衆議院本会議で20日、内閣提出の所得税法等の一部を改正する法律案並びに公債の発行の特例等に関する法律案に関する趣旨説明が行われ、池田元久議員が質問に立った。
冒頭、池田議員は「問題を正確に把握してこそ対策を立てることができる」として、格差の存在、拡大に関する首相の現状認識について質問。安倍首相は努力した人と汗を流した人が報われる社会にしていく、結果平等を認めるような社会にはしない、などとしたが、明確な現状認識は示されなかった。
また、「経済が成長すれば、雇用の拡大と非正規雇用者に正規雇用者への道を開いていく」などと楽観視する安倍首相の姿勢を問題視し、非正規労働者や下支えしている人たちは結局取り残されることになると指摘。ここ数年、正規労働者を非正規労働者に置き換えた企業を中心に景気が回復してきた実態を明らかにしたうえで、「幻想をふりまいてはならない」と首相に釘を刺した。
さらに、「政調戦略」「上げ潮路線」などと言葉ばかりが踊る安倍政権の政策について、抽象的な表現ではなく、わかりやすい説明をしてほしいと求めたが、首相はパートタイム労働者の待遇改善、最低賃金の見直しなどを列挙するに留まった。
池田議員は続いて、企業収益が上昇する一方、雇用者の報酬は総じて減少傾向にある状況が続いている点を指摘したうえで、「自公政権がサラリーマンに増税し、企業に減税するというのは租税対策としてはあべこべ、格差是正に逆行する」と批判。
池田議員は同時に、政府税調が答申で法人税の実効税率の引き下げを真っ先に謳う一方、与党税調は大綱で07年度をメドに消費税を含む抜本改革に取り組む、としている点を取り上げた。この動きに関連して、日本経団連の御手洗会長が法人税の実効税率を10%引下げるとする一方で、財政再建のため消費税を2%引き上げると提言していることについて、「金額にすれば4兆円あまりでほぼ同額」だと池田議員は分析して見せ、法人税の引下げを国民負担増で賄おうとしている実態を浮き彫りにした。
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