松本剛明政調会長は20日午後、衆議院教育再生特別委員会で質問に立ち、民主党「教育力向上3法案」について法案提出者の田島一成、松本大輔、笠浩史各議員に質すとともに、安倍首相に対して教育予算のあり方などについて確認した。
教育職員免許制度改革法案について「教育の実情、教員を取り巻く環境、学校現場の実情をどう考え、法案を作成したか」と松本政調会長は質問。田島議員は、「優秀な人材を教育界に据えなければならないという視点から、現状をふまえて法案作成に取り組んだ」とし、「豊かな人間性、卓越した指導力を備えるため」に、現在の4年制大学修了から、さらに1年間の教育実習を含む2年間の修士修了者に免許することとしたと説明した。また、実務経験8年以上を経た後に、さらに教職大学院大学で1年の専門的な教育を受けた場合、従来はなかった「専門免許」を取得してもらう流れを作ったと表明。また、政府案のように免許状に10年の有効期間は設けないものの、原則としては免許授与後10年毎に講習を受け修了を認定し、「専門免許」はこれらの講習は免除するしくみとなっている点などを説明した。
地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案については松本議員に質問。松本議員は教育現場の諸課題に対し、国が学習内容を決め、都道府県が教職員の採用や人事を決め、市区町村が学校の設置や管理を行うなど、責任の所在がバラバラな現状では求められるきめ細かな対応はできないと指摘し、制度改善の必要性を強調した。民主党案ではそうした課題解決に取り組んだ結果、(1)教育委員会を発展的に改組し、その事務を地方公共団体の長に移管(2)地方公共団体に新たに教育監査委員会を設置し、地方公共団体の長に移管された事務の実施状況に関し、必要な評価、監視を行い、改善のために必要な勧告を行えるようにする(3)学校ごとに保護者や地域住民、校長等から構成される学校理事会を設置し、主体的、自律的運営を行う(4)公立学校の教職員の任命は、設置者である地方公共団体の長が行うこととした点などを列挙した。
笠議員に対して松本政調会長は「学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案」に関する説明を求めた。笠議員は「教育現場の問題を現実的に解決していこうとしたら、予算がかかる」と述べたうえで、日本の教育に対する公財政支出は先進国で最低水準であり、同時に教育費にかける家計費の割合負担は逆に最高水準になっている現状を変えていかなければならないと指摘。「親の収入によって学びの機会の格差が生まれる状況を是正していかなければなない」と語った。
そうした認識を踏まえ、民主党案では(1)多様な教育機会の提供、きめ細かな教育指導の充実、安全・快適な学校教育のための諸条件の整備、心身の健康・職業選択等に関する相談体制の充実等を旨とすることを基本方針とする(2)1の基本方針に基づき、学校教育の環境整備に関する施策を総合的に策定、実施する責務を国が有するとした――などの項目を盛り込んだことを明らかにした。
|