参議院本会議が27日開かれ、民主党・新緑風会の千葉景子議員が質問に立ち、「少年法の一部を改正する法律案」について、長勢法務大臣をはじめ、溝手国家公安委員長らに見解を質した。
千葉議員はまず、少年事件の実情について言及。少年事件の検挙者数及び触法少年に関する保護処分件数の推移データから、触法少年厳罰化の理由として用いられる少年事件の増加、凶悪化、低年齢化は、必ずしも事実ではないことを指摘した。
次に、少年法の基本理念が「少年の保護と健全育成」であるとの観点から、少年への厳罰化よりも、「育ち直し」を進めるための政策の必要性を指摘した。その上で、2000年の少年法改正以来の厳罰化が少年の改善・更正に有効なのかを長勢法務大臣、柳澤厚生労働大臣に質問。各大臣は効果そのものよりも「事実解明への社会的要求」を盾に容認する答弁となった。
また、警察の調査権限の拡大、警察官の質問における手続き保障についても言及。黙秘権、調査付添人、ビデオ録画等による可視化といった民主党が提案する手続き保障の明記を拒む理由を尋ねた。長勢法務大臣、溝手国家公安委員長、柳澤厚生労働大臣はそれぞれ、警察の調査権限の拡大については、主体的で迅速な調査第一の考えを強調。黙秘権の保障に至っては、柳澤厚生労働大臣が「少年が正直に話さなくていいといいう誤った意識を植えつけるもの」などと発言。改正案が欠陥法であるだけでなく、政府の基本的認識そのものに問題があることが露呈した。
最後に千葉議員は改めて「少年非行問題に対しては、非行少年の『育ち直し』という少年法の理念を忘れてはならない」と強く訴えた。
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