枝野幸男議員は23日午後、雇用労働問題等集中審議が行われた衆議院予算委員会で、安倍政権に対して、キャノンによる派遣法違反をはじめとする雇用の実態について見解を質した。
冒頭枝野議員は、小沢一郎代表の事務所費公開に関連して、安倍首相の認識及び指導力について質問。疑惑が指摘される松岡農林水産相、伊吹文部科学相に対して、首相から事務所費の公開を勧めるよう要請した。しかし首相は、消極的な態度を貫き、要請に応える意志は見られなかった。また、佐田元行革担当相に対して重ねて参考人招致を求めた。
次に枝野議員は、22日の公聴会でのキャノンユニオン・宇都宮支部の大野支部長の陳述を受け、キャノンの派遣法違反と社長である御手洗氏の経済財政諮問会議委員としての適格性について政府の見解を求めた。安倍首相は「国際競争に勝ち、業績を上げている経営者としての手腕とビジョンを評価。御手洗氏個人の見識に着目している」として、あくまでも御手洗氏個人への期待を強調。度重なる是正指導を受けている偽装請負や、最先端技術を担っている現場雇用者の不遇な待遇を無視した答弁を前に、「このような安倍総理の姿勢では格差是正改革は進まない」と批判した。
また、高度成長期と現在との違いについても言及。「輸出関連産業のおかれている状況が違う」として「製造業においては、国際競争、品質競争のなか、コスト削減のプレッシャーは留まることがない」との見解を示した。そのうえで米国を例に、今後は教育・医療・介護を中心として非製造業を柱にすべきだと言明。「行政がルールを守らせ、雇用を保証、収入を安定させることで質の良いサービス提供ができる」との考えを明らかにした。安倍首相は、非正規産業についても規制緩和を進める姿勢を見せ、格差社会の一因とも言われる規制緩和への認識の甘さも露呈するかたちとなった。
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