべき総選挙において、民主党が政権を奪りに行くとの決意を込 めてとりまとめたものである。

 国民は、先送りとばらまきを繰り返し、積年のしがらみを断ち切ることのできない 自民党中心の政権がこれ以上続くことに強い危惧を抱いている。国民の立場に立った、現在と未来に責任を持つ「新しい政府」を実現することが、いま、最も求められ ている。

 600兆円を越える巨額の財政赤字の垂れ流しは、小渕自自公政権の無責任と無節操 を最も端的に表している。一体、この巨大なつけ回しの責任を誰が負うというのであ ろうか、国民は将来に強い不安を抱いている。

 民主党主軸の「新しい政府」には、この不安を解消し、安心できる日本社会を築き 上げる仕事が期待されているとわれわれは思っている。



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2 基本理念
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基本理念は、昨年秋にとりまとめた民主党政権政策をベースにしたものである。

(1)日本を「最良の国」とする。


 「最良の国」とは、「最強の国」でも「最大の国」でもなく、世界の国々や人々か ら敬愛され、国民の多くがこの国に誇りを持つことができる、品位と活気のある国の ことである。

 民主党は、何よりも、子ども育てるのに最良の国、年を取るのに最良の国、仕事を するのに最良の国をめざす。そのために、いま必要なことはこの新しいミレニアムの 到来にふさわしい最良の政府を創り出すことである。


(2)民主党は「社会の再生」に挑戦する。


 当面する「経済の再生」はもとより、国民に将来不安をもたらしている社会基盤の ゆらぎとモラルの荒廃を解消するため、「社会の再生」にチャレンジすることが重要 である。

 日本の組織社会に蔓延しているモラル・ハザードの防止や犯罪に対する厳格な対 処、コミュニティの再生と活性化、とりわけ学校選択の自由化などによる学校改革 や、幼児から成人まで多様な教育機会を提供する生涯学習社会の確立に全力をあげ る。


(3)社会の再生は、「IT革命促進」と「新・民主主義」によって達成する。


 「社会の再生」は、独り政府のみによって達成できるものではなく、ましてや官僚 主導の政治を続けている限りはその実現を望むことも困難である。国民一人ひとりが 参画し責任を持つ新しい民主主義を確立することを通じて、この課題の達成に挑戦す る。

 IT(情報技術)革命の成果をよりよく活かし、「人間の顔をした市場経済」の実現 を進める。誰もが公平に安価で必要な情報にアクセスできるインターネット社会の形 成を促して、ネットワーク時代にふさわしい参加型政治の実現を目指す。 民主党 は、IT革命促進と新・民主主義の実現にチャレンジする。



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3 7つの挑戦課題
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(1)中央集権の時代は終わった、日本を「分権連邦型国家」へ転換する。 


 民主党は、国のかたちを現在の中央集権型から分権連邦型へと転換する。国の役割 を限定し、地域に身近な政府をつくり出し、小さな中央政府を確立する。これによ り、地域の自己決定と自己責任に基づく新しい社会を創り出す。

 国と地方の税源比率が「1対1」になるよう、大胆な税財源の配分に着手する。基 礎自治体の合併促進については、画一主義をとらず、自治体の自主性にゆだねるもの であるが、概ね、全国1000程度の基礎自治体と10前後の広域自治体を将来の姿とし て展望することができる。


(2)社会の未来を決定づける「学校改革」を推進する。


 次代の人材を育てる教育がいま大きな困難を抱えている。その大きな要因に、急速 な社会変化が子どもたちの世界を様変わりさせてきたことに加え、メディアの氾濫の 中で旧態依然たる画一主義的で中央統制的な教育制度を続けてきたこれまでの教育行 政がある。

 地域の責任と創意によって子どもたちを教育する社会的な力が失われている。現在 の文部省は解体し、いま再び、学校経営や学校教育をコミュニティに取り戻し、学校 長の公募化を含めて、地域の自主性と自己責任で時代に応える教育が実現できるよう にする。

 時代の変化に対応できるたくましい子どもたちを育むため、初等教育の段階から起 業の基礎知識を身につけるなどの改善にも取り組む。また、大学教育に民営化や公立 化などを促して競争原理を取り入れ、その活力の中からより創造的な人材が生まれる 仕組みへと移行する。


(3)不正と犯罪には厳しく臨み、「ルール重視の公正社会」を実現する。


 日本では、いま、お年寄りや女性をねらった通り魔事件や猟奇的犯罪、児童ポルノ の横行などに象徴されるように、社会のモラル的基盤が底から崩れようとしている。 大人社会で社会的地位にいる人々が責任をとらず、企業や役所の中でもモラル・ハザ ードが生まれている社会に、こうしたモラル以前の犯罪を蔓延させる勢いを止める力 はない。

