22日午前、衆議院予算委員会の公聴会が開かれ、枝野幸男衆院議員がキャノンユニオン・宇都宮支部の大野秀之支部長および、可児商工会議所の日比野良彦会頭、政治評論家の森田実氏の各公述人に対して、格差社会の要因にもなっている労働環境の実態について意見を求めた。
枝野議員は、大野公述人に対して、ユニオンが把握している非正規雇用の労働実態について質問。大野公述人は、長年勤務した挙句に解雇されるケースの他、過酷な労働状況や非正規雇用者間での待遇の差にも言及。「賃金は安く、仕事を教えている間に新入社員が辞めてしまう」と悲惨な状況を訴えた。
枝野議員はまた、キャノンの社長であり経団連会長の御手洗氏が「国際競争が激しいから」という理由で人件費削減を推し進める一方、役員の収入や株主の配当が年々増加する実態を指摘。大野公述人は驚きながらも「海外に工場が移されると自分たちの職場がなくなってしまう」と述べ、国内に工場を残すためには人件費削減も仕方ないとの認識で一定の理解を示した上で、御手洗氏に対しては「自分たちは良い製品を作るよう頑張っているし、やりがいもある。会社の利益につながることは嬉しいが、現場は不安で技術の伝承もできていない」と訴え、正規雇用の道への理解を求めた。
日比野公述人は、中小零細企業経営の実態について「頂上寸前で諦めるのが零細。その時点で10万円なくても不渡りになる」と答え、「お金がなければ再チャレンジできない」と厳しい現実を訴えた。
地域の企業について問われた森田公述人は、「地域の人々が粘り強く頑張っている」としながらも、地方分権を担うべき人が少なく、意欲が乏しくなっている現状を危惧。国に対して地方分権の担い手を育てる必要があると要請、併せて活発化している商工会に対する理解も呼びかけた。
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