国民投票法案が参議院本会議で16日午前審議入りし、民主党・新緑風会を代表して簗瀬進議員が質問に立ち、審議時間不足を問題視するとともに、法案のさまざまな問題点を指摘した。
冒頭、簗瀬議員は、「あまりにも性急な国民不在の審議強行は、憲法改正権者としての国民に対する重大な背信行為である」と批判。安倍首相が憲法改正を参議院選挙の争点にすると発言したことによって、それまでの党派を超えた本質的な議論が無視され、一転、党利党略によって強行採決されたことへの無念さと怒りをあらわにした。
また、他の重要法案と比較しても審議時間が短く、国民投票法案という憲法に準ずる高い規範性を必要とする法案として明らかに審議不足であると指摘。「参議院においては手続法の議論は白紙状態である」と語り、審議を深めるべきと指摘した。
簗瀬議員はさらに、最低投票率についても言及。今回、規定を設けなかった概ねの理由として、ネガティブキャンペーンによって国民の自由な意思形成が妨げられることや、最低基準を設けている大半の国がその用件を憲法自体に規定しており、法律で最低投票率を設けること自体が憲法違反の違反の疑いがある、という二点を列挙。その上で、極めて低い投票率によって憲法改正が行われることの問題性を重視し、この点のみにおいても、改めて国民の意見を聞く必要性があるとの見解を表明した。
これに対して答弁に立った保岡衆議院議員は、国民投票法案は、憲法改正権者としての国民の主権を確立するものであると主張。国民投票法案の必要性と、強行採決に見られる性急な審議とを混同した答弁となった。審議時間不足については、「参議院は衆議院で足りないところを補うところ」などと発言。参議院の存在そのものを否定しかねず、物議をかもす結果になった。
また、最低投票率については、「国民の関心の薄い憲法改正においては最低基準に達しない可能性がある」と答弁して、国民の幅広い理解を得るという根本的姿勢の欠如が明らかになった。
簗瀬議員は「18歳以上」と規定しながら、付則の措置が講じられなければ「満20歳以上」のままとなりかねない投票権の年齢の問題をはじめ様々な問題を指摘、最後は参議院における慎重審議を強く求め、質問を締めくくった。
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