 民主党は、社会の基本的モラルを確立するという前提に立ち、犯罪には厳しく対処 し、犯罪の原因にも厳格に臨んで、社会の再生に挑む。インターネット犯罪などに対 応できるサイバーポリス機能の充実を進める。児童ポルノには厳罰を以て対処する。

 不正の温床、官僚の天下りを厳しく規制し、税金の不正な使用を認めない仕組みを 確立する。


(4)介護・育児の社会化を進めて、「徹底した安心社会」をつくる。


 国民の多くはいま、介護制度問題に強い不安を抱いている。介護保険をめぐる自自 公政権の右往左往ぶりは、その国民の不安によりいっそうの拍車をかけるものとなっ ている。

 民主党は、高齢社会で誰もが直面するこの問題に真正面から挑むべきだと考えてお り、先送りや小手先の調整で事を済ますことなく、介護の社会基盤をしっかり確立す ることを最優先する。無駄な公共事業は大胆に削減し、その財源を集中的に投入する 決断力も示さなくてはならない。

 介護とともに育児の社会化を徹底する。24時間保育やゼロ歳児保育の整備に全力を あげる。介護や育児のための休業についてはその所得給付を充実する。


(5)民主党は、多様な働き方を受け入れる「新しい完全雇用」を確立する。


 大量の失業と雇用不安をもたらす政府は「責任ある政府」とは言えない。雇用の開 発と平等な雇用機会の保障は社会の責任であり、政府の基本的任務でもある。

 現在放置されている募集・採用時における雇用の年齢差別を原則禁止する。また、 失業なき労働移動を促進するため、人材移動を支援する職業紹介や職業能力開発事業 の拡充と民間解放を積極的に進める。残業の規制や抑制、長期休暇の取得促進などを 通じて、互いに仕事を分け合うワークシェアリングを促進する。パートタイマーやフ リーター、人材派遣事業による雇用を含めて多様な就業形態の仕事が公平な条件で確 保できる、「新しい完全雇用」体制の実現に挑む。そのために必要な年金のポータブ ル化など職業移動しても継続可能な制度への改革に取り組む。

 IT革命に基づくデジタル経済の確立やスモール・ビジネスの起業家を支援して、 雇用の創出に全力をあげる。


(6)世界のモデルとなる「循環型社会」の実現をめざす。


 21世紀は、「環境の世紀」である。すべての政策や事業の上位に「環境」を位置づ け、持続可能な経済を支える循環型社会の確立につとめる。このため、環境基本法に 「将来世代に対する責任」を明記するとともに、ゴミ排出の削減と資源の再利用を促 し、不当な投棄を厳格に規制する「資源循環・廃棄物管理法」の制定をめざす。ま た、政治の強いリーダーシップを発揮して環境税の導入を実現する。

 世界にも誇ることのできる省エネ技術の開発を戦略的重点として位置づけてその科 学技術研究に集中投資し、「省エネルギー国家・日本」の確立にとつめる。とりわ け、風力や太陽光などの再生可能エネルギーが総発電量に占める割合を2025年までに 10%以上とすることをめざし、ポスト化石燃料の時代に備える。

 東アジア地域の環境保全に対する国際協力に全力をあげるなどして、日本が世界の 環境法制をリードする役割を果たしていく。 


(7)主体性ある外交を確立し、「平和を創る国・日本」を構築する。


日本を「平和を享受する国」から「平和を創造する国」へと転換する。このため、外 交に国としての主体性を取り戻し、積極外交を展開していく。とりわけ、2002年のワ ールドカップの共同開催を一つの梃子として、日韓間の経済協力及び文化交流を飛躍 的に前進させる。また、中国、アセアンとの外交を通じてアジアにおけるリーダーシ ップを発揮し、地域の平和と繁栄に寄与する。

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との対話を促進し、日本から積極的に信頼関係を 創り出していく。また、ロシアや中央アジアの国々との協力にも力を入れ、その友好 関係を深めて信頼の構築につとめる。

 安全保障政策については、日米関係を基軸としつつ、日本の主体的な政策展開の推 進をめざす。また、国連の機能をより活性化するために日本としてなすべきことを明 らかにして、その役割を果たしていく。 


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 以上の未来に向けた新しい課題にチャレンジするためにも、目先のことにとらわれ ることなく、将来に備えた財政基盤の確立をはからなければならない。民主党は、 「財政健全化10年計画」を策定し、当面の経済活性化とともに財政の建て直しを同 時並行的に進めていく

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